国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2日、物流拠点から住宅や指定地への配送(ラストワンマイル物流)に関し、「遠隔・非対面・非接触」を実現するための自動走行ロボットの技術開発に着手すると発表した。ソフトバンク(株)や佐川急便(株)など12社が事業実施者となり、全国10か所での実証実験を計画している。
※写真は楽天と東急リゾーツ&ステイによる実証実験
11月から市街地・商業施設・工業地帯などで実証実験へ
NEDOによると、新型コロナウイルス感染症による影響で、物流拠点から住宅や指定地への配送に関して、宅配需要の急増や配達員の感染などによる配達員不足や配送の一時的な停滞が発生。いまもなお影響が懸念されており、配送ニーズ増加や配達員不足が見込まれる中での対応策として、新たな配送サービスの早期実現が求められている。
こうした背景からNEDOは、自動走行ロボットを早期に実用化し、非常時でも物流サービスの維持を可能とすることでサプライチェーンの強靭化を図るとともに、関連市場の活性化を見据えた技術開発事業の着手を決めた。事業では、開発した自動走行ロボットを用いて、集合住宅や市街地、商業施設、工業地帯などで走行させる実証を11月以降順次実施し、一部では公道での実証を行う。
官民協議会と連携して実施
さらに、自動走行ロボットを活用した新たな配送サービス実現の観点から、社会受容性の向上に向けた取り組みのあり方などの分析・検討を実施する。事業は、自動走行ロボットを活用した配送の実現に向け、関係省庁や自治体、事業者などでつくる「官民協議会」と連携して実施する。事業期間は2021年9月までの13か月間。
自動走行ロボットを活用した新たな配送サービス実現に向けた技術開発事業の1つとして、「オフィス街向けのオフィスビル内外配送サービスの実現」を実証テーマに、事業実施者のソフトバンクと佐川急便が、協力企業の東急不動産(株)やアスクル(株)、タリーズコーヒージャパン(株)、MagicalMove(株)と連携し、「屋外」と「屋内」の2つの配送シナリオに沿って、技術面やサービス実用性についての検証・評価を行う。
その他、さまざまな自走ロボット活用の実証実験を実施
「屋外」では、東京都がスマートシティのモデルケースの構築に取り組んでいる竹芝エリアで、自動走行ロボットと信号機の連携システムや、信号機の表示に従って交差点を横断するなど、公道を安全に走行しながら荷物を配送する実証実験を実施する。また、走行時の荷物の温度変化や段差などによる衝撃についても検証する。
「屋内」では、ソフトバンクの新本社となるオフィスビル「東京ポートシティ竹芝オフィスタワー」に、自動走行ロボットと館内エレベーターの連携システムを導入し、自動走行ロボットがエレベーターに乗降して異なるフロアへ荷物を配送する実証実験を行う。また、オフィスビル・商業施設でのロボットによる自動配送の有効性についての検証も実施する。
その他の事業実施者・実証予定地・協力企業(団体)・実証テーマは次の通り。
■(株)NTTドコモ=首都圏の団地・日本総合住生活(株)/団地の居住者や団地内でのサービス提供者に向けた配送サービスの実現
■日本郵政(株)=関東近郊/セキュリティマンション向け複数台自動走行ロボットによるラストワンマイル配送サービスの実現
■TIS(株)=福島県会津若松市/中山間地域の生活支援向けロボットシェアリング型配送サービスの実現
■パナソニック(株)=Fujisawaサスティナブル・スマートタウン/住宅街向け小型低速ロボットによる安全・安定なラストマイル配送サービスの実現
■(株)本田技術研究所・楽天(株)=小売店など/個人向け自動走行ロボットによる安全な配送サービスの実現
■(株)QBIT Robotics=森トラスト(株)/大規模オフィスビル向け異種ロボット連携による館内配送サービスの実現
■アイシン精機(株)=(株)トヨタオートモールクリエイト/大型商業施設向け店舗から駐車場への商品自動配送サービスの実現
■(株)東芝=商業施設など/商業施設バックヤード向け複数ロボット連携システムによる配送サービスの実現
■京セラコミュニケーションシステム(株)=北海道石狩市/工業地域向けロボットシェアリング型配送サービスの実現
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