オンライン・マーケットプレイス「eBay」への出店を通じ、日本企業の「越境EC」を支援する イーベイ・ジャパン(株)は25日、2020年度にめざましい活躍で優秀な成績をあげた日本のセラー(売り手)を表彰する『2020 eBay Japan Awards』の受賞企業(者)を決め、発表した。 受賞店は「英語堪能なスタッフ0人でも成功」「個人事業としてチャレンジ約2年で成功」といったエピソードをもったセラーの受賞が目立った。
中古ブランド品のJP.Companyが2冠
最優秀セラーの「セラー・オブ・ザ・イヤー」には、中古ファッション、ブランドバッグなどの販売を行う(株)JP.Companyが昨年に続き、 2年連続で受賞。また、セラー・オブ・ザ・イヤーを含む、アワード全6部門の受賞企業も決定した。今回から、eBayの人気商品カテゴリーごとの優秀セラーに贈るアワードや、個人事業主を対象にした賞、イーベイ・ジャパン社員が選ぶ特別賞など、新たに4 部門を新設。延べ10社(者)の多彩なセラーを選んだ。
受賞社(者)には eBay内の自社ストアやeメール署名に使用できる、『2020 eBay Japan Awards』の受賞セラーの証となる「Award バッジ」が授与される。アワード全6部門と受賞企業は次の通り。
20年の「eBay」における販売実績、バイヤーからのフィードバックなどの総合的評価トップのセラーに贈られる「セラー・オブ・ザ・イヤー」は、(株)JP.Company に。同社は「ブランド品の越境ECだと、日本人が単色や地味目のものを好むのに対して、海外は派手目なものが好まれるといった傾向もある。ただ去年は、トリッキーな売れ筋が登場するということもなく定番な商品が伸びた。今年も前年越えを目指してeBay出品を強化していこうと思う」(荒木淳平CEO)と受賞コメントを寄せた。
配送会社がeBayでEC参入、1年で受賞も
20年からeBayで販売をスタートし、最も売上を伸ばしたセラー1社(人)に贈られ、「新人賞」にあたる「ニューセラー・オブ・ザ・イヤー」は、(株)フタキ(中古ブランドバッグ、アクセサリー)に決まった。同社は九州で配送会社を本業とする企業。もともとEC関連の配送業務を請け負っていたこともあり「自分たちがEC事業主側になることに興味があった」(林寛夫社長)のだといい、eBayによる越境ECのみでEC事業を行っている。「やはり言葉が違う事への慣れは大変だった。ただ市場の大きさから海外にチャンスを感じeBayでEC参入を果たした。成果の一つとしてアワードに選出されたのはうれしい。今年は売上を倍にしたい」(同)と話した。
歴14年の個人事業主「何でも売れる」
新設で、最も売上を伸ばした個人・個人事業主セラー1人に贈られる、もう一つの新人賞「アントレプレナー アワード」には、ユウキシシド氏(アニメキャラクターグッズ、本)が選ばれた。シシド氏のeBay歴は14年。「お客さんに直接、海外の現地ではやっているマンガやアニメについてヒアリングしている」(シシド氏)ことが成功の秘訣のようだ。またコロナ禍での傾向について「5年前に買ってくれたバイヤーがまた買ってくれたりと、もともとeBayで買い物をしていたバイヤーが戻ってきている感じがする」とも話した。
越境ECへの参入を検討している企業などに向けては「ドラゴンボールやガンダムといった人気漫画のグッズは鉄板で時期などに左右されずそこそこ売れる。日本人がぱっと思い浮かべるようなアニメのグッズはそれなりに売れる」(シシド氏)とエール。こんなエピソードも披露してくれた。「商品発送時に、イラストレーター志望だという人のイラストを入れたメッセージカードを送っていた。試しにそのイラストだけを4ドルで出品したら、なんと売れた。それくらいeBayではなんでも売れる」(同)ともコメントした。
コメ兵「英語できる人ゼロでも大丈夫」
こちらも新設の「カテゴリー グロース アワード」は、注目する5カテゴリー枠内で目覚ましい成長率を記録し、売上向上に貢献したセラーに贈られる。受賞社(者)は、アパレル・バック・ブランド小物の(株)コメ兵、セラー・オブ・イヤーも受賞した(株)JP.Companyは時計部門でも受賞。カメラ関連の個人事業主・針原将博氏、トレーディングカードの(株)Shangri-Laのほか、ユウキシシド氏もダブル受賞した。
コメ兵は「スタッフに英語を満足できる人は1人もいないがeBay販売で困ったことはない」と言う。「まだeBayに出品しきれてない商品ジャンルもある。今年は出品ジャンルをふやし、出品数を大幅に上げたい」と意気込んだ。
ポケカ人気「ピカチュウ<リザードン」
Shangri-Laはポケモンカード専門でeBay販売を行っている。eBayによると「海外YouTuberの動画などをきっかけにポケモンカードの需要が伸びている」(岡田社長)そうで、Shangri-Laは日本国内のセラーの中で一番ポケモンカードを販売した。ポケモンカードの中では「リザードン」のカードが人気だといい、「リザードンは絵柄もかっこよく、初期の3匹の1つということで非常に人気が高い。海外からのカード需要ではピカチュウよりもリザードンの方が圧倒的に人気」(Shangri-La・大野智哉氏)と教えてくれた。
eBayスクール出身の2セラーも受賞
eBay歴が約2年という個人事業主の針原将博氏は「何か副業をやろうと思ったとき、eBay販売のスクールをみつけ受講してみたのが参入のきっかけ。カメラやECの知識もなく、英語もわからなかったが諦めずに続けて成果を出した」と受賞コメントを寄せた。「小さなストレスや辛く感じることももちろんあるが、諦めない・継続する・(eBayや越境ECを)嫌いにならない、のが大事」とも言い添えた。
eBayの販売活動を通し、社会に貢献する姿勢が認められたセラー1社(名)をイーベイ・ジャパン社員が選ぶ特別賞「ソーシャルインパクト アワード」は、(株)メープル(カメラ)が受賞した。同社は静岡で障がいを持つ人の就労支援といった福祉サービスを展開する企業。福祉サービスを維持する資金確保のため、もともとAmazonマーケットプレイスで書籍販売などを手掛けていたという。「人の誘いでeBay販売のスクールに参加し、当社の資金確保の事業として成り立つと感じ19年5月からeBay販売を開始した」(牧野旨孝社長)そうだ。同社の福祉サービス利用者が就労支援メニューとして出品作業などを行っているという。こうした福祉の取り組みが評価された。
前出のカメラ販売の個人事業主・針原氏とメープルの牧野社長は、偶然にも実は同じeBay販売スクールの同期だったという。メープルの牧野社長いわく「現在はeBay公認のコンサルタントが10年近くやっているスクール。eBayで実際に販売しながらコンサルを受けるという形で、講師がほぼマンツーマンで教えてくれて成果を出せたと思う。受講者同士の仲間意識が強く、海外のバイヤーからの質問やクレームへの対処の仕方など相談しあえる環境があり非常に助かった」と話している。eBay側でも「越境EC販売は事業主が一人で抱えて実践するよりも、プラットフォーマーやコンサルの力を借りながら進める方がスムーズだと思う。公認のコンサルタントなどもぜひ有効活用してほしい」(広報)とコメントした。
受賞コンサル「中古商材あるならチャレンジを」
「公認コンサルタント アワード」も今回から新設された。同アワードはセラーサポートに貢献したコンサルタント1人に贈られ、(株)SAATSに決まった。林一馬社長はeBayや越境EC参入に悩む事業者に向けて「eBayのいいところはセカンダリーマーケット(=中古市場)が強い。10年前20年前のものが見つかるから売れるという循環が起きている。中古商材があるならいますぐチャレンジしてみては」とコメントした。
なおSAATSは、過去に通販通信ECMOにコラムで登場している。
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