アリババグループはこのほど、11日に最終日を迎えた中国の世界最大通販イベント『天猫ダブルイレブン・ショッピングフェスティバル(W11)』のGMV(流通総額)が、5403億元(約9兆6173億円)に達したと発表した。過去最高を更新する一方で、例年の「お祭り感」は薄め。「環境」や「公益」を強調するなど、例年とは少し異なる「消費イベント」となった
※天猫ダブルイレブンのキックオフ・イベント(10月20日)
W11で過去最高の29万ブランドが参加、農業製品のGMVが20%増に
W11の催しは今年で13回目。日本でもお馴染みの、特設会場で取引額をリアルタイムで速報する場面や経過報告の光景などはなく、これまでの「エンタメ性」は鳴りを潜めた格好。そんな中でも、ダイナミックな中国の消費経済と活発なECビジネスは際立っていた。
今年のW11には過去最大となる29万ブランドが参加。うち65%が中小企業、工業地帯にある製品メーカー、新ブランドだった。新興地域にある農業地帯は、農業製品のGMVが前年比20%増となるなど、好調な販売を記録した。
78ブランドの売上高が1億元を突破
アリババグループはW11の開始に先立ち、全システムとオペレーションをパブリッククラウドに完全移行。アリババクラウドのデータセンターでは、再生可能エネルギーの利用で、2万6000トン以上のCO2排出量が削減されたとしている。
GMVは販売開始日の11月1日から終了日の11日までの間に、アリババの中国小売市場、Kaola、Lazada、AliExpress、ニューリテールとローカルサービスで、Alipayを通じて決済された注文の総額となる。それによると、78のブランドの売上高が前年の1000万元レベルから1億元を突破。698のブランドの売上高が100万元レベルから1000万元レベルに増加した。
2000以上のマーチャントがエコ製品を展示するTモール(アリババのBtoC ECプラットフォーム)内の特設売り場「グリーン会場」に参加。約50万点の環境負荷が少ないエコ製品を提供した。期間中は、中国の大学や都市コミュニティでラストワンマイルの配送を担う約350台の自律型配送ロボット「小蛮驢(シャオマンリュ)」が100万個以上の荷物を配送。これは20年9月から21年9月までの過去1年間に小蛮驢が届けた荷物数を上回っている。
越境ECプラットフォーム「Tモール・グローバル」に2800以上のブランドが初参加
海外(中国国外)ブランドは2万9,000以上が参加し、アリババの越境ECプラットフォーム「Tモール・グローバル」で130万以上の新商品が発売された。海外ブランドのうち、2800以上のブランドは初参加だった。90の新興ブランドが、それぞれの所属細分化カテゴリで、3年連続で売上高トップブランドに。275の新興ブランドの売上高が3年連続で前年比で倍増した。
商品を購入した消費者のうち、45%以上が1990年以降生まれ。2000年以降生まれの消費者は前年比で25%増となった。1600以上のブランドがTモールの新規会員獲得キャンペーンに参加し、延べ9700万人以上の新規会員獲得につながった。
指導部の意向や社会事情への配慮も
これらの発表内容の背景には、指導部の意向や社会事情への配慮がありそうだ。習近平主席は「2060年までにCO2の排出を実質ゼロにする」と国連で表明。さらに「環境保護」や、格差是正による「共同富裕」を推し進める。独禁法のさらなる整備と一部業界への監視強化の姿勢もうかがえ、国内外に「EC統治」「IT規制」との声がある。
アリババグループは、「W11の持つプラットフォームとしての力を、社会的責任を果たすために活用した。今年のフェスティバルは、持続可能な未来の構築に向けた取り組みの一環として、意義深い節目となった」としている。
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