(株)メルカリが運営するメルカリ総合研究所が8月31日発表した「フリマアプリ取引構造の実態分析」によると、メルカリ内で取引される商品カテゴリーのうち、4割弱が出品者・購入者の平均年齢が一致する「年齢一致型」、3割弱が年下から年上への「逆おさがり型」、2割が年上から年下への「おさがり型」だったことが判明した。
メルカリ総研と博報堂生活総研が調査
成長を続けるフリマアプリは、登場初期に市場の拡大を牽引した10~30代女性ユーザーだけでなく、いまは男性や高齢者ユーザーが増加傾向にあるといわれている。その中で、どのような取引構造が生まれ、どのようにモノが循環しているのか。博報堂生活総合研究所と共同で、2019年の取引データから、出品者・購入者の年齢分布を分析した。
共同研究では、「メルカリ」で取引されている全1199商品カテゴリーの出品者・購入者年齢分布を分析。取引の傾向から商品カテゴリーを3つに分類し、その割合を抽出。出品者・購入者のいずれかが1000人未満の商品カテゴリーは「その他」に分類した。
年齢一致型の取引が約38%
それによると、出品者と購入者の平均年齢の差が1.0歳未満の「年齢一致型」が約38.0%、出品者の平均年齢が購入者の平均年齢より1.0歳以上低い「逆おさがり型」は約27.0%、出品者の平均年齢が購入者の平均年齢より1.0歳以上高い「おさがり型」は約20.5%、その他は約14.4%だったことが判明した。
フリマアプリなど個人間取引の発達で、モノの消費スタイルは多くの商品カテゴリーで、新品で買った人の中だけで使いつくされて「消える(捨てられる)形」から、ほかの誰かの新たな消費に「つながる形」にシフトしつつある。フリマアプリ上で生活者が具体的にどんなモノを、どんなタイミングで融通しあっているのか――。
おさがり型ではミレニアル→Z世代へ
例えば「おさがり型」の商品カテゴリーでは、『ダーツ』『美顔ローラー』はミレニアル世代からZ世代へ、『フィルムカメラ』は全年代からZ世代へ、『スケートボード』は、ストリートブーム世代間で取引されつつ、Z世代にも継承されていた。
「逆おさがり型」は、『コーヒー』などの嗜好性飲料、『ドライブレコーダー』などの安心ツール、『入浴剤』などの「温もり関連商品」は、30代から40代・50代へ。『練習機器(野球)』は、高校球児から野球を始める子どもを持つ親・指導者世代へ。
「年齢一致型」では、『バッジ(アニメ・コミックグッズ)』など趣味性の高い商品カテゴリーは、出品者・購入者の年齢分布が一致。『スニーカー』など一部のメンズファッションは、10代後半から20代前半、30代後半と2つの山の形で年齢分布が一致していた。
そんな実態の可視化を試みた博報堂生活総合研究所の酒井崇匡・上席研究員によると、
自分に必要がなくなったモノを次に必要としている人へ、という考え方に立つとイメージされるのは、年上の出品者から年下の購入者へ「おさがり」するモノの流れ。『育児用品』などだけでなく、『美容ツール』やアナログな『フィルムカメラ』、あるいは『ストリート文化』などだ。
年下の出品を年上が買う「逆おさがり型」とは?
また、実はそんな「おさがり型」よりも、年下の出品者から年上の購入者へモノが「逆おさがり」する商品カテゴリーの方が多い、という意外な発見も。『ドライブレコーダー』のような新しいツールが下世代から上世代に広められていたり、『野球のボール』などスポーツ用品の受け継がれ方など、生活者間の消費の対流の多様性をうかがい知ることができる。
該当する商品カテゴリー数が最も多かったのは、『アニメ』など趣味性の高い商品カテゴリーを中心に、出品者と購入者の平均年齢が一致する「年齢一致型」だった。
生活スタイルの多様化で、リアルな交友関係での従来型の「おさがり」は起こりにくくなっている。フリマアプリはそれを補完し、さらに従来にない新しいものの対流を生み出していることが示された。フリマアプリは単にモノが生活者間を行き来する場というだけでなく、年齢の上下双方向にモノが「おさがり」したり、「逆おさがり」することで、新しい生活スタイルや文化が広がり、継承される場にもなっていると分析している。
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