総合マーケティングビジネスの(株)富士経済がこのほど公表した「機能性化粧品の国内市場調査」の結果によると、2020年の市場見込みはコロナ禍の直撃で前年比12%減の2兆40億円となった。今後はアンチエイジングやホワイトニングを訴求したスキンケアを中心に回復が期待されるほか、敏感肌ブランドが新たに需要を獲得し、拡大が予想されるとした。
店舗休業・カウンセリング自粛・インバウンド需要減で市場減少
調査は20年9~11月。スキンケア、ベースメイク、ボディケア、ヘアケアの4カテゴリーで、ホワイトニングやアンチエイジング、敏感肌などの機能を訴求する商品を「機能性化粧品」と定義し、訴求機能別の市場動向などについての現状を分析した。
概要によると、20年はコロナ禍による在宅時間の増加やマスク着用・手洗いといった衛生習慣への関心が高まり、消費者が志向する機能にも変化が見られた。特に、ストレスの増加やマスク着用による肌荒れから敏感肌ブランドなどへの関心が高まっている。しかし、店舗休業やカウンセリングの自粛、インバウンド需要の減少から、市場は大幅に縮小するとみられる。
21年は前年見込み比3.5%増となる2兆757億円を予測している。
ホワイトニングは12%減の2622億円
訴求機能別の市場では、ホワイトニング(対象品目=スキンケア、ベースメイク、ボディケア)の20年見込みは前年比12.0%減の2622億円。需要が高まる春から夏にかけて、使用啓発に向けたプロモーション展開ができず、外出自粛によるホワイトニングケア意識の低下や海外渡航制限も加わり、市場は大幅に縮小するとみられる。
今後は、在宅時間の増加によって、しみ・そばかすに気づいた消費者のケア意識の向上に向けた使用啓発、また、しわ改善と美白機能を備えたスキンケアアイテムが日常的に使用されるオールインワンや化粧水・乳液でもラインアップが増えることにより、需要が活性化することで市場の回復が期待される。21年は前年比3.7%増の2720億円を予測した。
アンチエイジングは10%減の7141億円
アンチエイジング(対象品目=スキンケア、ベースメイク、ボディケア、ヘアケア)の20年見込みは前年比10.4%減の7141億円。しわやたるみといったケア意識の向上がみられたが、コロナ禍がもたらした影響は大きく、市場は大幅に縮小するとみられる。今後は、ライブコマースといったデジタルカウンセリングでの需要喚起を推し進めるなど、新たなニーズの取り込みが図られるとみられ、21年は同3.5%増となる7394億円を予測している。
敏感肌(対象品目=スキンケア、ベースメイク、ボディケア、ヘアケア)については、20年見込みを前年比0.2%減の1099億円とした。在宅時間の増加による肌ストレスやマスク着用による肌トラブルを感じる消費者が増え、さらなる敏感肌商品への需要増加がみられる一方、インバウンド需要の減少による影響が大きく、市場は縮小するとみられる。
今後は、ストレスやマスクの着用による肌トラブルを抱える消費者の増加で、敏感肌商品へのニーズ拡大が期待され、特にスキンケアとボディケア市場の拡大が期待される。中高年齢層では、より高いスキンケア効果を期待する消費者も増加しており、敏感肌を基本コンセプトとしながらもエイジングケアを訴求するなど、高機能商品の展開が強化され、需要の取り込みはさらに進むと予想される。21年予測は前年比5.6%増の1160億円としている。
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