中国・アリババグループのデータ・インテリジェンスの中枢であるアリババクラウドは25日、「天猫ダブルイレブン ショッピングフェスティバル」(独身の日、W11)向けに投入した最先端の技術を、アリババクラウド・ジャパンサービス(株)経由で公開した。
開始から26秒後に注文数が毎秒58.3万件に
1~3日と11日に催した今年のW11の流通総額は、4982億元(約7兆7200億円)と過去最高額を記録。そのセールイベントを支えたのが、アップグレードしたアリババクラウドのインフラだ。11日は、開始から26秒後に注文数が毎秒58.3万件とピークに達し、2009年の初開催時と比べて1400倍に増大した。Apache Flinkを使用したアリババのリアルタイム・コンピューティング・プラットフォームは、ピーク時に1秒間に約40億件のデータストリームを処理。その能力は昨年の25億件から大幅に増加した。
独自のデータウェアハウス・プラットフォームであるMaxComputeは期間中、1日に最大1.7エクサバイト(1エクサバイトは10億ギガバイトに相当)のデータを処理した。これは、世界の70億人分の高解像度写真230枚を処理するデータ量に相当する。期間中、極めて高い拡張性と処理性能が問われるにもかかわらず、ダウンタイムは一度も報告されなかった。
「タオバオライブ」では遅延を1秒以下に抑制
アリババクラウドは、PolarDB、AnalyticDB、Lindormなどのクラウドネイティブなデータベースの活用で、ピーク時でも円滑に運用。PolarDBは1億4000万件/秒のクエリ(昨年比60%増)を記録した。データウェアハウスAnalyticDBは、大英図書館の英国ウェブアーカイブに保存されているデータの15倍に相当する最大7.7兆行のリアルタイム・データを処理。PolarDB-XとAnalyticDBにより、中国郵政は1億件以上の注文に対応することができ、約10万人の利用者がオンラインで配達状況を確認できるようになっていた。
テクノロジーとイノベーションのハイライトは、ライブコマースにも。「タオバオライブ」では、遅延を1秒以下(業界平均より約75%低い遅延)に抑える技術など、アリババクラウドの狭帯域・高精細映像ソリューションを活用。消費者とダイナミックかつ円滑に交流できるライブ配信体験を提供したことで、マーチャントの売上の向上にも繋がった。
自然言語処理、画像認識、テキストの読み上げ機能、クラウド・レンダリングなどのアリババDAMOアカデミーの最新のマルチモジュール技術を活用して、出店者向けのバーチャル・キャスター・サービスを開始した。ライブ配信の販売員が休憩中でも、商品の詳細を説明したり、一部の問い合わせに対応したり、視聴者とゲームをしたりする機能を備えている。
リアルタイム・ライブ配信翻訳機能も
グローバル小売マーケットプレイスであるAliExpressは、DAMOによる革新的な音声モデルを採用したEC・プラットフォーム上で機能する世界初のリアルタイム・ライブ配信翻訳機能を発表。騒がしいライブストリーミング環境での聞きづらさを軽減し、なまりのある音声も認識。期間中、AliExpressの出店者の70%以上がこの翻訳機能を活用し、全世界で約800万人がAliExpress上で9000本以上のライブ配信映像を視聴した。
タオバオでは、不動産物件や家具などの高額商品を販売するために、3D映像を使ったバーチャル・ツアーを開催。その中で、グラフニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、3D形状分析、ナレッジグラフなどの機械学習技術を活用した3Dモデリング・デザイン・プラットフォームをブランド向けに提供し、3Dモデル作成にかかる時間を3時間から10秒に短縮した。出店者はこの技術を活用して、10万以上のショールームにバーチャル3D製品を設置し、フェスティバル期間中に6000万人の消費者が体験した。
アリババクラウドは、MaxCompute、PolarDB、AnalyticDBといった独自のソリューションがもたらすメリットに加え、世界最大級のコンテナ・クラスタをサポートすることで、1時間に100万個のコンテナにアップスケールできるようになった。最先端のクラウドネイティブ技術が可能にした最適な弾力性とスケジューリング能力により、4年前と比較して、1万件のトランザクションが行われるごとに80%のコンピューティング・リソースを削減した。
データセンターでは液冷や風力エネルギーを含む最先端のグリーン・テクノロジーを使用
アリババは、5つのハイパースケール・データセンターで液冷や風力エネルギーを含む最先端のグリーン・テクノロジーを使用した。例えば、杭州にあるセンターでは、世界最大級のサーバー・クラスタを専用の液体冷却剤の中に沈め、ハードウェアを急速に冷却。トータルのエネルギー消費量を70%以上削減。年間最大7000万kWhの電力を節約することができ、これは英国の1万6000世帯以上の家庭の年間電力使用量に相当する。
アリババグループは昨年のW11で、すべての基幹システムをアリババクラウドに移行。クラウドネイティブなイノベーションにより、拡張性の高いアプリケーションの提供効率を2倍に高めた。今年も8億人の消費者と25万のブランドと、ダウンタイムゼロの運用をサポート。安定したデジタル・インフラや、クラウドネイティブなサービス、円滑な顧客体験を実現するアプリケーションの提供など、すべてを乗り越えることができたと、同社のテクノロジーを自負している。
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