独・ベルリンに本社を置くB2B SaaS企業のadjust(株)はこのほど、モバイルアプリ向けのマーケティングプラットフォームLiftoffとの共同調査による「2020年モバイルショッピングアプリレポート」をまとめ、公表した。ユーザーの購買体験をサポートするモバイルショッピングアプリが、引き続き大幅な成長を見せている。
モバイルECアプリ、インストール単価も減少傾向
4月までの1年間に計測した両社のデータを基に、1000万回のインストールと200万回の初回イベントに紐づく530億回以上の広告インプレッションを調査。ショッピングアプリをプラットフォーム別、地域(北米、南米、EMEA、APAC)間、季節別、また3か国(日本、米国、ブラジル)のユーザー獲得傾向をコストやコンバージョン率、継続率などの観点から分析した。
それによると、ショッピングアプリの購入率はグローバルで増加の傾向が顕著だった。初回購入に至るユーザー獲得コストは19.47ドルと、昨年と比べて半減。一方、インストール後の購入率は14.7%と昨年の10.5%を上回り、コンバージョン率は40%増加した。インストール単価は19年9月から減少傾向にあり、新型コロナウイルスの影響で世界的に外出制限が最も厳しかった20年3月には、1年間で最も低い2.48ドルに低下した。
日本ではインストール単価は高いが顧客ロイヤルティも高い傾向に
また、日本のユーザーはインストール単価は高いが、顧客ロイヤリティも高いことが分かった。初回購入に至る日本のユーザー獲得コスト(54.77ドル)は、昨年(36.43ドル)よりも50%以上増加。また、インストール後の購入率は10.4%と昨年の7.7%を上回り、コンバージョン率は30%増加した。顧客ロイヤリティの持続期間が長いのも日本のユーザーの特徴で、継続率はインストール後30日目も10%と堅調で、昨年よりも4%の増となった。
AndroidユーザーとiOSユーザーの違いでは、AndroidのCPI(2.23ドル)はiOS(4.72ドル)の半分以下で、iOSのコンバージョン率(23.8%)はAndroidの約2倍。併せて、ユーザーは明確な目的意識を持ってモバイルショッピングアプリをダウンロードし、16分以内にユーザー登録を完了。インストール後は購入までに8時間53分かかっており、ユーザーは実際に商品を買う前にしっかり下調べを行い、考え抜いた上で商品を購入していることも分かった。
3月初旬に広告抑制も4月には販促施策を積極化
Adjustによると、新型コロナウイルスの流行が始まった3月初旬、EC業界全体は強烈なショックに見舞われ、マーケターは軒並み広告費を抑えたが、4月には持ち直し始め、リターゲティングとリエンゲージメントの施策がより強く進められてきた。これにより、顧客を再びアプリに呼び戻し、既存のユーザーを維持することができている。
顧客の購買プロセスが変化し、オンライン⇔オフラインへと顧客を誘導するマーケティング施策のニーズが高まる中、企業が成長し続けるためには、アプリを最大限に活用した取り組みを行うことが重要で、すでに多くの企業が、アプリユーザーのリエンゲージメントと継続率の最適化に重点を置いているとしている。
また、Liftoffは、昨年実施した同社の分析によると、Amazon、Flipkart、Alibabaのような小売大手の売上増加が他の小売業者の土壌を耕し、モバイルユーザーに年間を通してショッピングをするように促していることが分かり、この傾向は継続している。消費者は変化する小売業の状況に適応し、これまで以上にモバイルに傾倒しており、ショッピングアプリにとっていまは、かつてない好機だとしている。
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