(株)千趣会がこのほど発表した2020年12月期第3四半期(20年1~9月)連結決算は、
売上高が前年同期比8.4%減の595億200万円、10億7500万円の営業損失(前年同期は12億5700万円の営業利益)、50億7000万円の純損失(前年同期は83億7200万円の純利益)となった。
巣ごもり需要で通販事業は増収増益
通信販売事業では、重点的に投資した集客プロモーションの奏功や継続的なオペレーション改革の実行による粗利率の改善など、中期経営計画に基づく事業構造改革の効果が着実に現れていることに加え、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う消費者の外出自粛による新たな需要の獲得もあり、増収増益となった。
その一方で、ブライダル事業では感染拡大懸念の高まりにより、4~6月に予定されていた挙式披露宴の大多数が延期となった。7月以降の回復も緩やかにとどまるなど、外部環境の大きな変化により、前年同期と比較して売上高は大きく減少した。
カタログとインターネットを中心とする通信販売事業の売上高は488億6900万円 (前年同期比9.0%増)、営業利益は17億6300万円(同1億4200万円の営業利益)となった。顧客基盤の再構築に注力した結果、減少傾向にあった主力のベルメゾンの購入者数は同25%増となり、増加に転じている。
既存顧客に対するアプローチ内容を再検討して継続購買を喚起したことや、コロナ禍に伴う巣ごもり消費や生活様式の変化での新たな需要を顧客視点で検討。生活用品や子供用品など、日々の暮らしの提案を添えた商品紹介を増やすなどの対応を行った。オペレーション改革による原価低減推進などの効果もあり、前年同期比で大幅な増収増益となった。
ブライダル事業は営業損失33億円
ハウスウエディングを中心とするブライダル事業の売上高は51億6400万円(前年同期比65.0%減)、営業損失は33億3300万円(前年同期は6億6700万円の営業利益)となった。
コロナ禍による影響は、なお継続すると考えられ、継続的に販売費や一般管理費の削減・効率化を図るとともに、少人数挙式など多様化する新たなニーズへの対応など、withコロナを前提とした取り組みを推進することにより、業績の改善を図っていくとしている。
法人向けの商品・サービスを提供する法人事業の売上高は38億500百万円(前年同期 比3.9%増)、営業利益は3億6200万円(同20.6%増)。ノベルティ事業での新規顧客の獲得及び配送商品にダイレクトメールを同梱するなどのサービスを展開するサンプリング事業で売上増の成果が得られるなど、全面的に好調に推移した。
通期業績予想を下方修正
後発事業として、東日本旅客鉄道(株)との間で資本業務提携および、同社に対する第三者割当による自己株式の処分を決議し、契約を締結。10月12日にJR東日本に対する自己株式処分が完了した。通販事業のデジタル化の加速などに伴い、ECサイトの利用者の増加や売上高の増加、利益率の向上に寄与するシナジー効果が期待できる提携先として資本業務提携に至ったとしている。
同社は併せて、20年12月期(20年1~12月)の通期業績予想を修正し、公表した。2月に発表していたが、その後4月になって取り下げていた。新たに策定した予想数値は、売上高が前期比8.0%減の820億円、営業損失は13億円、純損失は53億円を見込んだ。
通信販売事業は主力のベルメゾンの購入者数が増加していることから、通期でも前期実績を大幅に上回る見通し。一方で、ブライダル事業はコロナ禍の影響で第4四半期の売上高を前年同期比の約5割と仮定。通期実績は大幅な減収、営業赤字を見込んだ。
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