デロイト トーマツ グループがこのほどまとめた『広告取引に関する広告主実態調査2020』によると、デジタル広告不正への理解度が足りず、対策の必要性は認識しているが、取り組む企業はまだ少数。デジタル広告を取り巻く環境の変化や、それらに伴う対応が不十分といった課題が浮き彫りになった。
サードパーティークッキー規制の認知は低い傾向に
調査は昨年12月、従業員規模5000人以上の企業でTVCMやWEB広告を展開している広告系部門などに所属する幹部社員に実施。同社は調査結果を受け、デジタル広告市場が拡大する中、広告の配信技術の高度化とブラックボックス化によって、広告主が意図しない不正や問題が発生している。しかし、対策に取り組む企業はまだ少数で、改正個人情報保護法によるサードパーティークッキー規制についての認知もまだ低い。広告主や広告代理店は、これらについて関心を高め、対応していくことが求められていると強調している。
デジタル広告の投資費用は、7割が1年前に比べてが増加したと回答し、コロナ下でも増加がみられた。年間広告予算が100億円以上の大手広告主企業が半数以上で、うち300億円以上の企業も約4割。デジタル広告への予算配分が進んでいることがうかがえる。
不正の認知度に関しては、「どんな不正なのか、内容まで知っていた」(10.5%)、「概略は知っていた」(30.0%)、「内容は知らないが、言葉は聞いたことはあった」(24.0%)。高い認知度の一方、内容を理解しているのは40.5%。言葉を認知している回答者のうち、9割が対策の必要性があるとしており、対策の重要性が問われる結果となった。
「ブランドセーフティ」「アドフラウド」「ビューアビリティ」などの対策が必要と認識
不適切なサイトやコンテンツに広告が掲載される「ブランドセーフティ問題」(81.1%)、botなどによる不正クリックといった「アドフラウド問題」(68.3%)、配信された広告が視聴可能な状態で表示されない「ビューアビリティ問題」(60.4%)に、対策の必要性を感じていた。一方で、取り組む企業はまだ少数。今後の取り組み予定を含めても3割程度に留まっていた。
Webブラウザの提供各社が22年までに、ネット利用者の閲覧履歴の追跡などに使っているトラッキング用サードパーティークッキーを段階的に廃止する方針を表明するなど、デジタル広告とプライバシー保護の両立について関心が高まっている。規制についての認知度は58.5%で、うち本人の同意を得ないサードパーティークッキーが取得できなくなるといった内容まで認知しているのは35.5%だった。
個人情報保護法改正への対策、「すでに講じている」は15%
個人情報保護法改正の今後の影響には、「非常に影響がある」(12.0%)、「ある程度影響がある」(45.0%)。しかし、対策について「すでに講じている」のは15.0%で、今後の影響について認識しつつも、実際に具体的対策に乗り出せていない企業が多いことも分かった。
デジタル広告不正問題に対処するために設立された業界団体の(一社)デジタル広告品質認証機構(JICDAQ)については、「詳しく知っている」が5.0%。「活動内容の概略は知っている」が10.5%、「活動内容は知らないが、団体の設立は知っている」が18.0%で、認知率は約3割に留まっていた。一方でJICDAQの理念や活動に対しては、約7割が賛同の意を示し、デジタル広告品質改善への期待感の高さがうかがえた。
この続きは、通販通信ECMO会員の方のみお読みいただけます。(登録無料)
※「資料掲載企業アカウント」の会員情報では「通販通信ECMO会員」としてログイン出来ません。