楽天グループ(株)と東急(株)、および両社が20年夏に設立した楽天東急プランニング(株)は11日からリアルとECの限界を補完した「売り場の顧客体験アップ」を実現すべく、OMO実証実験をスタートさせた。東京・渋谷に楽天が運営するファッション通販サイト「Rakuten Fashion」のOMO型ポップアップストアを同日にオープン。12日にはメディア向け内覧会と記者説明会も開催した。
クロスユースで売り場の顧客体験アップ
説明会で楽天東急プランニングの笠原和彦社長らが取り組みについて説明。笠原社長は「リアルとECのクロスユースによる『売り場の顧客体験アップ』を目的とした実証実験」とした。
記者説明会の様子(写真左から、楽天グループ・執行役員コマースカンパニーヴァイスプレジデント松村亮氏、東急百貨店・常務執行役員 石原一也氏、楽天東急プランニング・笠原和彦社長)
OMOに取り組む背景については「これからの世の中で、商品を購入するチャネルでECかリアルかと切り分けて考える人自体がいなくなってくると思う」(笠原社長)と説明。ファッション分野での取り組みをすることについては、「ファッションではECの限界として例えば、オンライン上での試着ができない点がある。一方でリアルのお店での限界としては在庫のキャパシティがある。またユーザーの視点に立つと買ったものを持って帰るというハードルがある。今回の取り組みは、ECとリアルそれぞれが持つ双方の限界を補完し得る形」(同)と話した。
靴・家具・寝具でもOMO実験構想も
今後のOMOの取り組みについては「現時点で決まっている今後の取り組みはない。まずは今回のポップアップストアの成功するかどうか次第」(笠原社長)としたが、「体に接したり、体感が購入決定に影響する商材が取り掛かりやすいのではないかと考えている。具体的には靴だったり、寝具や家具といったジャンルでもチャレンジしたい考えはある」(同)との構想も明らかにした。
OMOの取り組みについて語る楽天東急プランニングの笠原社長
リアルで商品確認→その場でEC購入
「Rakuten fashion」のポップアップストアは、渋谷スクランブルスクエア5階の一角であるイベントスペースに11日オープン。マーケティングデータと、ファッション誌や女性誌で活躍するスタイリストのノウハウを生かし、「Rakuten fashion」から厳選した人気の約30ブランドのニットやコートなどの秋冬ウィメンズアイテム約180点を展示・販売している。
商品を実際に手に取り比較検討でき、配置された東急百貨店の販売スタッフともコミュニケーションすることが可能。トレンドや好みに合わせたコーディネート相談や、サイズ選びのサポートも行う。
購入は、店頭で展示される商品に付帯のQRコードをスマートフォンで読み取ることで、「Rakuten fashion」の商品ページで決済する。商品は後日、指定の届け先へ配送されるため、「手ぶら」でショッピングができる。ポップアップストアというリアルの売り場でEC購入をするというOMOの取り組みだ。
ポップアップストアの設置は期間を限定し実施中で12月1日まで。期間ごとにテーマが設定され、20日までは「2番手ニット」を開催中。21日から12月1日までは、「次の私の定番コート」と題して素材にこだわったコートや今年らしいマキシ丈コートなど、次の定番になるコートを案内する。
■『Rakuten fashion 特設ページ』
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