Zホールディングス(株)がこのほど発表した2021年3月期第1四半期(20年4~6月)連結決算は、売上収益が前年同期比14.8%増の2738億7900万円、営業利益が同8.6%増の506億3200万円、四半期利益は同16.9%減の227億5000万円となった。
外出自粛による巣ごもり消費でコマース事業が伸長
新型コロナウイルスの影響はあったが、(株)ZOZOの連結子会社化が売上収益、営業利益を押し上げ、増収増益につながった。外出自粛に伴う巣ごもり消費の増加でEC物販などコマース事業が伸長。電子書籍販売サイト「eBookJapan」を運営する(株)イーブックイニシアティブジャパン、クレジットのワイジェイカード(株)などの業績が売上収益の増加に寄与した。
営業収益にはアスクルグループの利益改善、ヤフー(株)を中心とした販売促進費の抑制も貢献。四半期利益が減益となったのは、前年同期にPayPay(株)の持分変動利益108億円を計上した影響とした。一方、広告主の出稿減少でメディア事業は減退した。
主力のコマース事業(金融・eコマース)の売上収益は2058億円(前年同期比24.6%増)、営業利益は363億円(同118.0%増)となり増収増益。全売上収益に占める割合は75.2%となった。「Yahoo! ショッピング」の新規購入者は前年比54%、「PayPayモール」の新規出店は同37%増加した。物販取扱高は、前年同期比で37.4%増の6536億円となった。
クロスショッピングも順調
モバイル決済サービスPayPayの決済回数は、オフライン利用が減少したものの、前年同期比9.0倍の4億2850万回と順調。併せて、加盟店数は今期末時点で同2.9倍となる231万か所に、登録者数は同3.5倍の3004万人と堅調な成長をみせている。
新たなコマース戦略の一つ、「X(クロス)ショッピング」も順調。PayPayモール出店ストアの実店舗在庫情報を連携することで、PayPayモール上で取り扱う商品数を拡充。ユーザーは実店舗の商品も含めて検索し、購入できる小売企業の販路拡大策だが、6月末時点で32ストア(6666店舗)が導入または導入予定と拡大基調にある。
今後はZOZOTOWN出店ショップの実店舗在庫情報の活用を検討するなど、表示できるストアの商品数拡充をめざす。ZOZOとのシナジー効果は大きく、連結による売上増は336億円。これを除いた売上収益は前年同期比0.7%増にとどまる。
PayPayモールで分割払い提供へ
すでに、ショッピング事業とのエコシステムを構築したほか、ZOZOTOWNでの購入商品を簡単にPayPayフリマで出品できるようにした。第2四半期以降は、PayPay利用者の取り込みや決済手数料のインハウス化・コスト削減を実施する。
また、この秋には金融サービスを「PayPay」ブランドに統一することも打ち出しており、掲げる「シナリオ金融構想」に沿った金融商品提供の一環として、第3四半期以降にはPayPayモールでの分割払いの提供なども予定している。
2Q以降は成長減速の見通し、PayPayポイント還元プログラムの変更で
なお、第1四半期に伸長したショッピング事業の取扱高は第2四半期以降、成長減速の見通しを立てている。4月は前年同期比76.7%増、5月は同86.9%増、6月は同94.0%増だったが、7月は同59.6%増にとどまった。巣ごもり商品の緩和や政府によるキャッシュレス施策の終了などとともに、同月からのPayPayのポイント還元プログラム変更も要因としている。
「メディア事業」の売上収益は675億円(前年同期比7.3%減)、営業利益は335億円(同4.4%減)となり減収減益。全売上収益に占める割合は24.6%となった。ディスプレイ広告(運用型広告)のうち、同事業に計上される売上収益は、新型コロナウイルスの影響によるメディアサービスのトラフィック増加や、ヘッダービディングの追加などのプロダクト施策が奏功し、前年同期比で増加。一方、検索広告はコロナ禍の影響で広告出稿が減ったことなどで減少した。
今期の広告関連収益は、コロナ禍に伴う緊急事態宣言の発令で乱高下傾向だった。6月には前年同期比7.4%と盛り返しているが、広告需要の見通しは依然不透明としている。
この続きは、通販通信ECMO会員の方のみお読みいただけます。(登録無料)
※「資料掲載企業アカウント」の会員情報では「通販通信ECMO会員」としてログイン出来ません。