夢展望(株)が発表した2020年3月期(19年4月~20年3月)連結決算は、売上収益が前期比13.8%増の78億7100万円、営業損失は7100万円(前期は1億7900万円の営業損失)、当期損失として1億6900万円(前期は2億6800万円の当期損失)を計上した。
2月以降は過去に類を見ない事態が発生
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、決算発表日は当初の予定から半月遅れの5月29日となった。また同15日には、最終損益を従来予想の2億6000万円の利益から1億8000万円の損失を見込んだ内容で下方修正していた。
中核事業であるアパレル事業は、商品の企画・生産の精度向上、自社ECサイトのリニューアルやアプリ・SNS戦略を強化するなどの進化を図るとともに、新しい顧客層に向けたブランドをオープンするなど、新しい取り組みも開始した。
しかし、春先の不安定な天候や、夏から秋にかけての記録的な大雨や度重なる台風の接近と上陸、冬季の記録的な暖冬など天候の影響を受け、アパレルの季節性商品の販売計画が想定を下回る進捗となった。さらに20年2月以降は、コロナ禍で過去に類をみない事態が各セグメントで発生した。
アパレル事業は営業利益が79.5%減
幅広い年齢層の女性をターゲットに衣料品や靴、雑貨などのファッション関連商品をECサイトや百貨店などの店頭で販売している「アパレル事業」は、売上収益が55億4000万円(前期比25.9%増)、営業利益は5300万円(同79.5%減少)となった。
ECサイトでの販売では、商品企画から製造、小売までを一貫して行うSPA(Speciality Store Retailer of Private Label Apparel)の手法を採っており、自社スタジオでの商品撮影や画像加工、WEBページへのアップも一貫して自社で行っている。
事業を運営する連結子会社のナラカミーチェジャパン(株)の加入で売上収益は前期を上回ったが、コロナ禍で、消費者の購買意欲の低下や店舗休業などの影響に加え、中国やイタリアなど海外からの仕入商品の納期遅延が発生し、仕入計画に大きな狂いが生じた。
ジュエリー次行は黒字に
「ジュエリー事業」は、連結子会社の(株)トレセンテが婚約・結婚指輪などのブライダルジュエリーを中心とする宝飾品を販売。全国主要都市で単独店やファッションビルなどに11店舗を展開する。売上収益は11億6800万円(前期比10.7%増)、営業利益は1億5600万円(前期は8400万円の営業損失)となった。
新商品の投入や経営改善の効果により、上半期は好調に推移していたが、消費税増税の影響を受けて苦戦。店舗休業など、コロナ禍の影響はあったものの、それでも上半期の好調が奏功して、通期では初めて営業黒字を計上。前期業績を大きく上回った。
トイ事業は56%減
国内玩具メーカーからの発注に基づき、玩具製品を主に中国の協力工場から仕入れ、玩具メーカーに販売している「トイ事業」は、売上収益が11億2900万円(前期比17.9%減)、営業利益は4400万円 (同56.9%減)となった。
主要取引先との良好な関係を継続することに努め、新規開拓も行ったことにより、好調を維持した。年度末には、中華圏での新型コロナウイルス感染拡大により、商品生産工場が稼働を停止し、出荷遅延が発生するなどの影響を受けたが、現在は回復してきている。
コロナショックからの回復には一定期間必要
物流支援業務、EC事業推進支援等のコンサルタント業務を行う「コンサルティング事業」の売上収益は3200万円(前期比62.2%減)、営業損失は200万円(前期は600万円の営業利益)だった。
新型コロナウイルスの感染拡大で受けた影響を回復するには一定の期間を要すると予測。引き続き厳しい環境が続くと思われるとして、 21年3月期の業績予想については影響を合理的に算定することが困難なことから未定とした。
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