アスクル(株)が16日発表した2021年5月期第1四半期「(20年5~8月)連結決算は、売上高が前年同期比2.3%増の1001億8000万円、営業利益が同102.1%増の29億9000万円、純利益は同65.0%増の15億200万円となった。
ECは営業利益174.3%増の34億円
売上高は初めて1000億円を突破、営業利益は前年同期比2倍と、それぞれ四半期では過去最高益となった。4月の緊急事態宣言以降に落ち込んでいたBtoB事業の売上高が、解除後は着実に回復し、手指消毒液やマスクなどのコロナ禍対策商品の特需もあったことから増収増益となり、BtoC事業の「LOHACO」も損益改善が予定通り進捗した。
セグメント別でみると、主力の「eコマース事業」は、売上高が980億200万円(前年同期比2.6%増)、営業利益は34億4200万円(同174.3%増)。うち、BtoB事業の売上高は、同15億7000万円増収の811億2200万円(同2.0%増)となった。
感染対策商品に特需、MRO商材も好調
緊急事態宣言による顧客の事業活動の自粛の影響を受けて売上高も落ち込み、中堅・大企業向けの売上高は依然厳しい状況が続いているが、5月の解除後は、中小企業などの事業活動が正常化に向かっていく中、売上高は想定よりも早く回復している。感染対策商品の特需が継続し、EC需要の増加による梱包資材などのMRO商材、注力するロングテール商材の売上高が伸びたことから増収となった。
LOHACOは売上高5%増、23年に黒字へ
BtoC事業の売上高は前年同期比で8億6800万円増収の168億8000万円(同5.4%増)となった。「LOHACO」の損益改善を最優先課題として取り組み、損益改善については、コロナ禍の自粛生活が続く中、付加価値の高い商品の提案や販売価格の適正化などにより商品粗利率の向上が進むとともに、19年7月に開始した「ひと箱eco」サービスなどの構造改革の効果も着実に表れてきている。
「LOHACO」の第二成長に向け、新たな顧客獲得を目的に19年10月に出店を開始したヤフー(株)が運営する「PayPayモール」経由の売上高は順調に伸長しており、ヤフーとの連携強化のもと、販促費の抑制にも寄与している。これらの施策を通じて、売上総利益の向上と売上高販管費比率の低下が進み、「LOHACO」の売上高は、前年同期比で6億5900万円増収の129億2900万円(同5.4%増)となった。
着実に改善が進む「LOHACO」は、23年5月期までの黒字化実現をめざしている。今期は限界利益率のさらなる改善、次期以降は固定費を中心とした削減を図るとした「黒字化ロードマップ」を明らかにしている。
なお、ECに対する需要が高まる一方で、出荷能力に起因する配送リードタイムの延伸が「LOHACO」の課題となっていることから、出荷体制を拡充し、早期に課題を解消できるよう取り組んでいくとした。
ロジ部門は5億円弱の営業赤字
「ロジスティクス事業」の売上高は19億9100万円(前年同期比5.8%減)、営業損失は4億7900万円 (前年同期は営業利益2億1300万円)となった。11月に開始を予定している物流業務受託の準備期間に係る物流センター賃料などの費用負担があったことから、営業損失となった。
同社は最近の業績動向を踏まえ、7月に発表した21年5月期の通期業績予想を上方修正した。売上高は4030億円から4063億円(前期比1.5%増)、営業利益は72億円から92億円(同4.3%増)、純利益は45億円から50億円(同11.5%減)を見込んだ。
主力のBtoB事業で、EC市場拡大に伴う購入顧客数の増加などによる売上高の増加に加えて、特需的な要因も含めた感染対策商品の売り上げ拡大によるカテゴリミックスの変化、および原価低減施策などによる売上総利益率の向上。また、売上高の回復に伴う物量の増加による物流生産性の回復などにより、上方修正となった。
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