消費者庁は10日、人気の家庭用テレビゲーム機「Nintendo Switch」の販売を装った偽の通信販売サイトについて、消費者の利益を不当に害する恐れがあるとして消費者安全法ん基づく注意喚起を行った。Nintendo Switch購入者をターゲットとするリスティング広告により誘引し、商品がないのにもかかわらず代金を振り込ませるという「手口」だ。
今夏から急増、偽ECの屋号も公表
各地の消費生活センターにはこの夏以降、代金を支払ったものの商品が届かないという相談が相次いでいる。調べた結果、「消費者を欺く行為・債務の履行拒否」を確認したため、消費者安全法に基づき情報を公開。都道府県や市町村にも提供し、周知することにした。
同庁が確認した偽の販売サイト(屋号とアクセス可能期間)は次の通り。
・OTOKU/8月上旬~中旬
・TAKUMI/8月中旬~9月上旬
・Gaming/9月中旬~下旬
・SELECT STORE/10月上旬~中旬
・E STORES/10月中旬~下旬
・SMART STORE/11月上旬~中旬
・FIRST/11月中旬~12月上旬
・PLUS/12月上旬~
家電ECを装い、Switch特集ページも
いずれのサイトもNintendo Switchのほか、パソコン、スマートフォン、カメラ、家電製品を販売しているように装い、特にNintendo Switchの特集ページをサイト内に設けて消費者を誘引している。外見は普通の通信販売サイトで、不自然な日本語表記もみられず、一見しただけでは偽サイトと気づくのは困難だという。
各サイトには利用規約のページがあり、それぞれ別の事業者情報が掲載されているが、すべて虚偽。代表者の氏名やサイト運営責任者の氏名、電話番号などの記載が無く、運営者の実態は不明。サイトの構成は屋号以外ほぼ同一で、サイトを流用していると考えられる。
各偽サイトのアクセス可能期間は半月ほどと短く、一つのサイトが閉鎖されて間もなく、屋号を変更したサイトが公開されている。URLは「〇〇store.jp」と、〇〇の部分のみが変更されているなど規則性がある。各偽サイト運営者からの送信メールも文面がほぼ同じで、メールを流用していることなどから、すべて同一の事業者が運営していると考えられるという。
リスティングで誘因
偽サイトへの誘引は、サイトで「スイッチ」などと検索すると表示されるリスティング広告。「スイッチ 本体価格34,900円」などと表示され、メーカー希望小売価格より若干安い価格や、ほぼ同じ価格が表示される。「残り〇個」などと在庫がわずかであるかのように表示し、消費者に「早く注文しないと売り切れてしまう」という焦燥感を与えるという。
商品を注文すると代金の振込みを知らせるメールが届く。振込先の銀行口座は個人名義
なので、この時点で疑問を持って相談する消費者もあるが、多くは子どもや孫のために早く手に入れたいなどと思い、指定された口座に代金を振り込んでしまう。
代金を振り込むと「入金を確認したので翌日に商品を発送する」というメールが届き、その後、「商品発送メール」が届く。「商品発送メール」には宅配便の伝票番号も記載されているが、これも架空のもの。結局、商品は届かず、偽サイト運営者への連絡手段もない。
消費生活センターには、スイッチ以外の商品についての相談はほとんど寄せられていないことから、偽サイトの運営者は、リスティング広告などを利用してスイッチの購入を希望する消費者に狙いを絞って詐欺行為を行なっていると見られるという。
振込先とした口座は約40件を確認。現在は被害者からの申し出などで凍結されているが、消費者が振り込んだ金額のほとんどは引き出されており残高は僅かだった。また偽サイトのうち、「FIRST」「PLUS」には、スイッチに加えて「PlayStation 5」についても同様の手口で販売しているように見せかけていた。
個人口座宛て前払い銀行振り込みに注意
消費者庁によると、これまでの偽の通信販売サイトでの被害状況からすると、代金を前払いで個人名義の口座に振り込ませようとする場合には偽サイトである可能性が高い。そのようなときは代金を振り込まないように注意を促している。
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