インターネット通販の定期購入トラブルを起こし、特定商取引法違反に問われた通販会社3社の“黒幕”だった(株)LIBELLA(東京都新宿区、北原紘高代表)。消費者庁は3社の販売サイトを問題視したが、LIBELLAグループは悪質なアフィリエイト広告によって販売サイトへ消費者を誘導していた。以前から同グループの動向に警鐘を鳴らしてきた(一社)日本アフィリエイト協議会の笠井北斗代表理事に話を聞いた。
消費者庁発表資料より(Kanaelに業務停止命が出た際の指摘ページ)
2018年からLIBELLAグループに注目
日本アフィリエイト協議会は、アフィリエイト・ビジネスの健全な発展を目的とした活動を展開。その一環として、悪質なアフィリエイト広告を監視し、行政機関や他団体に情報を提供している。これまでに情報提供した事業者数は3ケタに上る。
同協議会では2018年ごろから、LIBELLAとその傘下である3社(GRACE、wonder、Kanael)の悪質なアフィリエイト広告に注目。同グループの情報を行政機関などに提供してきた。
LIBELLAは3社を“隠れ蓑”にして違法行為を繰り返していたが、「GRACEからwonderに鞍替えしたことはわかりやすかった。というのも、GRACEのバナーをクリックするとwonderとなっていたからだ。切り替えがまだ完全ではなかったのだろう」(笠井代表)。
笠井代表によると、同グループは某大手ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)を利用。その大手ASPが主催するセミナーに、LIBELLAの北原紘高代表が講師として登壇していた。
違法アフィリエイト広告のほとんどは広告主の自作自演
笠井代表は、「ASPが主催するセミナーの講師にそのような人物を招くと、アフィリエイト業界全体が間違ったことをしているという誤解を生む」と懸念。LIBELLA事件がアフィリエイト業界全体の問題であると思われるのは、迷惑だと強調する。その背景について、次のように説明している。
「問題が起こると、広告主から『アフィリエイターが勝手に違法な広告を作成してネット上に流した』という声が聞かれる。しかし、そうしたケースはほとんどない。通常、アフィリエイターが勝手に違法な広告を作成した場合、広告主がチェックするために掲載されない。さらに、アフィリエイターは報酬を没収され、損害賠償請求を起こされる可能性もあるからだ」(同)。
実際のところ、深刻な問題を抱えているのは「広告主」と指摘する。悪質なアフィリエイト広告のほとんどは、広告主側が用意したものという。広告主が制作会社に広告を作成してもらい、ASPなどを通じてアフィリエイターに広告掲載を依頼するケースも多い。最近では、広告主の従業員や関連会社の従業員をアフィリエイターに仕立てて、ネット上に流すという手法が増えていると説明する。
つまり、広告主側の自作自演の下、アフィリエイターを悪用する“ヤラセ”が多いのが実態。複数のアフィリエイターが、全く同じ文章とデザインの広告を各媒体で掲載しているのもこのためだ。
「アフィリエイターに問い合わせても、広告は広告主や広告代理店から提供されたと証言している」(同)。
アフィリエイト広告が取り締まりの対象となっても、アフィリエイターが勝手に作って掲載したと言えば、責任を逃れられると考える広告主は後を絶たないようだ。
信頼できるASPとの契約を促す方策を提言
悪質なアフィリエイト広告を排除するために、有効な対策はあるのだろうか。
笠井代表は「必要なのは、広告主が信頼できるASPや広告代理店と契約する方向に誘導すること。特に悪質なASPを“兵糧攻め”にして、金(ビジネス)にならない仕組みを検討すべき」と提言する。
悪質な広告主については、「排除するしかない。行政処分の対象範囲を広げて、広告主が提携するコンサルティング会社や広告代理店などにも責任を求めることが必要」と話している。
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(一社)日本アフィリエイト協議会 笠井北斗代表理事
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(木村祐作)
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