2021.07.21 コラム
EFOとは「入力フォーム最適化」!改善方法と施策のポイント
EFO(Entry Form Optimization)という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。しかし、具体的な取り組みや、実践方法がわからず困っている方も多いのではないでしょうか?本記事では具体的な取り組みの流れや、見るべきポイントを解説していきます。(2021年7月初出/2022年8月改稿)
EFO(Entry Form Optimization)とはなにか?
EFO(=Entry Form Optimization)とは、入力フォーム最適化という意味のマーケティング用語です。フォームは商品購入や資料請求、お問合せといったサイトのコンバージョン直前にユーザーに操作してもらう箇所になるため改善した際のインパクトが大きいです。EFOとはCV(成果発生)を最大化させるために、優先的に行うべき施策だと言えます。
EFOの効果とメリットとは?最優先で取り組むべき理由
ECサイトにおいて、ユーザーが商品を購入する前に必ず行わなければならないのがフォーム入力です。フォーム画面までたどり着くユーザーは購入意欲も高いはずなのですが、実は平均的に見てもフォーム画面にたどり着いたにも関わらず離脱するユーザーは全体の70〜80%もいるといわれています。
フォーム画面から離脱する理由の例としては、「入力項目が多い」「間違えた際の再入力が面倒」「フォーム自体が怪しい」「スマホ最適化がされていない」などがあげられます。
せっかくフォーム画面にまで到達したユーザーを離脱させてしまうのは、とても大きな機会損失となります。このような機会損失を防ぐために行われるのが、EFO(エントリーフォーム最適化)というわけです。
上の図の例を見てください。一般的なECサイトの流入から購入までの流れです。下に行けば行くほど、人数は減っていきますが、購入意思は高くなります。
例えば、最終申し込みページの離脱率が90%でCV数が100だった場合、これを80%まで改善すれば、CV数は200件になり、なんとCV数は2倍になります。
作り込んだサイトや商品ページが無駄になる
このように、「購入意向は高いのに、その他の要因で離脱してしまう」ということは、お客様のニーズを考えサイトやLPを作り込んだにも関わらず、それ以外の理由で、離脱してしまっているということです。
そういった、購入意思とは別の理由での離脱をなくし、それまでの努力を無駄にしないためにも、EFOは重要です。
優れたフォームはお客さまの信頼を得られる
実はEFOは、サイトや企業のイメージを良くするという効果も期待できるのです。フォーム入力では、氏名や住所などの個人情報を入力することがほとんどだと思います。
そのためプライバシーポリシーが記載されていないフォームなどでは怪しいと感じてしまわないでしょうか?
また、入力内容が細かすぎるフォームを設置していると、「なぜこんな情報が必要なのか」と不信感に繋がりますし、逆にスムーズで簡略化されたフォームのUI/UXはお客様にストレスを与えず、また使いたいと思っていただける可能性を高めてくれます。
そのためEFOはフォーム入力しやすいといった視点も大切ですが、個人情報を扱うシステムとして、いかに信頼されることができるかという点も忘れてはいけません。
EFOを行う手順
では、そういった意図しないお客様の離脱を防ぐためのEFOはどのように進めればよいのでしょうか?
あらかじめ見立てを立てておく
EFOを行う場合にツールを活用して、解析したデータから離脱原因を割り出し、改善施策を考えていくことができます。しかし、ツールを使用する前に以下のような項目を確認し、考えられるであろう離脱原因について考えておくことも重要です。
【確認項目の例】
- ・入力項目が多すぎる
- ・複数ページにわたってフォームが設置されている
- ・必須項目が分かりにくい
- ・入力ミスをするとフォームが初期化される
- ・半角や全角指定がある
これらの課題を解決するためにフォーム項目を削減したり、自動入力機能を導入したりするなど、購入率(CVR)を改善するための最適化を実施します。ランディングページ最適化(LPO)に注力している企業も多いですが、同じようにEFOの重要性も高く、WEB集客の効率を高めていくには必要不可欠なCVR改善手法となります。
定量的に計測する
EFOを行うためには、フォームのページでどれだけ離脱しているかを把握し、施策のあとで効果があったのかを計測しておく必要があります。
フォームのページでどれだけのユーザーが離脱しているかを計測するためには、小中規模のサイトであれば、無料ツールで十分に可能です。
オススメはGoogle アナリティクスです。
- ① 対象となるページの離脱率を把握
- ② EFOを実施
- ③ 対象となるページの、EFO前後の期間の離脱率を計測して、効果をみる。
このような流れで、実際にお客様の離脱を防げるようになったかを検証していきます。
定性的に問題点を把握する
量的に計測できる準備ができたら、実際のユーザーがどういったところで躓いて離脱しているのかを見てから改善を行うと、より高い効果が期待できます。
そのためには、ヒートマップツールの導入が不可欠です。無料で使えるヒートマップツールは多数あります。
- ・User Heat(サービス提供:株式会社ユーザーローカル)
- ・Ptengine(サービス提供:株式会社Ptmind)
- ・Mouseflow (サービス提供:株式会社APOLLO11)
- ・SiTest(サービス提供:株式会社グラッドキューブ)
- ・Microsoft Clarity (サービス提供:Microsoft)
などが一例です。
詳細は以下のページでも解説していますので、ぜひご覧ください。
▼実際に使ってみる
こういった計測ツールを頼るのも有効な手段ですが、盲点になるのが、EC担当者本人が実際にフォームを使ったことがないということが多いことです。
ユーザーの目線に立つには、自身が申し込みフォームなどを実際に使ってみることが最も大事です。
そうすることで、なぜ今まで気づかなかったのかというような問題に気づくことができますので、スマホユーザーが多ければ、スマホで申し込んでみたり、PCユーザーが多ければ、PCで実際に申し込んでみるなど、実際にユーザーが使う環境に近い状態で試してみることをおすすめします。
また、極端にCVRが下がった場合などの異常が発生した際も、まずフォーム周りに何かトラブルが起こっていないかを疑うのが定石ですので、真っ先に自身でフォームを利用してみましょう。
EFO時に見ておきたい、入力フォーム最適化の改善ポイント
入力フォーム最適化を行うにあたって、基本となる考え方やポイントについて解説します。前述のようにフォーム離脱の原因となっている点を分析し、より入力がスムーズに行えるよう改善を加えていくことが基本です。
ユーザー目線で入力時のストレスとなる部分、困惑してしまう部分などを考えていく必要がありますので、今回は改善ポイントとしてあげられやすい例を紹介します。
(1)タップ領域を適切なサイズにする
古いタイプのフォームにありがちなのですが、入力窓(入力欄)が小さすぎて上手くタップやクリックができず、ユーザーのストレスの原因となってしまうケースです。この場合はフォームの入力窓を大きくすることで多少の改善が見込めます。
特にスマホの場合はタップ領域が適正なサイズで確保されていないと、タップしても違ったところが選択されるなど、大きなストレスになります。
また、タップ領域が48 px × 48 px よりも小さいか、間隔が 8 px 未満の場合、SEOの評価もマイナスになる可能性があるので、注意が必要です。
(2)郵便番号から住所取得できない
最近では郵便番号だけ入力すると、番地以外の住所を自動入力してくれるフォームが主流となっているため、住所の自動取得ができないタイプのフォームは面倒だと思われてしまう可能性があります。住所を自動入力できるようシステム設定を行うようにしましょう。
(3)項目数が多すぎる
入力項目が多すぎると、途中でユーザーが入力を止めてしまい、離脱につながる可能性が高くなります。最低限入力が必要な項目は何なのかを一度精査してみるとよいでしょう。
また必須項目と任意項目が分かりづらいと、入力ミスが多くなり、これも離脱につながることが考えられます。
(4)記入ルールが分かりにくく、自動修正もされない
「半角全角のルール」「電話番号のハイフンの有無」などがユーザー目線で分かりにくいケースも多いです。何度も入力エラーが出てしまうと、ユーザーの購入意欲が下がり、離脱の原因につながります。
とはいえ連携しているサービスや管理データなどとの関係で、どうしても記入ルールが必要な場合があるかと思います。
その場合は自動で補正を行う処理を入れたり、間違った記入ルールを送信前に指摘したり、事前にフォーム内に記載ルールを薄く表示させておくなど(placeholderといいます)、
入力ミスを防ぐための工夫が必要です。
(5)修正画面でデータがリセットされる
パスワードや、メールアドレス等に関して、入力ミスを防ぐために2度の入力をもとめる場合があります。
こういった、ミスが起こりやすいフォームになっているにも関わらず、送信後にエラーがあった場合、フォームの情報がなくなったりしてしまうことがあります。
入力した内容が間違っていた場合、いち早く気が付くようなフォームは離脱率が低いデータがあります。
このように、フォーム改善の対象となるポイントはさまざまなものが考えられます。自社のフォームがこれらに当てはまっていないか確認してみてください。
(6)ステップが分かりづらく、GOALが見えない
カード情報などの入力が必要な場合や、初回の会員登録時はどうしても入力情報が多くなってしまうことがあります。
そういったときに、何度も画面遷移を繰り返していると、いつまで入力作業が続くのかがわからずストレスになることがあります。
こういった場合のストレスを防ぐために、今どこのステップにいるのかを表記してあげることで、先が見えない不安とストレスと解消できます。
EFOはツール活用もできる!
こちらで紹介をした改善ポイントなどを修正しようとしても、「エンジニアがいない」「リソース不足で対応できない」など中々手をつけられない方もいるかと思います。
そのため、改善を図るためにはEFOに役立つツールの導入を検討しても良いでしょう。例えばAIを導入しているEFOツールや、優れたフォームが一体型になっているランディングページなど、フォームの課題に困らないツールが多数存在します。
また、最近では従来のフォームではなく、チャット型の入力フォーム(LINEのようにチャット形式で入力を完結させる)を導入しているツールも登場しています。
EFOは離脱ポイントをはじめとするデータを解析することが改善への近道になります。インハウスで分析を行うことも大切ですが、ツールを活用することも検討してみてはいかがでしょうか。より効率的に売り上げや集客力を上げることが期待できるでしょう。
◇EFOとUI/UXの関係性
EFOについて解説してきましたが、フォームのみらず「サイト自体が使いづらい」「分かりにくい」といったUI/UXが最適化されていないという理由でユーザーが離脱していることも十分に考えられます。
EFOはただ、フォームの離脱率を下げるだけでなく、UX(ユーザーエクスペリエンス)をもたらすことで、快適な購買体験を提供する重要なポイントです。
その視点から考えると、EFOだけでなく、サイト全体のUI/UXがそもそも顧客にとって快適な購買体験を提供できているかを、拡張して見ていくことが大事です。
EFOはUI/UXとの関係性も高いということを理解し、最適なUI/UXを設計できているかという点も意識してみるとよいでしょう。
EFOについてまとめ
今回はEFOについて解説しました。EFOは離脱率やCVR改善において、とても重要な役割を持ちますが、後回しにされやすいポイントでもあります。
サイトへのアクセス数が増えているのにコンバージョン数が増えない、という悩みをお持ちの方はぜひEFOについて取り組んでみてください。最近ではAIを搭載したツールやチャット型のツールなど、データ可視化や分析がしやすく、詳細なレポートを生成できるツールが多数存在します。
フォームのいくつかのポイントを少し変えるだけで、成果が改善したケースも多くありますので、まずはできる部分から改修していくことをおすすめします。
EFOに役立つ資料
EFOに関する記事
まずはEFOについて情報収集から始めたいという方向けに、以下に関連記事をまとめています、こちらもぜひご確認ください。
監修者プロフィール:達川幸弘
BtoC向け大規模ECサイトを運営するベンチャーでマザーズ上場を経験。マーケティング部のリーダーとして、オウンドメディアの立ち上げを行い1年半で毎月数百万PV、毎月2000万円の売上を生み出すメディアに成長させる。その後、自社コスメの販売を行う企業のマーケティング責任者に就任しブランドマネジメントやO2Oの施策を実施。その後同社のCMOに就任。また、BtoBのSaaSベンチャーでマーケティング責任者・コンサルティングファームでの外資系企業のコンテンツ制作のアドバイザーを行うなど、BtoC・BtoC・オンライン・オフラインの幅広い現場の知見を持つ。
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