ヤマトホールディングス(株)がこのほど発表した2021年3月期第2四半期(20年4~9月)連結決算は、売上高にあたる営業収益が前年同期比0.7%増の8060億6700万円、営業利益は同333.2%増の269億15百万円、純利益は141億8600万円(前年同期は34億5900万円の純損失)となった。
「EAZY」の拡販に注力
前年同期比で59億4100万円の増収となった営業収益は、成長が加速するEC領域に対応した結果、荷物の取扱数量が増えたことによる。また、営業費用は7791億5200万円となり、同147億6000万円減った。荷物の取扱数量が増加する中、データ分析に基づく経営資源の最適配置による集配効率の向上や幹線輸送の効率化推進により費用を抑制した。
コロナ禍などによる社会のニーズに応え、ECの高い成長力を取り込むため、産業のEC化に特化した物流サービスの創出とECエコシステムの確立に向けた取り組みを推進。今期は、大手EC事業者との協業により、EC利用者、EC事業者、配送事業者の全てをデジタル情報でリアルタイムにつなぐことで、購入、配送、受け取りの利便性と安全性、効率性を向上させる新配送サービス「EAZY(イージー)」の拡販を推進した。
さらに、オンラインショッピングモールに出店するEC事業者の物流最適化に向け、受注から出荷・配送までの運営業務を代行するサービスの拡販を推進。また、デジタルテクノロジーを有するパートナーとの提携のもと、ECで購入した商品の受け取りや返品の利便性を高める新サービスの提供に向けて、荷物の受け取り拠点となる店舗の募集を開始した。
クロネコDM便は1億2100万冊減
デリバリー事業では、宅急便の取扱量が前年同期比13.1%増の9億9400万個、クロネコDM便は同23.4%減の3億9800万冊。これにより、営業収益は同5.3%増の6742億7900万円となった。営業利益は、荷物の取扱数量が増加する中、データ分析に基づく経営資源の最適配置により集配効率を向上させたことや、幹線輸送の効率化を推進したことなどで196億5800万円となり、同232億2100万円改善した。
BIZ-ロジとe-ビジネスは減収減益
BIZ-ロジ事業の営業収益は、同3.1%減の687億6700万円、営業利益は同48.8%減の12億4800万円。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う移動の制限や美術展の開催中止により、海外生活支援サービスや美術品輸送の取扱いが減少した。EC向けサービスとしては、受発注対応から在庫の可視化、スピード出荷などのサービスをワンストップで提供した。
e-ビジネス事業の営業収益は、成長が加速するEC領域に対応したことで、商品の受注・出荷業務を支援する「Web出荷コントロールサービス」の利用が拡大したが、前期の軽減税率に対応したシステムサポートの反動減などにより133億9500万円となり、前年同期比10.3%減少。営業利益は47億8900万円となり、同9.2%減少した。
ECによる成長見込み通期業績は上方修正
同社は併せて、7月に発表した21年3月期通期(20年4月~21年3月)の連結業績予想を上方修正した。営業収益は1兆6380億円から1兆6460億円(前期比1.0%増)、営業利益は640億円から680億円(同52.1%増)、純利益は330億円から350億円(同56.8%増)に、それぞれ修正した。
営業費用については、配送ネットワークの整備や構造改革の推進にかかる費用が増加する見込みだが、コストの適正化を図るとともに、成長が加速するEC領域に対応していくことなどにより、前期実績を上回る見込みを反映させた。
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