かっこ(株)は28日、旅行、チケット、Webサービスに特化した不正検知サービスの提供を開始した。新型コロナウイルスの影響で臨時休業やイベントの中止などを余儀なくされた旅行・チケット業界の事業者を対象に、初期費用と半年間の利用料を無料にする。事業者がより安心して事業再開できるよう支援することが目的だ。
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不正注文・転売などをリアルタイムで検知
今回、同社では「O-PLUX for トラベル」「O-PLUX for チケット」「O-PLUX for Webサービス」の3サービスを開始した。「O-PLUX」は、オンライン上の取引データを個人情報保護に留意した形で導入企業と連携し、クレジットカードや後払い決済での不正注文、悪質な転売などをリアルタイムで検知するソリューション。個別チェックにかかる手間や督促に掛かる費用の削減、審査精度の向上などが図れる。現在、国内だけで2万サイト以上が「O-PLUX」を利用。2019年の1年間で751億円の不正を検知した実績がある。
旅行事業者を対象にした「O-PLUX for トラベル」
「O-PLUX for トラベル」は、航空会社、宿泊施設、旅行代理店、予約サイトに特化したサービス。不正検知と不正端末を特定するサービスを提供する。ポイント狙いで予約とキャンセルを繰り返す不正には、端末を特定して大量申し込みをブロック。代理店になりすましてツアーを購入・横流しするケースには、注文情報から不審な利用者をチェックする。また、盗んだカード情報の利用については、注文の不正リスクをリアルタイムで審査し、購入を未然に防ぐ。
◇<旅行業界での事例>偽旅行代理店がカードを不正利用
旅行業界では、偽旅行代理店が窃取した他人のクレジットカード情報を使い、ウェブ上で宿泊施設などの旅行商品を調達する事案が発生している。偽旅行代理店の手配により宿泊施設が確保されているため、旅行者は気が付かないうちに不正に巻き込まれる。予約を受けた宿泊施設などは、カードの不正利用だと発覚した場合も、実際に利用した旅行者に請求できず、代金が回収できなくなる。
イベント事業者を対象にした「O-PLUX for チケット」
「O-PLUX for チケット」は、チケット発行、イベント・コンサートなどを催す事業者に特化したサービス。チケット転売を目的とした大量アカウントでの抽選申し込みに対し、端末を特定して申し込みをブロックする。また注文情報から転売目的の購入者を特定。盗んだカードでの申し込みには、リアルタイム審査により発券を止める。
◇<イベント業界での事例>転売防止のための本人確認でコスト増
同一人物が複数アカウントを作成して大量にチケットを購入し、高額で転売するケースが発生。これを受けて、2019年6月に「チケット不正転売禁止法」が施行されたことにより、チケット販売事業者には本人確認を行うことが義務付けられた。そのために事業者側では、人によるチェックの手間やコストが掛かるようになった。
Webサービスを対象にした「O-PLUX for Webサービス」
「O-PLUX for Webサービス」は、サブスクリプション(サブスク)・デジタルコンテンツなどの Webサービスを対象にしたサービス。複数の端末でサブスクのアカウントを使い回す不正に対しては、端末を特定して不特定多数の利用をブロックする。盗んだクレジットカード情報でのコンテンツの購入に対しては、購入前にリアルタイムで審査・判定を行うことで注文を停止。後から分かっても取り返せないデジタルコンテンツには、リアルタイムで対策を施す。
◇<Webサービス業界での事例>不正多発で企業の信用が低下
オンラインゲームで、他人のクレジットカード情報を使用してアイテムやゲーム上の通貨を購入し、リアルマネートレードで不正に現金化する手口が問題に。不正利用が多発することで、企業に対する信用が低下し、カード決済会社から不正防止対策を要請されたり、取引条件が不利になったりするケースも現れた。
19年のカード不正利用被害額は273億円
かっこによると、2019年のクレジットカード不正利用被害額(年間)は273.8億円に達し、そのうちオンライン取引における不正被害が全体の約8割超(222.9億円)を占めている。中でもチケットやデジタルコンテンツなどは不正被害における高リスク商材とされ、日本クレジット協会が9月末日までに不正対策を完了するよう求めている。
同社では、特定の業界に特化した「O-PLUX」サービスを、初期費用無料・半年間の利用料無料で提供。「今回の取り組みが事業継続に貢献できれば幸いだ」とコメントしている。
■かっこ
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