(一社)日本フードサービス協会が25日発表した、協会会員社を対象とした2021年4月度の『外食産業市場動向調査』のまとめによると、壊滅的打撃から1年余り、コロナ禍以前への回復には程遠い現状が、各業態から改めて浮き彫りになった。
外食産業、コロナ以前との比較では厳しい状況が継続
調査は、新規店も含めた「全店データ」を業界全体と業態別に集計し、前年同月比と併せて前々年同月比を算出した。4月度はファーストフード、ファミリーレストランなど5業態の229事業者、3万7788店舗を調査の対象とした。
4月は、まん延防止措置が5日から2府県に、12日から3都府県に適用され、さらに25日からは3回目の緊急事態宣言が4都府県に発令され、酒類提供が禁止となった。当然ながら客足は鈍り、特に飲酒業態大打撃を被った。前年4月が動向調査史上最悪の落ち込みとなったため、今回の全体売上は対前年同月比136.7%となったが、コロナ禍前の前々年対比では80.5%。依然としてコロナ以前より遙かに厳しい状況が続いている。
「ファーストフード」は、全体の売上は前年同月比117.6%だったが、一番好調といわれる業態でさえ、対前々年比は99.1%とコロナ以前には及んでいない。
「洋風」はテイクアウトが堅調、ファミリーレストランは前年超過も厳しい状況に
「洋風」はテイクアウトが堅調、店内飲食を再開したところもあり、売上は110.0%で、先月に引き続き一昨年の売上も上回った。「和風」は高付加価値志向の新メニューの提供で客単価が上昇、売上は108.9%となったが、一昨年の91.5%。「麺類」は、持ち帰りメニューの拡充で、売上172.5%と一昨年の77.9%にまで回復。「持ち帰り米飯・回転寿司」は、回転寿司が回復傾向、売上は121.9%と一昨年の94.3%まで戻した。「その他」では、「カレー」が期間限定メニューの堅調で売上132.2%となったが、コロナ禍前の90.5%にとどまっている。
「ファミリーレストラン」は、昨年の第1回緊急事態宣言の時ほどの落ち込みはなく、売上は175.4%となったが、度重なる営業制限の影響は大きく、コロナ禍前の69.0%にすぎず、依然として厳しい状態が続いている。
「洋風」「和風」はテイクアウトが健闘し、「洋風」162.9%、「和風」199.8%となったが、いずれもコロナ禍前の60%台。「中華」も、引き続き餃子などの持ち帰り需要が堅調で売上140.4%だが、一昨年の87.3%で回復はまだ先。「焼肉」も、時短営業の中で奮闘し、売上254.9%と一見驚異的な伸びだが、一昨年の75.9%にすぎない。
「パブ・居酒屋」は休業店舗が相次ぐ状況に
「パブ・居酒屋」は、事実上の活動停止状態となった昨年と比較すると、「パブ・ビアホール」の売上は584.2%、「居酒屋」は274.2%と膨張しているが、度重なる酒類提供の制限のあおりを受けて休業店舗も多く、いずれも コロナ禍以前の20%台で低迷している。
「ディナーレストラン」は、厳しい営業制限が続く中、一部では高単価の弁当のテイクアウト、リピーターによる単価の下支えなどで、売上は昨年の296.4%だが、やはり酒類提供禁止の影響は大きく下旬を中心に失速、コロナ禍前の46.4%にとどまった。
「喫茶」は、昨年は商業施設立地の店舗が休業に追い込まれたため、その反動で今年の売上は対前年比229.1%となったが、今年はビジネス街立地の店舗が苦戦し、売上は一昨年の68.2%までしか回復していない。
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