IT関連メディア事業を展開する(株)インプレスのシンクタンク部門であるインプレス総合研究所が20日発表した『動画配信ビジネス市場の動向調査』のまとめによると、有料動画配信サービスの利用は4人に1人。コロナ禍で動画視聴スタイルが激変し、市場の変化の1つにPPV(有料のオンラインライブ配信)が急速に立ち上がったことが挙げられる。
有料動画配信サービス利用率は2年連続で4ポイント以上の増加
調査は4月初中旬の2回。「映像・動画全体の視聴状況と有料動画配信サービスの利用率調査」(2万3317人)で、「有料動画配信」「無料動画配信」「動画共有」のサービスをよく視聴すると回答した1780人を利用状況調査の対象とした。
それによると、有料動画配信サービスの利用率は25.6%で、2年連続で4ポイント以上の増加となった。長引くコロナ禍による巣ごもり需要や、1年を通してテレビCMなどのプロモーションが強化されたこと、話題となるオリジナルコンテンツの配信、見逃し配信の浸透による認知度の向上などの要因から利用率、利用経験者の比率が伸びたと考えられる。
よく視聴する映像・動画は70%がテレビ・54%が録画・動画共有が45%
普段よく視聴する映像・動画の種類は、「リアルタイムのTV番組」(69.9%)、「録画したTV番組」(54.9%)の順で、YouTubeなどの「動画共有サービス」の45.9%、TVerなどの「無料の動画配信サービス」が30.7%だった。ここ1、2年の上位の順位は変わらないが、「動画共有」「無料の動画配信」「有料の動画配信」などネット上の動画の利用は引き続き伸びている。
この1年の動画配信市場の大きな変化の一つとして、PPV(有料のオンラインライブ配信)が急速な立ち上がりが挙げられる。リアルでのイベント、コンサート、舞台などの開催や動員が制限される中、メジャーなアーティストも次々と実施し、チケットエージェンシーなど動画配信サービス事業者以外も参入している。
PPV利用者は11%・認知度は65%
調査結果では、PPV利用経験者は11.0%。「知っているが視聴したことはない」の54.1%を合わせた認知度は65.1%となっていた。有料動画としては高額な数千円をチケット代として支払い、オンラインでライブ配信を視聴するという新しいスタイル、サービスが広がって間もない中、PPVはリアルイベントの代替やファンとのつながり維持に一定の役割を果たしている。
利用している有料の動画配信サービスのトップは「Amazonプライム・ビデオ」が69.2%で、昨年から1.3ポイント増加していた。2位には「Netflix」の21.4%、3位は「Hulu」の10.3%が続いた。また、「DAZN」は昨年の調査時には多くのスポーツイベントの中止が利用率に影響していたが、今回は2.6ポイント増加し、一昨年と同じ9.3%に回復。その他、「ディズニープラス」の利用率が1.9ポイント増加していることも注目点として挙げられる。
動画共有サービスの利用は、「YouTube」が95%でダントツ
無料の動画配信、動画共有サービスをよく視聴すると答えたユーザーは、「YouTube」が95.5%で突出。SNSの「Twitter」「LINE」「Instagram」、無料の動画配信サービス「TVer」と続いた。昨年の調査と比べて「TVer」が7.3ポイントと大きく増加し、順位を上げている。
どんなジャンルの動画がよく視聴されているのか。有料動画配信では「洋画」「邦画」「ドラマ」「アニメ」が高い比率で人気。一方、無料動画配信では「日本のドラマ」が特に高い人気で、「バラエティ」「アニメ」が続いた。これに対し、全く傾向が異なるのがYouTubeに代表される動画共有系。「音楽」が突出し、「趣味・教養」「ゲームの実況や攻略」「料理」と続いていた。
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