アスクル(株)がこのほど発表した2020年5月期(19年5月~20年5月)の連結決算は、売上高が前期比3.3%増の4003億7600万円、営業利益は同95.1%増の88億2100万円、純利益は同13倍の56億5200万円(前期は4億3400万円の純利益)となった。
LOHACOは予定通りに業績改善
主力分野であるeコマース事業のBtoB事業は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う企業活動停滞などの影響で、第4四半期は前年同期比で売上高が減少したが、利用者数が伸びたことなどにより、通期では増収増益となった。
BtoC事業は、「LOHACO」の損益改善を最優先課題として取り組んだ。19年1月に実施した「LOHACO」の基本配送料が無料となる注文金額(配送バー)改定や、同年7月の「ひと箱eco」サービスの開始などが、購入点数の増加や売上高配送費比率の大幅な低下に繋がり、業績改善は予定通りの進捗となった。
MRO商材の売上が拡大
セグメント別でみると、「eコマース事業」の売上高は3924億600万円(前期比3.0%増)。差引売上総利益は、「LOHACO」の売上総利益率の改善などにより、946億4500万円(同4.6%増)となった。購入経験のない顧客が商品を検索した際に、同社のWEBサイトが上位に掲載される施策(SEO)やネット広告の強化により、新規の利用が増加した。
併せて、ビッグデータやAIを活用したWEBサイト上の検索機能の進化や、名前が分からない商品でも検索できる画像検索機能等を追加し、従来から利用しているユーザーの購入点数や単価の増加に向けた取組みも積極的に行ってきた。
商品の種類別では、店舗などで頻繁に利用される日用消耗品や消耗紙、オフィスで利用される飲料などの生活用品、注力分野である医療・介護施設向け商材、ロングテール商品を含むMRO商材の売上高が順調に拡大した。
この結果、BtoB事業合計では4、5月の売上高の落ち込みはあったものの、第3四半期まで順調に推移してきたことから、通期では前期比4.2%増の3290億7200万円となった。
「PayPayモール」経由の売上高が順調に伸長
BtoC事業は、「LOHACO」の売上総利益の上昇と売上高配送費比率の改善が進んだ。翌期以降の再成長に向け、新たな顧客獲得を目的に、19年10月に「LOHACO」はヤフー(株)が新たに開始した「PayPayモール」に出店。「PayPayモール」経由の売上高は順調に伸長している。「LOHACO」ならではの独自価値商品のラインナップの強化にも取り組んできた。
「LOHACO」の売上高は、前期比5.4%減の486億2000万円となり、BtoC事業合計でも、同3.0%減の633億3400万円となった。損益面では、各種損益改善策が功を奏したこと、また、広告などのフィー収入増で損益の改善が進んだ。構造改革は着実に進み、23年5月期の黒字化は計画通りとしている。
次期業績は減収減益の見込み
「ロジスティクス事業」の売上高は前期比29.5%増の71億9700万円、営業損失は4億円(前期は5億1700万円の営業損失)となった。(株)ecoプロパティーズの物流施設のアセットマネジメント事業による売上高の増加などがあったが、物流業務受託の準備期間に係る物流センター賃料などの費用負担があったことから営業損失となった。
21年5月期(20年5月~21年5月)の業績は現時点で、売上高が4030億円(前期比0.7%増)、営業利益は72億円(同18.4%減)、純利益は45億円(同20.4%減)を見込んだ。
「eコマース事業」の売上高は3965億円(前期比1.0%増)、営業利益は81億円(前期比11.8%減)。うち、BtoB事業の売上高は3322億円(同1.0%増)、BtoC事業の売上高は643億円(同1.5%増)を予想した。いずれも、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、一時的な売上高の成長の鈍化を見込んでいる。
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