総合マーケティングビジネスの(株)富士経済はこのほど、「パーソナライズ化粧品の現状と将来展望」をまとめ、公表した。開発が活発化しているスキンケアやヘアケアなどの国内市場は2019年にECを中心に大幅に拡大したが、20年は新型コロナウイルスの感染拡大のあおりを受け、縮小傾向が見込まれるという。
パーソナライズ化粧品、重要増で市場拡大傾向も
対面によるカウンセリングや、デジタル技術を用いた肌測定などの診断結果をもとに、ユーザー個々人に合った商品を提案するパーソナライズ化粧品。膨大な数の中から自分の肌や髪に合う商品を選ぶことは難しく、カウンセリングやカスタマイズすることで合うアイテムが選べるなら、多少コストがかかっても使用したいと志向する層を中心に需要を獲得している。
パーソナライズ化粧品の国内市場は、19年に15年比3.0倍となる130億円を達成。20年は19年比8.5%減の119億円が見込まれている。
この間の経過をたどると、16年はニュースキンジャパンのスキンケア「genLOC Me」の好調により市場が二けたの伸長となり、17年も続伸。18年はヘアケア「MEDULLA」(Sparty)などの新興D2Cブランドの参入がみられたものの、実績減となったブランドもあり、市場は縮小した。19年はスキンケア「APEX」(ポーラ)のリニューアルや、「MEDULLA」の認知度拡大、参入ブランドの増加などから市場は大幅に拡大した。
20年はコロナ禍の営業自粛で苦戦
そして20年は、コロナ禍による百貨店などの臨時休業や外出自粛の影響から、ECを中心に展開するヘアケアブランドなどは好調の一方、訪問販売メーカーなどは営業自粛によって苦戦しており、19年と比べて減少する見込み。
カテゴリー別ではスキンケアの構成比が最も高く、19年は90億円と市場の大半を占めた。「APEX」のリニューアルや、ELCジャパンクリニーク事業部が「クリニークiD」を発売し、対面によるカウンセリングとデジタル技術を用いた肌測定を組み合わせた提案により需要を取り込み市場は拡大した。
20年は他のカテゴリーでパーソナライズブランドを展開してきたメーカーがスキンケアブランドを投入するなど市場が活性化しているものの、新型コロナウイルス感染症の感染拡大から訪販メーカーや百貨店が一時的に営業を自粛したことから、74億円と19年比で22.1%減が見込まれる。
次いで構成比が高いのがヘアケアで、18年に「MEDULLA」や「mixx」(Wantell Val ue)などが発売されたことで注目を集めた。19年には「ボタニスト」(I-ne)からパーソナライズブランド「マイ ボタニスト」などが発売され、市場は20億円と急拡大。20年もECを中心に展開するヘアケアブランドの好調などにより34億円が見込まれ、続伸するとみられる。
診断方法も多様化、デジタルの活用がポイントに
診断方法別の市場動向にも変化がみられる。「カウンセリング×デジタル」は、デジタル技術を用いた肌測定などに加え、美容部員によるカウンセリングと合わせて行う診断方法で、カウンセリングメーカーが中心となっている。18~19年にかけてスキンケアブランド「アーティストリー」(日本アムウェイ)や「クリニークiD」が発売され、19年は94億円と大幅に拡大したものの、20年は百貨店などが臨時休業したことなどから74億円ほどに縮小するとみられる。
「セルフ×デジタル」は、Web問診の回答をAI解析などによって行う診断方法。18年は実績減となったブランドもあったことから市場が縮小したものの、19年(33億円)から20年(43億円の見込み)は、新興ブランドが増加しており、拡大している。
「カウンセリング×アナログ」は、店頭で美容部員が顧客の肌状態を確認する診断方法で、カスタマイズ化粧品の組み合わせを提案。近年は店頭に肌測定器やカウンセリングソフトを搭載したタブレット端末を設置するなど デジタル技術を導入するブランドが多く、アナログを中心としたブランドは限られている。19年は4億円。20年は3億円が見込まれている。
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