中国のアリババグループ・ホールディング・リミテッドがこのほど発表した2000年3月期(19年4月~20年3月)と、第4四半期(1~3月)決算によると、通期の売上高は前年比35%増の5097.11億元(7兆6400億円)、営業利益は同60%増の914.30億元(1兆3700億円)、純利益は1492.63億元(2兆2300億円)となった。
流通総額は約106兆円に
また、第4四半期の売上高は同22%増の1143.14億元(1兆7100億円)、営業利益は同19%減の71.31億元(1069億円)、純利益は同88%減の31.62億元(474億円)。新型コロナウイルス感染症の影響で減益となり、上場企業への株式投資の相場下落が影響して投資収益で純損失が生じた(いずれも1中国人民元=15円で日本円に換算)。
しかし、通期のアリババ・デジタル・エコシステム内の全マーチャントのGMV(流通総額)は1兆米ドル(7兆53億元、約106兆円)に達し、5年前に設定した2020会計年度までのGMV1兆米ドルの目標を達成。コロナ禍による経済的影響を受けたにもかかわらず、年間アクティブ・コンシューマー数は合計9億6000万人となった。
1月下旬から苦戦も3月以降は回復
経済活動の停滞は、第4四半期の1月下旬から中国国内のコアコマース事業に最も影響を及ぼしたが、3月以降は堅調に回復。年間売上高は年初に提示した5000億元(約7兆5000億円)を上回る結果となった。主に、中国国内の小売事業とクラウドコンピューティング事業の堅調な売上の成長によるものとしている。
EC事業をけん引する天猫(Tmall)は4月、現物商品の取引によるGMVが好調な回復を見せ、5月以降も改善が続いている。同様に、自粛規制が緩和されたことによる飲食店や企業の事業再開が進み、4月にはデリバリーサービスであるウーラマ(Ele.me)のGMVがプラスに転じた。
アリババ、コロナ危機を乗り越えるDXを支援
アリババグループのダニエル・チャン(張勇)会長兼CEOは、新型コロナ感染症の流行は、消費者の行動と企業の事業運営を根本的に変化させ、デジタル化に向けた変革が必要不可欠となった。アリババは、幅広い業界のさまざまな規模の企業がこの危機を乗り越え、ニューノーマル時代に勝利できるよう、そのデジタルトランスフォーメーションを支援する態勢と準備ができている、とコメントしている。
多数の実店舗がライブコマースを実施
新型コロナウイルス感染症が流行する中、多くの実店舗を持つ小売業者がオンラインに移行し、売上を上げるためにデジタルな新しい方法を採用。ライブコマースサービス「タオバオライブ」でのライブ配信を利用しているデイリー・アクティブ・マーチャント数は、前年比88%増となった。アリババの中国小売マーケットプレイスで最も急速に成長している販売モデルの1つといえ、タオバオライブを通した通期GMVは、前年比100%以上の成長を達成した。
昨年9月、アリババグループは創立20周年を迎え、今後5年間の戦略として「さらなるグローバル化に向けた努力」「10億人以上の中国人消費者へサービス提供」「グループのプラットフォームで10兆元以上の消費達成」という目標を掲げている。
今期は新型コロナウイルスの流行などによる影響下でも、5年前に掲げたGMV目標を達成。中国の国内消費と企業のデジタルトランスフォーメーションに関する同社の見解から、2021年会計年度の売上高は6500億元(約9兆7500億円)を上回ると予想している。
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