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通販通信ECMOニュース・記事コラム【資料付】LTV(ライフタイムバリュー)とは?計算式から改善策まで

2022.10.15 コラム

【資料付】LTV(ライフタイムバリュー)とは?計算式から改善策まで

 事業を成長させるためには、さまざまな取り組みが必要ですが、売上拡大に多大な影響を与える要素は、「商品力」「新規顧客獲得のマーケティング」「既存顧客のリピート購入」の3つに大きく分けられると思います。現在ではEC・通販市場の競争が激しくなっていることで、新規獲得のコストが上がっていることから、リピート購入を増やす方に比重を置く通販会社が増えています。そこでキーワードになっているのが、LTV(ライフタイムバリュー)向上の取り組みです。今回はEC・通販事業の成長に欠かせないLTVについて詳しく解説していきたいと思います。(2020年12月初出/2022年10月改稿)

LTVlife time value

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LTV=顧客生涯価値

 LTVとは、「Life Time Value(ライフ・タイム・バリュー)」の略で、日本語では「顧客生涯価値」と呼ばれるマーケティング指標のひとつです。

 ある顧客が生涯にわたって、どれほどの利益を企業やブランドにもたらしたかを図る際に、参考になります。

 LTVは企業が継続的に利益を生み出す上で無視できない数値です。LTVの高い顧客は、いわゆる「リピーター」や「ファン」と言われる存在。こうした顧客の満足度をいかに上げるかが非常に重要になってきます。

 企業と顧客との取引は一度限りで終わるものではありません。顧客が企業の商品を気に入ったときにはリピーターになってくれます。そして、自社の商品やサービスを繰り返し購入するユーザーが増えれば、売上は安定しやすくなります。

 そのため、近年では新規顧客の獲得だけでなく、既存客から得られる利益を最大化するための施策を行う企業が増えてきています。

 特に、CPO(=Cost Per Order、注文1件あたりに必要となる費用のこと)が高騰している市場(いわゆるレッドオーシャン)では、新規の顧客を獲得することが困難になっています。

 CPOが高騰すれば採算割れを起こすリスクも。注文1件を獲得するためにコストがかかりすぎれば、それだけ利益率も下がってしまいます。

 一般的に、新規顧客を獲得するには、既存顧客の5倍のコストが発生すると言われています。集客コストを最適化するためにも、LTVを最大化することがいかに重要かがわかるかと思います。

 新規顧客を得るためにコストをかけるか、リピーターになってもらうためにコストをかけるか。Webマーケティングではこのバランスを注視することで、今後の商品の売上が大きく変わってきます。
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計算式=購入単価×購入回数×継続期間

LTV

 LTVの計算式は、販売する商材や販売チャネルによっても異なります。まずは、代表的な計算式を3つ紹介します。

▼リピート商材

計算式 LTV=購入単価×購入回数×継続期間(値は全て平均値)
 たとえば、購入単価(5,000円)×購入回数(年3回)×継続期間(2年)だった場合のLTVは、30,000円と計算できます。

 これはLTVの一番単純な計算方法で、顧客データがあれば、すぐにでも計算できます。

 自社のLTVを計算するときは、顧客一人ひとりのLTVを計算できることが理想です。

 しかし、実際に行うとなると、かなり大変な作業になってしまいます。

 この計算方法では、まず全体を把握するために、全てのデータの平均値から計算します。まずは平均値を算出してみて、期間ごとの推移を見てみるのも有効な分析です。

▼BtoB商材

計算式 LTV=(1顧客の)年間取引額 × 収益率 × (1顧客の)継続年数
 これは、法人取引があった場合のLTV算出方法です。こちらの式には収益率が変数として含まれているLTVの計算方法になります。

 たとえば、ある企業との年間取引額(800,000円)×収益率(50%)×継続年数(3年)があった場合、120万円のLTVと計算できます。

 「LTVが高い」ことは、「収益性が高い」ことを意味します。

▼サブスクリプション型商材

計算式 LTV=顧客の平均単価×粗利÷解約率
 サブスクリプション商材では、特に顧客との持続的な関係が求められます。サブスクリプションは基本的に月ごとの定額制になっているので、この計算方法では、解約率(=月に解約した顧客数÷月の総顧客数)の変動がLTVに大きな影響を与えます。

 解約率の減少に努めれば、LTVを増加させることができ、スケール化が見込めるでしょう。
▽参考記事:LTVの計算方法【モデル別3大計算式】…サブスクEC/SaaS事業者向け
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LTVの全体像【図解で解説】


LTV


 LTVを向上させる取り組みは数多くあります。ここでは、その中のいくつかを紹介します。

 まず重要なことは、顧客情報を管理し、的確なマーケティングを行うことです。こういったことが、CRM(後に詳細を説明)運用の取り組みになります。

 さらに、売上や維持と同様に「体験(UX)」も重要視すべきです。企業と顧客で生じる接点、DMや問い合わせ対応を通じて、顧客に感動や満足感を与えられるかもLTVに大きく関わります。顧客が得た満足感は今後のリピート利用に直結します。

 そのためには、SNSによるマーケティングが欠かせません。口コミや、広告機能をフルに活用することで、顧客との接点を作り出すことができます。

 顧客は商品の購入前に口コミや広告をチェックして、商品の特徴を掴みます。また、決済サービスに着目してみるだけでも、様々な決済方法が存在し、顧客の年代や、性質に合った決済サービスを選択できるようにするだけでも、LTVに影響を与えます。

 そのほか、配送サービスや顧客対応の窓口であるコールセンターなど、さまざまな要素がLTVに関係してきます。

 こうした項目をそれぞれに実施していくことも大切です。顧客体験を高めるための施策を総合的に講じることで、LTV向上につなげましょう。

LTVを向上させる3ポイント


LTVLTV3

 これまで、LTVの意味や計算方法を説明してきました。では、LTVを最大化するためには、具体的にどのようなことを実施すればよいのでしょうか。

 冒頭に説明したように、LTV最大化への道は、いかに自社の商品のファンとなってもらい、リピーターになってもらうかを考えるプロセスです。

 そのためには、自社の商品の魅力を徹底的に分析することや、顧客についての情報を管理する必要があります。

 そこから顧客に合ったSNSやDMなどのアプローチ手法で、次の購買につなげてもらいます。

 継続的に購買してくれるシステムを作ることは容易ではありません。膨大な顧客に関するデータを整理し、そこから得られる情報をいかに活用していくかが重要になります。

 顧客のデータを積極的に活用していき、LTVを最大化していくことで、継続的な売り上げにつなげましょう。

 ここでは、LTVを向上させるための例として、3つのポイントを以下に挙げ、説明していきます。
  • CRM運用について
  • どんなデータ分析方法が有効か
  • マーケティング手法の紹介

(1)LTV最大化に欠かせないCRM運用

 CRMとは、「Customer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネージメント)」の略で、「顧客関係管理(顧客管理)」と呼ばれるマネジメント手法です。

 顧客との関係性を維持するためには、企業とのあらゆる接点や顧客との接触履歴を管理することが大切です。CRMは、顧客の特徴(=性質・要望・過去の取引履歴・ニーズ)などをよく理解し、それぞれの顧客に最適な商品やサービスなどを提供するという考え方です。

 ひと昔前までの通販では、商品を販売したらそれで終わり。その後は顧客フォローも一切行わない、という企業も多く存在したのも事実です。

 しかし、少子高齢化による人口の減少や海外競合商品の参入により、「モノが余る時代」となった現代。適切なマーケティングを行い、積極的に顧客を獲得しなければなりません。

 CRMを実践することで、企業側から顧客への一方的な「製品中心」のプッシュ型マーケティングから、顧客の声に耳を傾け、顧客にアクションを起こしてもらう、プル型マーケティングへ移行することができます。

 CRMは、顧客管理データベースを作成→顧客データを分析・可視化→分析データをもとに戦略立案→顧客にアプローチといった流れで行うのが一般的です。

 ITの力でCRM運用をすることで、それぞれの顧客に合った、アプローチをかけることができます。従来の「ムリ・ムダ・ムラ」を削減し、これまでの数倍の実績を出すことも可能です。
▽参考記事:1年たらずで初回定期率20倍!ロート製薬‟本気”CRMの舞台裏
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(2)LTVを向上させるデータ分析


 まずは現在自社が持っているデータを有効活用し、営業戦略を立てることで、LTV向上を目指しましょう。よりマーケティング精度を高めるためには、過去の販売実績、取引実績を詳細に分析することが重要です。

 まず過去の販売データから、顧客が「いつ」「何を」「どのくらい」購入したかをまとめ、顧客の好みや購入傾向を細かくチェックします。その際、一緒に売れている商品や、売れ行きの変化がないか確認します。

 こういった情報は、ITツールを使用することで分析することも可能ですが、まずはエクセルから始めてみるのも良いでしょう。エクセルでは、月ごとの売れ行きのグラフを表示して、傾向を見ることで、対策を考えることができます。

 たとえば、折れ線グラフなどで、月ごとの売れ行きを表示してみたとしましょう。このとき、変化のあった箇所や変化の始まった箇所に注目します。

 変化があった月の前の月で何か変わったこと、キャンペーンなどを実施したかなど、振り返ってみると、今後の有効な手立てのヒントになるかもしれません。

 まずはこういった簡単なところから取り組んでいくと、よりデータに親しみができ、今後の複雑な分析にも役立つでしょう。

 そして、これらのデータをもとに、現在販売している商品や、その後継商品の需要を予測し、販売戦略を練ります。例えば、商品Aを購入している人は、商品Bも購入する確率が高いと分かれば、商品Aを購入した後にまだ商品Bを購入していない人に向けて、商品Bをメールやポップアップ、商品購入時などにレコメンドし、新たな商品の購入を促す「クロスセル」につなげることもできます。
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 このような施策を実施して、LTVの向上につなげるのですが、データ分析はその基礎となります。CRMツールをうまく使えば、こうしたデータ分析を容易に、かつ迅速に行うことも可能です。
▽参考記事:データ分析入門:分析すべき理由と手法
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(3)LTVを向上させるマーケティング

 理想的なマーケティングとは、4P(=「Product」「Price」「Promotion」「Place」)全てをコントロールすることです。
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 LTVを最大化するときのマーケティングとしては、この中の「Promotion」つまり「取引コスト」に着目します。

 LTVを向上させるマーケティング手法の一つとして、カスタマーサクセスという取り組みがあります。これは、「顧客が(=カスタマー)達成したいこと(=サクセス)」を実現する手法になります。

 具体的には、ドライヤーを買うことの目的が「髪質を良くしたい」ということであったとします。企業はそのためのドライヤーの性能と使い方、ヘアケアの方法を教える動画コンテンツを提供するなどもそのひとつです。

 顧客のサクセスを支援する方法には種類があり、「ハイタッチ」「ロータッチ」「テックタッチ」などがあります。

 ハイタッチはLTVが最も高い部類に対するアプローチです。いわゆる「大口顧客」になります。基本的には個別の対応で、社員自らが動くことでフレキシブルな対応を目指します。

 ハイタッチに当てはまる商材としては、家や車などの、高額な耐久消費財があります。顧客に対しては、個別の導入サポートや顧客に合ったカスタマイズなど、一人ひとりに合った柔軟な対応が必要です。

 テックタッチは、LTVは低いが、数の多い層に対するアプローチです。具体的なアプローチとしては、電話やメールでの対応、またはイベントの開催などによってテクノロジーを駆使して集客します。

 ロータッチはハイタッチよりも顧客1件当たりの価値は低く、テックタッチよりは高い部類です。個別ではなく、ある程度集団的で効率的な対応が求められます。

よくある質問(Q&A)

Q.LTVが下がる要因にはどんなものが考えられる?

 LTVが下がる要因として考えられるのは以下の3点です。
  • リピート率の低下
  • 客単価の低下
  • 利用平均回数の低下
 前述の通り、新規獲得のコストが上がっており、リピート購入を増やす方に比重を置くことでより高い効果が期待できることから、もっとも注視すべきは「リピート率の低下」です。

 そしてこのリピート率と密接につながっているのが顧客満足度になります。

 顧客満足度は、商品自体の評価はもちろんですが、それだけではありません。商品を発見してから、価格感を精査したのちに注文し、手元に届くまでの過程も重要です。

 たとえば発送後のフォロー対応や梱包・包装など、小さなことであれ、想像を超えるサービスが提供されることで満足度はぐんと高まります。

 顧客満足度を向上させ、自社のファンを増加させることで、リピート率の低下を食い止めていきましょう。
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Q.LTVを上げるには何からはじめる?

 まずは顧客の見える化が必要です。そのためにはまず、手持ちのデータを整理しましょう。上記のデータ分析の項に書いた、エクセルによる分析ができそうであれば、そこから初めてみるのも手です。

 また、最初からCRMツールを導入してみて、操作性を確認してみるのも手かもしれません。

 最初の数カ月は無料のお試し期間であることも多いので、まずは導入し実際に触ってみて、自社に合うものを探しましょう。


Q.LTVを改善するツールはある?

 一般的にCRMツールとして販売されているものは、顧客のデータ管理・分析から、マーケティングツールまで含まれているものがほとんどです。マーケティングツールには、メール配信やポイント、クーポン、アンケート配信といった多様な顧客アプローチの仕組みを備えているものもあります。

 データ分析に特化したもの、マーケティングツールに特化したものなど、ツールによって特徴は異なるため、比較をしてから導入することをおすすめします。


Q.LTV計算するとき解約率はどうする?

 LTVの計算方法でなぜ(1/解約率)という形で計算式に入るのかというと、この(1/解約率)は平均継続期間を表すからです。例えば、月の解約率の平均が5%のとき、平均継続期間は1/0.05 = 20カ月となります。

 このようにして、解約率が平均継続期間として、LTVの計算式に組み込まれていると捉えると理解しやすくなります。


 LTVについてのまとめ


 この記事では、計算方法を中心に、LTVの意味をくわしく説明してきました。また、LTVを向上させるためのCRMについて、データ分析・マーケティングなどの視点から解説を加えました。

 LTVを向上させるために、何よりも重要なことは顧客データの「見える化」です。

 まずはエクセルからでも、今持っているデータを整理して、グラフにすることで、何か変化があることに気づくことができるかもしれません。

 CRMを行うためには、さまざまなCRMツールがあります。また、それらの機能も多種多様です。

 CRMツールでは、顧客のデータ管理・分析から、マーケティングツールまでカバーされています。大量の顧客データを扱うとなれば、オートメーション化(自動化)は避けて通れないため、早い段階でツール導入を検討しておくのも大切でしょう。

 自社に合うツールを見つけ、今後のLTV向上に役立てることができれば、コストに見合う分のメリットを享受できるかもしれません。

 LTVの向上と聞くと、最新のマーケティング施策や、ITツールに目がいきがちですが、EC・通販の総合力も重要です。

 これまでの解説ではEC・通販の総合的なサービスが一定基準に到達していることを前提としていますが、もし現時点で「商品が届くのが遅い」「決済手段が少ない」などのクレームを受けているとしたら、その問題点を解決することが先決です。

 CRMを実践して顧客層ごとにニーズに合った商品をレコメンドできるようになったとしても、「商品が届くのが遅い」というひとつの不満でそれ以上リピート購入をしてくれなくなる可能性もあります。

 すぐに数字に現れないかもしれませんが、顧客の立場に立って、長期的な視点でどれだけ顧客メリットを考え抜けるかが、LTV向上の鍵を握ることを忘れずに。

LTV最大化のお役立ち資料の紹介


 LTVに関連する資料をダウンロードいただけます。本記事の内容の備忘録として、また自社スタッフの共有用資料としてお役立てください。
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