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2020.09.24 コラム

突発的なEC出荷パンクを回避する方法とは?外部委託で成功する物流戦略

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2020年の初夏、エンタメグッズ通販事業を営むA社の物流部門がピンチを迎えた。人的リソースで処理できる容量を大幅に超える商品注文が入ったのだ。注文殺到の理由は「SNS上での盛り上がり」だった。通販事業者にとって「注文殺到」は嬉しい悲鳴だ。一方で、現場のキャパシティを超えてしまうと出荷遅滞やヒューマンエラーの増加、スタッフのモチベーション低下などさまざまな事柄を引き起こしかねない。結果的に顧客満足度の低下に直結してしまうことすらある。こうした事態を回避するためには「現場業務の効率化」、ひいては物流戦略の確立がカギとなる。冒頭のA社はこのピンチをある方法で乗り越えた。その方法に迫る。


 

出荷業務の部分委託でピンチを回避

  EC・通販で商品の注文が殺到する、ということはままある。1つの例として「テレビで紹介された」ことから注文殺到という現象がある。特に今年の上半期はマスクの品薄を受け、機能性マスクの投入が相次ぎ、それを紹介するワイドショーも多かった。テレビ放送後にTwitterなどのSNS上でも拡散され、紹介された商品が瞬く間に「売り切れ」ということが多発していた。そのほかにも単純にSNS上で話題が話題を呼び、ECサイトへのアクセスや注文が殺到したということもある。この現象はなかなかEC・通販事業者側ではコントロールが難しい。
 
 冒頭で紹介したA社にも、まさにこの現象が起きた。「嬉しい悲鳴」ではあったが、もともと自社で出荷を行っていた同社の担当部門は出荷増を受け止めきれずパンク。SNSで話題となった商品のみならず、他の商品の出荷遅滞も起きてしまい、購入者から「商品はまだか?」といった問い合わせやクレームが相次いだ。そこでA社は急遽、物流戦略の見直しを実施。ピンチを乗り越えるためにとった方法は、「社内で受け止めきれない出荷業務を部分的に外部委託すること」だった。社内で対応できる出荷はこれまで通り行いながらも、出荷が増加している商品に関しては外部に委託することで安定的な稼働を目指した。
 

シームレスECプラットフォームは従量課金

  一般的に物流をアウトソースすると、一定の出荷量が求められるほか、固定の倉庫保管料や初期費用がかかるなど、流動的な利用が難しいイメージがある。しかし、近年物流業者によっては、マテハンや人材、スペースなどを使用した分だけ支払う「従量課金制」のサービスを提供する企業も出てきている。そんな中、佐川グローバルロジスティクス(株)(=以下SGL)は、佐川急便を中核とするSGホールディングスグループ(以下SGHグループ)の次世代型大規模物流センター「Xフロンティア」内で最先端のマテハンを従量課金制で利用できるフルフィルメントサービス「シームレスECプラットフォーム」を提供している。A社はこの「シームレスECプラットフォーム」を導入し、難局を乗り越えた。



SGLはSGHグループのロジスティクス事業を展開する会社。「Xフロンティア」はSGHグループの物流ノウハウが詰まった次世代型大規模物流センターである。「Xフロンティア」には、佐川急便の大規模中継センターやSGHグローバル・ジャパンの国際物流拠点などが入居しており、高品質で安定した物流サービスの提供を可能にしている。
 

深夜注文の翌午前配達も実現

  「シームレスECプラットフォーム」は物流ロボットによる効率的な運営が行われ、24時間365日稼働する。センター内の在庫回転率が非常に高く、受け入れ可能なキャパシティも膨大という特長がある。そのため、事業規模や出荷量の多寡を問わずに利用できる。
 
 

 ロボットが自動で棚ごと持ち上げ物流拠点を動き回る
 
 SGLでEC Logi Tokyoの所長を務める堀尾大樹氏は「スペースやシステムを使用した分だけ支払う従量課金制を採用しているため、中小規模のEC事業者様にも利用していただきやすい料金体系となっている。」と言う。
 


 
 

物流ロボットが24h稼働

  まず、「シームレスECプラットフォーム」に入荷した商品は、入荷検品後に自動棚搬送ロボットが稼働するエリアの棚に保管される。商品の注文があると、自動棚搬送ロボットが出荷検品エリアまで該当する棚を移動。スタッフがピッキングした後、出荷オーダーごとに仕分けて台車にセット。梱包エリアまで無人搬送機が台車を運搬し、最後に自動梱包機によって梱包され荷姿の完成である。

 


 写真奥のコンベアで商品が運搬され、手前の大型機械で自動梱包を行う  

 そして同施設内にある佐川急便の中継センターから全国に向けて発送される。関東圏であれば、深夜に注文された商品を最短で当日午前中に配達することも可能だ。

注文殺到品の出荷だけ委託

 A社は社内の物流キャパオーバーから部分的な外部委託を決断。SNSで話題となり注文が殺到した商品の出荷のみをSGLに委託した。膨大な注文の出荷処理を24時間体制で実施することで、商品の受注から発送までのリードタイムも早まった。
 
 「例えば、定期購入の基幹商品など、回転率が高いものを切り出してご利用いただければと思います。そのほかにも発売日前後やセールなどで出荷量が増加する際に、スポットでご利用いただくことも可能です」(堀尾所長)と話す。
 
 また、「シームレスECプラットフォーム」は、簡単に利用を始めることができる点も特長の1つ。「サービスは利用規約に同意いただくなど、簡単な手続きを済ますことですぐにでもご利用いただけます。施設内では個別のニーズに合わせてカスタマイズできるオーダーメイド区画もありますので、個別相談も承ります」(同)と言う。また「ご依頼の予定が決まっていなくても、事前に手続きを済ませていただければ、急なご要望にもスムーズに対応いたします」(同)とも話している。
 
 

駅徒歩3分の施設見学は現地でも可能

 
 最先端の物流ロボットが稼働しているセンターは、現地はもちろん、オンライン内覧会の動画がYouTube公式チャンネルで視聴できる。「物流ロボットの動くセンターを見てみたい」「自動梱包機の動きを見たい」といった読者もまずは動画でそのテクノロジーに触れてみてほしい。センターは東京メトロ東西線「南砂町駅」至近で徒歩3分程度と公共交通機関からのアクセスが非常に良く、見学に訪れるEC・通販会社も増えている。

 年末の繁忙期を迎える前に、物流がパンクしてしまうリスクを含め、改めて自社の物流を見直してみるいい機会かもしれない。






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