総合マーケティングビジネスの(株)富士経済がこのほど発表した「通販・eコマースビジネスの実態と今後 2020」によると、国内のEC通販市場(物販)は21年に13兆円を超えると予測。仮想ショッピングモールの顧客誘引が一層強まり、マルチチャネル施策や実店舗とオンライン店舗間での相互送客などで好調なECが拡大をけん引するとみている。
21年の国内EC・通販市場は11兆4190億円と予測
国内のEC通販市場が10兆円を超えたのは17年。同社によると、20年見込みは19年比6,6%増の12兆4196億円となり、21年は同12.3%増となる13兆955億円と予測している。うち、ECは全体市場の8割以上を占め、年ごとに拡大。ECの20年は同8.3%増の10兆7144億円を見込み、21年は同15.4%増の11兆4190億円を予測した。
ECは、Amazon.co.jpや楽天市場などの仮想ショッピングモールの顧客誘引が強まっているほか、カタログ通販やテレビ通販、ラジオ通販といった形態を主力としながら、ECで需要を刈り取るマルチチャネル施策を推進する企業の増加、また流通企業でも実店舗とオンライン店舗間での相互送客による顧客囲い込みが進むなど、今後も市場は拡大するとみている。
20年カタログ通販市場は4.8%減の1兆589億円と予測
20年のカタログ通販市場は19年比4.8%減の1兆589億円を見込んだ。家電製品・パソコンが堅調だが、総合通販企業を中心とするカタログ統廃合やECへの誘導強化が進む中、主力であるアパレルの低調により、今後も市場は縮小が続くとみられる。
テレビ通販は同0.5%増の5594億円を見込む。ユーザーが通販番組で商品を認知してECで発注するケースが増えており、市場は横ばいから微増で推移。上位企業が消費者とのタッチポイント増加による取り込みを強化しているほか、通販専門企業を中心にインフォマーシャルの投下や取扱商品を増やす動きが見られるなど、市場の底上げが進んでいる。
商品カテゴリーからも、EC市場の拡大がみえてくる。これまでは、アパレルや家電製品・パソコン、書籍・ソフトが大きく拡大していたが、近年は家電製品・パソコンや書籍・ソフトに加え、ネットスーパーの普及による食品・産直品と、配送サービスの拡充やまとめ買い需要の獲得による生活雑貨が拡大。20年は新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり消費の増加を受けて、この傾向がさらに加速している。
ネットスーパー市場は10%増の1兆8712億円に
急速に増加したネットスーパーは、一時的な物流の麻痺により商品確保が困難となったケースや、配送システムがパンク状態となるケースもみられたが、同9.7%増の1兆8712億円と大幅な拡大が見込まれる「食品・産直品」市場や、同年比12.5%増の1兆2270億円を見込んだ「生活雑貨」市場の中で、注目市場となっている。
市場は生鮮食品などを、ネットを通じて手軽に注文できることが評価され拡大。展開する大手流通企業は顧客の囲い込みができることから注力している。スマホやタブレット端末の普及、共働き世帯の増加などライフスタイルの変化が進んでいることも追い風になっている。
需要が急速に増加していることから、今後は継続利用に向けた施策の強化が図られるとみられる。また、地方在住の高齢者を中心とした「買い物難民」に対し、自治体と連携してアプローチすることができれば需要のさらなる囲い込みが期待される。20年は19年比11.2%増の2625億円市場への発展を見込んでいる。
この続きは、通販通信ECMO会員の方のみお読みいただけます。(登録無料)
※「資料掲載企業アカウント」の会員情報では「通販通信ECMO会員」としてログイン出来ません。