経済産業省は25日、東京証券取引所と共同で「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」を選定し、「DX銘柄2020」35社と、「DX注目企業2020」21社を公表した。EC通販関連では、トラスコ中山(株)がグランプリとなったのをはじめ、Zホールディングス(株)やHamee
(株)などが「銘柄」に名を連ねたほか、(株)丸井グループが「注目企業」に選定された。
攻めのIT経営銘柄→DX銘柄に
同省は、ビジネス環境の変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するだけでなく、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立するために取り組んでいる企業として選定。コロナ禍でもデジタル技術を最大限に活用した活躍が期待されるとした。
東証上場企業の中から選んでおり、今年で6回目。近年、デジタル技術を前提として、ビジネスモデルなどを抜本的に変革し、新たな成長や競争力の強化につなげるDXのグローバルな潮流が起こっていることを踏まえ、今年の選考から、これまでの「攻めのIT経営銘柄」という名称から「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」へ変更した。
トラスコ中山ほか1社がDX銘柄GPに
また、企業のDXに向けた取り組みを強く推進するため、銘柄選定企業の中から「デジタル時代を先導する企業」として、機械工具卸売商社のトラスコ中山ほか1社を、「DXグランプリ2020」として発表した。
同社のDXに関する取り組みは、1月に基幹システムを刷新。社内の業務改革とともに、問屋としてサプライチェーンの中流に位置する同社が、ITを活用したDXを図ることで、全体の商習慣を変え、利便性を高めることにつなげ、日本のものづくりへの貢献を見据える。取引先とのデータ連携手段を多種多様な形で用意し、同社の機能(在庫・物流・システム・データ)をプラットフォームとして利用してもらえる環境を整備し、高度化している。
DXの位置付けを明確にし、さまざまなソースからデータを収集し、AIなどを活用してデータを分析し、それを同社の独創力としてサービスに転換するサイクルを柔軟に回すことに成功している点や、DX施策をKPI化し、具体的なKPIをリアルタイムで経営判断に活用している点などが評価された。
ネクストエンジンのHameeは5冠
また「注目企業」を含め、5年連続の受賞となったHameeは、自社EC店舗運営の自動化を実現するためにSaaS型ECプラットフォーム「ネクストエンジン」を自社開発し、外部提供している。「IT活用による革新的な生産性向上」を目的としたシステムで、EC事業者向けソリューションとしてサービス化、国内でトップシェアのECプラットフォームへと成長した。
自社EC運営にネクストエンジンを導入することにより、店舗運営の効率化や省力化が実現し、人員の増加を最小限に抑えながら多店舗展開が可能となることで、売上と利益の成長が加速。また、EC運営担当者からの要望に応えることにより、ネクストエンジンは常に進化・成長を続け、自社だけでなくユーザーの生産性向上にも貢献している。
丸井の「売らない店」進化に注目
「DX注目企業」に選定された丸井グループは、同社の「売らない店」への進化に向けた取り組みと、それらを支える「働き方改革」が評価のポイントになった。1月にD2Cビジネスの活性化を推進する専門会社を設立し、新しい顧客発掘の観点で新規ビジネスの創出にも寄与するもので、将来性・発展性も見込めること。働き方改革についても、モバイルや電子契約、RPAなどを活用した効率性・生産性向上策が認められた。
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