ICT市場調査コンサルティングの(株)MM総研がこのほど発表した「ポイント/決済サービスの携帯キャリア別利用状況調査」によると、ポイント・クレジットカード・ECサイトで楽天がトップを維持、ポイントサービスではau、ドコモが追い上げ、QRコード決済ではソフトバンクが大幅に増加。キャリアの囲い込み戦略による激戦の様相がうかがえた。
第4のキャリア・楽天モバイルがポイント還元で攻勢
調査は、ポイントサービス、クレジットカード、QRコード決済、ECサイトの4領域を分析。15~79歳の男女5万3451人を対象に、6月末時点の利用状況をまとめた。各種サービスを「最も利用している」と回答した比率(クロスユース率)を指標とした。
各携帯キャリアが提供するポイントサービス、クレジットカード、ECサイトのクロスユース率では前回に続いて、楽天モバイルがトップだった。これまで楽天は、グループ内でのサービス利用状況に応じてポイントの還元率が変わる「スーパーポイントアッププログラム」の設置などを通して、グループ内の複数サービス利用を推進してきた。モバイル市場は依然、3大キャリアの寡占状態にあるが、「第4のキャリア」としてポイント連携戦略で攻勢をかけている。
ポイントクロスユース率は楽天SPが74%でダントツ
ポイントサービスのクロスユース率は、楽天モバイルユーザーによる「楽天スーパーポイント」が74.5%で最も高く、次いでソフトバンクユーザーによる「Tポイント」の37.1%だった。19年9月の調査時から最も伸びたのは、auユーザーによる「Pontaポイント」で7.4ポイント増の18.2%。au Payブランドへの統一やPontaポイントとの統合施策が奏功したとみられる。
次いで高かったのは、ドコモユーザーによる「dポイント」で、6.6ポイント増の28.0%。CMの投下や利用店舗の拡大などの施策が伸びにつながった。楽天モバイルは、前回調査時から5.5ポイント増と堅調な伸びをみせた。ソフトバンクは3.6ポイント減と唯一減少に転じた。還元特典をTポイントからPayPay残高にシフトした影響と考えられる。
QRコード決済のクロスユース率では、ソフトバンクユーザーによる「PayPay」が40.8%で最も高く、次いで楽天モバイルユーザーによる「楽天Pay」が19.1%だった。ソフトバンクは19年9月調査時より24.9ポイントの増加。また、楽天モバイルは9.2ポイントの増加だった。
auユーザーによる「au Pay」は14.2ポイント増の15.9%で、ドコモユーザーによる「d払い」の15.7%(7.4ポイント増)を上回った。ソフトバンクは19年7月から携帯料金支払いでPayPay残高を使えるようにし、8月には長期継続特典を期間限定TポイントからPayPayボーナスに変更した。そうした囲い込み施策が、クロスユース率の大幅増につながったとみられる。
クレカ・ECのクロスユースでも楽天が圧倒
クレジットカードのクロスユース率では、楽天モバイルユーザーによる「楽天カード」が64.7%で最も高く、次いでドコモユーザーによる「dカード」が14.7%だった。もともと顧客基盤を持つ楽天モバイルがさらに囲い込みを進める結果となった。
ECサイトのクロスユース率では、楽天モバイルユーザーによる「楽天市場」が62.9%で最も高く、次いでソフトバンクユーザーによる「Yahoo!ショッピング」の26.7%。3位はauユーザーによる「au Payマーケット」で5.5%、ドコモユーザーによる「dショッピング」は1.7%だった。各社の伸び幅は少なく、ECサイト分野では依然、楽天市場の存在感が大きい結果となった。
最後発キャリアである楽天モバイルは、ポイント連携やキャンペーンを通してユーザーの獲得を進めている。今後、自社回線エリアが拡大すれば、同社が持つ顧客基盤に対してさらにリーチをかけやすくなる。一方、3大キャリアも積極的に施策を打ち、ポイントサービスやQRコード決済事業で存在感を高めている。申し込み受付が始まっている「マイナポイント事業」を機に、自社サービス利用率をさらに高められるかが今後のカギとなりそうだ。
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