独立行政法人国民生活センターはこのほど、「2019年度の消費生活相談の概要」をまとめ、公表した。19年度の相談件数は約93万5000件で、18年度から6万件ほど減った。インターネット通販をはじめとする「通信販売」に関する相談は、相談全体に占める割合が3割超え。販売購入形態別では最も高い状態が続いている。定期購入に関する相談件数は前年度と比較すると2.18倍となった。
「架空請求」が激減…約10万件減に
国民生活センターと全国の消費生活センターをオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベース「PIO-NET」(パイオネット・全国消費生活情報ネットワークシステム)で収集した20年5月末までの苦情相談などを集計した。詳細は「消費生活年報2020」にまとめ、10月に国民生活センターホームページ上で掲載する。
それによると、19年度の相談件数は93万4944件となり、18年度(99万6498件)に比べ減少した。身の覚えのない請求が届く「架空請求」の減少が影響している。「架空請求」の相談は、12~18年度にかけて再び増加し、17年度と18年度は20万件を超えたが、19年度は10.万9000件と大幅に減少した。
通販の相談は3割強と最も高く
「通信販売」に関する相談の相談全体に占める割合は2013 年度以降、販売購入形態別で最も高く、19年度は32.8%で、ネット通販に関する相談が多くみられた。
18年度と比較して、定期購入などのトラブルがみられる「健康食品」「化粧品」、営業員の説明・勧誘や外貨建て生命保険のトラブルがみられる 「生命保険」、ラグビーワールドカップなどのチケット転売トラブルがみられる「スポーツ観戦」、訪問販売・電話勧誘販売による電力会社切り替えなどのトラブルがみられる「電気」において相談件数の増加が目立った。
新型コロナウイルスの影響で、マスクやトイレットペーパーなどが品切れで購入できないという相談や、価格の高騰や転売に関する相談、インターネット通販で購入したが商品が届かないという相談がみられる。
健食は1.65倍、化粧品は1.69倍に
19年度に増加した商品特徴などをみると、1位の「健康食品」(5万4339件)は前年度比1.65倍、2位の「化粧品」(3万4373件)は同1.69倍。ネット通販で通常価格より安い価格で「健康食品」や「化粧品」を購入したところ、実際は定期購入契約だったという相談や、解約申出期間中に通信販売業者と連絡がとれず、解約できないという相談が増加している。
美顔器は約14倍、送り付け系が急増
3位は「他の役務サービス」(1万8111件)と分類され、ネットで質問サイトを利用したら利用料を請求されたという相談、偽警告でセキュリティソフトを契約してしまったというパソコンサポートの相談など。「美顔器」(3574件)が4位で、前年度比13.85倍。注文した覚えのない「美顔器」を代引配達するとのメールがスマートフォンに届いたという相談が増加した。
5位の「他の保健衛生品」(4371件)は同3.8倍に。新型コロナウイルスの影響で、マスクやトイレットペーパー等が品切れで購入できないという相談や、価格の高騰や転売に関する相談、インターネット通販で購入したが商品が届かないという相談だった。
未成年~40代の相談も増加
相談の年齢別では、70歳以上が24.5%と依然として全年代で最も多い一方、20歳未満、20代、30代、40代の割合が増加している。70代以上の契約当事者は、「訪問購入」で53.6%を占め、「電話勧誘販売」「ネガティブ・オプション」「訪問販売」でも最多。「マルチ取引」では20 代が多く、44.9%と過半数近くを占めていた。
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