Zホールディングス(株)=ZHD=がこのほど発表した2021年3月期(20年4月~21年3月)連結決算は、売上収益が前期比14.5%増の1兆2058億4600万円、営業利益が同6.5%増の1621億2500万円、当期利益は同14.1%減の701億4500万円となった。
ZOZO子会社化・LINE統合・アスクル増収などで売上14%増
売上収益は2年連続で2桁成長を達成。(株)ZOZOの連結子会社化や3月のLINE(株)との経営統合、アスクルグループの売上収益の増加などにより、前期比で増加した。営業利益は、ZOZOの連結子会社化などで増加。当期利益は、前期にPayPay(株)の持分変動利益108億円を計上した影響などにより、前期比で減少した。
コマース事業の売上収益は前期比17.5%増の8402億円、営業利益は同45.7%増の1112億円となった。全売上収益に占める割合は69.7%。ZOZOの売上が好調に推移したことや、ショッピング広告の増加、ワイジェイカード(株)の売上増などがけん引した。
EC取扱高は24%増の3兆2200億円、「優良ストア」平均出荷速度が30%短縮
eコマース取扱高は、前期比24.4%増の3兆2200億円となった。ショッピング事業が同45.1%増と成長し、リユース事業はPayPayフリマの出品手数料引き下げによる新規ユーザー増で、取扱高が再成長した。PayPayの決済回数は、キャッシュレス決済の浸透に加え、「超PayPay祭」などの販促活動により、前期の約2.5倍となる20億3790万回となった。
配送品質向上の取り組みとして、Yahoo!ショッピングとPayPayモールで、出荷遅延率や受注から出荷までの速さなど、ヤフーが定める基準を満たした出店店舗の商品ページや検索結果に「優良配送」アイコン・ラベルを付与・表示する取り組みを始めた。ストア向け補助キャンペーンも奏功し、「優良ストア」の平均出荷速度は30%短縮された。
ソーシャルコマース「LINEギフト」の取扱高が急拡大
また、ソーシャルコマースとしての「LINEギフト」の取扱高が急拡大。15年のサービス開始以来、累計利用者数は1400万人(4月20日現在)に達した。ZHDのグループアセットを活用し、さらなる品揃えの拡大と新規顧客の獲得をめざす。
メディア事業の売上収益は前期比1.4%増の3406億円、営業利益は同4.4%減の1501億円となった。全売上収益に占める割合は28.2%。コロナ禍の影響で広告出稿の減少が続いたものの、営業活動やプロダクト改善などにより、広告関連売上収益は前期比で増加した。
経営統合直後に明らかになったLINEの個人情報保護で不備が見つかった問題は、3月末までに中国からの個人情報へのアクセスを完全に遮断し、個人情報を必要とする新機能開発や保守、運用の業務を終了。併せて、ユーザー向けのプライバシーポリシーを改定した。韓国内に保管されているトークデータの国内移転も段階的に進めるとしている。
LINEのデータガバナンス問題の影響は軽微
この件では、総務省が26日付で、社内システムに関する安全管理措置や利用者への適切な説明について一部不十分なところがあったとして、文書で指導している。ZHDは「グローバルなデータガバナンスに関する特別委員会」を設置して対応。LINEの利用動向に関しては、ユーザーはじめ、ビジネス関係に大きな変化はなく、官公庁や自治体にも停止拡大の傾向はなく、一部からは再開の表明もある。業績への影響は軽微と見込んでいる。
今期は、3月にLINEとの経営統合を完了。各種ECサービスでの保険サービスの提供開始やPayPay経由の個人ローンの拡大、販売ソリューション「PayPayギフト」の拡販・機能拡大など、「19年度に蒔いた種を育てた1年」と総括。次期 (21年4月~22年3月) の見通しについては、売上収益を1兆5200億円~1兆5700億円(前期比26.1%~30.2%増)を見込んだ。LINEとの経営統合の初年度ということもあり、幅を持たせた業績予想とした。
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