アスクル(株)が16日発表した2021年5月期第3四半期(20年5月~21年2月)連結決算は、売上高が前年同期比4.5%増の3130億300万円、営業利益が同62.3%増の102億8600万円、純利益は同49.4%増の61億5000万円となった。
BtoB事業は大幅な増収増益、BtoCは損益改善が進展
第3四半期間では売上高が初めて3000億円を突破、各段階利益も通期の過去最高益を上回った。20年4月の緊急事態宣言以降に落ち込んだBtoB事業の売上高成長率が、解除後は堅調に推移。手指消毒液やマスクなどの新型コロナウイルス感染対策商品の特需が継続したため、BtoB事業は増収、大幅増益となり、BtoC事業の「LOHACO」も損益改善が計画通り進捗。23年5月期の営業利益黒字化に向け、構造改革に取り組んでいる。
セグメント別でみると、「eコマース事業」の売上高は3072億800百万円(前年同期比4.7%増)、差引売上総利益は、「LOHACO」の売上総利益が前年同期差1.8ポイントの改善が進んだことなどもあり、774億9700万円(同10.3%増)となった。また、「LOHACO」とヤフー(株)との連携強化による販促費、固定費の抑制が寄与し、売上高販管費は前年同期比0.2ポイント減少。営業利益は112億2200万円(同74.9%増)となった。
医療機関・介護施設などのASKUL新規顧客が増加
主力分野のBtoB事業の売上高は2563億1900万円(同3.8%増)、BtoC事業の売上高も順調に伸長し、「LOHACO」の売上高は388億3400万円(同9.8%増)となり、事業合計でも、508億8900万円(同9.3%増)となった。
BtoB事業の売上高成長率は堅調に推移。中堅・大企業のオフィス用品の需要も回復基調にあり、またeコマース需要の増加による梱包資材などの MRO商材や取扱い商材数が830万アイテムを超え、品揃え強化に注力しているロングテール商材の売上高も伸長したことから増収となった。従来から強化しているSEOの効果に加え、医療機関・介護施設など新規の顧客が増加している。
BtoCは商品粗利率が改善、Q4で大型販促実施も
BtoCの損益改善については、コロナ禍の自粛生活が続く中で、付加価値の高い商品の提案や、販売価格の適正化などにより商品粗利率の向上が進み、売上総利益率の改善に寄与した。第1四半期で落ち込んだ広告収入も第2四半期以降は回復してきている。「サイバーサンデー」や「」超PayPay祭」(LOHACOは24~29日1:59まで実施予定)などの販促効果は大きく、第4四半期はさらなる大型販促で成長をめざす。
ロジスティクス事業の売上高は52億6400万円(前年同期比0.9%減)、営業損失は9億7400万円 (前年同期は1億800万円の営業損失)となった。20年11月に開始した物流業務受託に係る固定費負担(開始前の物流センター賃料を含む)が影響した。
通期業績予想を上方修正
これらの業績動向を踏まえ、20年12月に発表した21年5月期の通期業績予想を上方修正した。売上高は4100億円から4160億円(前期比3.9%増)、営業利益は108億円から130億円(同47.4%増)、純利益は60億円から70億円(同23.8%増)を見込んだ。
BtoB事業の売上高、売上総利益率、物流費比率が順調に推移。コロナ禍は予断を許さない状況だが、第4四半期も第3四半期までの収益性は維持されるとの見込みから、修正に至った。
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