2022.02.01 コラム
なぜチャットボット導入に失敗するのか?事例からみる傾向と対策【カオスマップ付き】
何かと話題となるチャットボット。一方で、「失敗するよ」「使われない」「役に立たない」「利用率が低い」「リスクが上がった」といったネガティブな声も後を絶ちません。なぜ企業はチャットボット導入で失敗するのか、事例から失敗しない対策を解説します。
失敗要因は「目的不足」「設計不全」
Q.導入に失敗する原因は?
A.チャットボットは、カスタマーサービスにおける業務効率化やマーケティング支援のツールとして多くの企業で導入されています。しかし「導入しても思ったような成果が出ない」といった、チャットボットの導入に失敗してしまったというケースも少なくありません。
その原因として「そもそもの目的が整理されていない」「チャットボットのシナリオ設計が間違っている」そして「そもそもユーザーニーズにあっていない」のいずれかに当てはまっているケースがほとんどです。
どちらの原因にも言えることですが、「なぜ企業にチャットボットが必要なのか」「なぜチャットボットを導入することで結果的に良い成果が得られるのか」といった基本的な部分を理解していなければ、せっかく導入しても機能を十分に活用できないまま解約してしまうといったことが起こります。
◆目的不足の失敗例
目的不足による失敗例として、企業の経営者や責任者が原因となるケースが多く見られます。
予算に余裕がある大企業や新しいツールが好きな経営者がいるベンチャー企業などで起こりがちなのが、「チャットボットが流行っているらしい」「AIを利用したツールを導入してみたい」といった、ツール利用の本質を無視して導入してしまうといったケースです。
これはほぼ失敗すると考えてよいでしょう。なぜならチャットボットだけに限らず、多くのツールを導入する上で「ツールの導入により解決する課題が存在する」「導入後の改善シミュレーションが立てられている」「ツールの導入における費用対効果が見込めている」といった点がクリアできていることが前提となるはずなのに、それがないからです。
そして「企業の課題を解決する手段はチャットボットが適切であるのか」といった点も考えなければいけません。まずは本当にチャットボットの導入が最適解であるのか、またチャットボットだけで見ても、さまざまな特徴を持ったツールやソリューションサービスが多く存在します。数あるチャットボットの中で本当にそのツールが企業にとって最適であるのか、という点も満たされている必要があるでしょう。
企業にとって必要なツールや手段を選ぶ際は、目的が明確に定められていて、かつ導入後の成果や改善が具体的にイメージできている状態でないと、失敗してしまう可能性が高くなります。
つまり、「何となく成果が出そう」「他の企業が使っているから」「一番安かったから」などといった理由で導入すると、ほぼ間違いなく失敗してしまうでしょう。
◆ニーズに合わず失敗
サイトのターゲットやユーザー属性を無視したチャットボット設置も失敗の一因となります。
どういうことかというと、そもそもチャットボットを用いたコミュニケーションがユーザーのニーズを満たすのか?ということを考える必要があります。極端な例ですが、そもそもチャットというコミュニケーション方法に馴染みのないシニア層がメインターゲットのサイトでチャットボットが使われるのか、というようなことです。
またユーザーが解決したいこと・知りたい情報などをチャットで伝えきれるか、というポイントもあります。ユーザーは電話してすぐ解決したいと思っていることを、企業側の視点でチャットボットで解決してもらおうとしてもうまくいかなくて当然です。失敗しないためには、自社がチャットボットでやろうとしていることについてユーザー目線で考えて「チャットボットによる対応が本当に適しているのか」を考える必要があるということです。
◆シナリオ不全の失敗例
目的がある程度明確であり、企業の課題解決に最適はチャットボットを導入したのに、思うような成果が得られないといったケースもあります。この場合は、シナリオの設計不足を疑う必要があります。このような設計不足が問題として考えられる場合、「ユーザー側の視点に立ってシナリオを作成できていない」ということがあげられます。
まずはチャットボットを何のために導入しているのかを再度整理しなければなりません。
例えばユーザーからの質問や問合せを想定してシナリオを組んでいる場合、しっかりとユーザーの課題や疑問を解決できるシナリオ設計になっているかを確認する必要があります。具体的には「質問に対して適切な答えを設計できているのか」「ユーザーが満足のいくシナリオ設計ができているのか」といった点です。
これらができていない場合は、過去の問い合わせ内容などから、ユーザーが何を求めて問合せをしてくるのかを分析し、把握しておく必要があります。シナリオを設計する前に、しっかりと利用ユーザー側の立場となって、考えられるユーザーニーズを理解しておくことが大切です。
◆設計不足の失敗例
導入目的やシナリオ設計も問題ないのに、「チャットボットが利用されない」という課題を抱えてしまうケースもあります。このケースではそもそもの設計にミスや問題があることが考えられます。
導入したチャットボットが「正確に機能しているのか」「ユーザーにとって使いやすい場所に表示されているか」「チャットボットを利用するメリットがユーザーに伝わっているか」など、いくつかのポイントをチェックしなければいけません。
「導入に失敗してしまった」と後悔してしまう前に、これらの点を一度見直してみましょう。思わぬところから失敗の原因が見つかるかもしれません。
よくある失敗が、管理画面上での設計は完璧なのに実際の画面でのテストを怠ったせいで、「回答の表示が変になっていた」「フォームのレイアウトが崩れていた」などです。そういった失敗をしないために、実際の画面での入力テストを行いましょう。そしてUI/UX観点でユーザーをサポートするために最適な表示がされているかを確認します。ポイントは第三者の目線でチェックすることです。設定した本人で気付かないミスがあるかもしれないので、できればダブルチェックを徹底するなどの対策を取ると安心です。
また、チャットボットの色や配置がサイトを使いづらくしていることもあります。ユーザーがストレスに感じない設計を第一に考えることで、設計不足による失敗は防げるでしょう。
チャットボットで失敗しないためのコツ
チャットボットで失敗しないためのコツは、機械学習に成果をゆだねるのではなく、人による仮説立てや分析を徹底して行うことです。
解説した失敗例を参考に、しっかりと設定を行っていれば、たとえ「チャットボットが企業のニーズに合っていなかった」「業務効率化につながらなかった」といった結果だったとしても、それは『失敗』ではありません。そもそも始めから目的設定や設計についての確認を行っていれば、失敗例であげたケースのようになってしまうことを防ぐことができるはずです。
また、こういったツールやシステムを初めて導入するときに勘違いする人も少なくないのですが、チャットボットは導入するだけで成果が出るような「魔法の道具」ではないということも理解しておきましょう。最近では高度なAI技術を使ったチャットボットも存在しています。機械学習の精度は年々高まっていて、人間の対応力を大きく上回るシステムも多く開発されていることもたしかです。しかし、人の手によるチューニングが不可欠であり、機械では見つけられない問題点や課題を目視によって見つけていかなければなりません。
もしチャットボットの導入に失敗してしまったとしても、その失敗をもとに改善を図ることで、意味のある失敗にすることもできます。常に上手くいく方法を模索することも、成功につながるコツといえるでしょう。
チャットボットに関するお役立ち資料
チャットボットの導入における失敗について解説してきましたが、考えられる主な原因や失敗しないコツを抑えておくことでスムーズな導入が可能になります。
以下で紹介しているお役立ち資料を読むことで、さらにチャットボットに関する知識や情報を得ることができます。
チャットボットに関するお役立ち記事紹介
チャットボットに関する、さらに詳しい情報を知りたいという方は以下のリンクから関連記事一覧に飛べますので、ぜひご確認ください。
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