(株)ZOZOが30日発表した2021年3月期第1四半期(20年4~6月)連結決算は、売上高が前年同期比19.4%増の336億7400万円、営業利益が同33.9%増の104億2300万円、純利益が同37.5%増の73億2300万円となった。
ZOZOTOWNの販売力とデジタルシフトの影響で大幅な増収増益に
新型コロナウイルスの感染拡大防止策としての緊急事態宣言により、ファッション商材は消費活動の減速によるマイナス影響が見られたが、主力事業のZOZOTOWNの販売力とデジタルシフトによるプラス影響が大きく、相殺して高い成長率で着地。商品取扱高は前年同期比19.5%増の953億3000万円となり、直近の数四半期の水準を大きく上回った。
売上高については、19年5月までの有料会員サービス「ZOZOARIGATO」による同社負担の値引施策が影響し、主に受託ショップで前年同期比で商品取扱高の成長率を上回ったが、ZOZOUSEDやPB事業などの規模縮小、同有料会員サービスからの会員収入減、20年4月に実施した同社負担の送料無料キャンペーンによる送料収入減などが影響し、全体では前年同期比で商品取扱高と同等の成長率となった。
PayPayモール店の売上は12億7000万円
ZOZOTOWN事業は受託ショップ、買取ショップ、ZOZOUSEDの事業形態で構成。全体の商品取扱高は844億9000万円(前年同期比10.0%増)で、「受託ショップ」の商品取扱高は823億9000万円(同12.7%増)となり、売上高は240億7700万円(同21.0%増)となった。
6月現在、1348ショップを運営。今期の新規出店は28ショップで、LVMHグループのラグジュアリブランド「LOEWE」(期間限定出店)、サスティナブルなコレクションを追及するブランド「STELLA McCARTNEY」、再出店となるカジュアルウェアのセレクトショップ「Right-on」など。
ZOZOTOWNは19年12月から、ヤフー㈱が運営するオンラインショッピングモール「PayPayモール」へ出店。ZOZOTOWNに出店している約9割のショップがPayPayモールでも販売しており、徐々に売上を拡大している。今期の商品取扱高は43億7100万円で、商品取扱高に占める割合は4.6%。売上高は12億7000万円となった。
ZOZOTOWN本店とPayPayモール店の違いを明確化
出店以来、PayPayモールの大幅なポイント還元による価格優位性を強みに、ZOZOTOWNユーザーとは属性の異なる幅広いユーザーとの接点を増やすことで、新たな顧客層の拡大を進めている。同社は第1四半期の業績発表を機に、改めてZOZOTOWN本店とPayPayモール店の違いを明確にしている。
それによると、ZOZOTOWN本店(出店店舗数1348)は「ファッションに特化した独自のサービスを提供する日本最大級のファッションECサイト」。これに対し、PayPayモール店(出店店舗数1229)は「ファッションカテゴリ以外からの買いまわりにも期待した幅広いユーザー層に対応するECサイト」とした。
「ZOZOMAT」計測者数が100万人を突破
MSP事業は、体型計測デバイスとして2月から足型の3Dデータ化を行い、靴選びに必要な複数部位の計測を可能にした「ZOZOMAT」の配布を開始。6月には計測者数が100万人を突破し、すでに多くのユーザーが活用。商品取扱高、売上高はともに3億2200万円となった。
BtoB事業は、ブランドの自社ECサイトの構築および運営を受託。今期の商品取扱高は59億5900万円(前年同期比140.8%増)、売上高(受託販売手数料)は11億6100百万円(同117.6%増)となった。6月現在、受託サイト数は51サイトとなっている。
同社は併せて、21年3月期の通期業績予想を公表。売上高は前期比14.5%増となる1437億円、営業利益は同41.6%増の395億円、純利益は同46.8%増の276億円を予想した。軸足を置く日本国内のファッショEC市場は、ブランドの自社EC事業強化の動きも相まって、今後も全体的には拡大基調が持続していくと考えられ、加えてコロナ禍に伴い、ブランドのデジタルシフトがより一層進んでおり、 ファッションEC市場拡大への追い風となっているとした。
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