2022.08.01 コラム
越境ECとは?メリット・デメリット紹介&おすすめ越境ECサイト5選
近年「越境EC」の市場が拡大しており、利用者数が増加しています。理由としては日本製品の品質の良さが海外に受け入れられているという点があげられます。一方、越境ECならではの注意点やデメリットもありますので、正しい知識を持ち、ECを運営していく必要があります。本記事では越境ECのメリットやデメリット、始め方やおすすめの越境ECサイトについて解説します。(2022年3月初出/2022年8月改稿)
越境ECとは?
越境ECとは、国内だけでなく国境を超えて通販事業を行うことをいいます。日本だけで見てもECの利用者が年々増加しており、スマートフォンの普及やECモールの拡大傾向などの影響を受け、越境ECの動きも活発化しています。
また日本製の製品は品質や安全性の評価が高く、海外から人気となっていることも越境ECの市場が拡大している要因の一つです。加えて新型コロナウイルスの影響で来日が難しくなっていることもあり、インターネットで日本製品を買いたいというユーザーが増えていることも大きな変化といえるでしょう。
「越境ECに参入することで売上があがる」と期待している企業は少なくありません。ECサイトを運営していて、まだ国内のみに販売をしているという方は、今後さらに市場が伸びていくと予想されている越境ECに注力してみてはいかがでしょうか。
越境ECの市場規模
越境ECの市場規模は年々拡大しています。取引における主要都市とされる中国やアメリカでも利用者が増加している傾向にあります。経済産業省のデータによると、2020年の中国消費者による日本からのEC購入額は1兆6558億円となっており前年比で7.9%増加となっています。またアメリカの事業者からのEC購入額は2兆94億円となっており、前年比で16.3%増加となっています。
例として中国やアメリカをあげましたが、その他の国でもEC市場が伸びているとされるデータが公開されています。今後も伸び続けるとされている越境EC市場ですので、上手く事業参入を図ることが重要となります。
越境ECが拡大している理由
越境ECが拡大している理由としては「スマホ端末普及率の増加」「海外のEC消費量の増加」「インバウンド(来日)観光客のリピート購入」などがあげられます。
とくに「スマホ端末普及率の増加」に関しては、アジアやアフリカの国の普及率の増加が大きく影響していると考えられます。より大きな市場の伸びを見せている国に対してのアプローチも重要といえます。
越境ECのメリット
越境ECに参入するメリットについて解説します。越境ECに取り組むことで事業者が得られるメリットとして以下の点があげられます。
1.販路拡大
まず越境ECの最大のメリットは販路拡大と考えられるでしょう。海外顧客を取り込むことで新規顧客の獲得率が大幅に増加することが期待できます。また海外のEC利用者はネットでの購入品が高い傾向にあるため、売り上げの伸びも牽引する可能性があります。
2.運営コストの削減
海外で実店舗を開くことを考えた場合、コストや時間などに大きな負担がかかります。海外出店のハードルはとても高いですが、ECサイトであればネット上で完結させることができ、サイト構築費や仕入れにかかる費用を除くと、国内ECと大きく変わらない資金で運営を始めることが可能です。
3.商品の価値を高めることができる
日本製品が海外での評価が高いということを前述しましたが、個人で制作した商品などの価値が海外ではさらに高まることも期待できます。特に国内の小規模EC事業者は越境ECにおいて売り上げを大きく伸ばしたケースなどもあり、SNSや広告を活用し、海外に向けたブランディングに力を入れる事業者も増えてきています。
越境ECのデメリット
次に越境ECにおけるデメリットについても確認しておきましょう。
(1)配送コストなどがかかる
越境ECは海外への発送が多くなるため、配送料や手数料が国内ECよりも高額になります。また配送先の地域によって送料が大きく変わるため、送料込みの価格表記が難しいといった課題もあります。
(2)地域によって対応が異なる
取引先の国によって流通システムやルール、法律が異なるため、それらを事前に把握しておく必要があります。ECに関する知識だけでなく、関税など国際輸送に関する知識や各国のビジネスのルールなども理解しておくとよいでしょう。
(3)クレカなどのトラブルが起こる場合も
クレジットカードなどの決済にする問題も重要です。アメリカやヨーロッパなどの先進国であれば主要なカードで取引を行うことが可能ですが、それらのクレジットカード対応していない国も多く、ターゲットとしている国の決済方法について事前に把握しておく必要があります。
「中国EC法」「商標問題」について
前述でクレジットカードのトラブルなどについて触れましたが、越境ECでは電子商取引法(EC法)や商標問題についてのトラブルが多く発生しています。ぜひ気を付けていただきたいポイントとなりますので確認しておきましょう。
▽電子商取引法(中国EC法)とは
EC法とは急速に拡大したEC市場の課題や問題を解決するために2019年1月に中国で施行された法律です。対象となるのは、「ECプラットフォーム運営者」「プラットフォームに出店する事業者(EC出店事業者)」「自社または個人サイト等で商品を販売する事業者(自社サイト事業者)」になります。
EC法に反するとして規制された例としては、「偽物の商品を販売していた」「知的財産権を侵害していた」といった経営側に対する規制、「営業許可証の情報を明示していなかった」「輸出入に関する法律を守らなかった」といったECプラットフォームの出店者に対する規制などがあげられます。
EC法を守らないことで損害賠償が発生するケースもありますので、現地の法律を守ることはもちろんですが、ECに関するさまざまな規則を把握していることも重要です。
▽商標問題とは
「商標」とは、自社の取り扱う商品や役務(サービス)を他社の商品や役務と区別するために使用されるマークのことをいいます。
越境ECにおいて商標登録を事前に申請していなかった人の割合は6割にも上るというデータがあり、商標を申請しなかったことで「第三者に商標を奪われた」「商標問題により海外から撤退せざるを得なくなった」といった事例も多く見られます。
このようなトラブルを未然に防ぐためにも、自社ブランドや商品に関する商標は事前に申請することを徹底しましょう。
越境ECを始めるには
越境ECを始める方法として「自社サイトを構築する」「国内外のモールに参加する」といった方法があります。それぞれの方法について解説します。
◆自社サイトの場合
越境ECにおける自社サイト構築とは、独自ドメインを取得し、ECサイトを制作していく方法です。独自ドメインで越境ECを持つことで、より多くのユーザーとの接点が生まれ、長期的に顧客となるユーザーを育成していくことができます。
ドメイン取得や広告などの宣伝費にコストがかかりますが、モールに出店する場合と比べると価格競争に影響されづらく、長期的に考えるとメリットのある方法です。
◆現地モールに参入
越境ECにおいて現地のモールに参加するという方法も有効です。海外でも知名度のある商品であれば現地のモールでも利益を上げやすいでしょう。利用者の多いモールに参加すると、それだけで多くのユーザーの目にとめるチャンスが広がります。
日本のモールと同様に、手数料や出店料が発生する場合が多く、現地モールの規則などを事前に把握しておく必要がありますので注意しましょう。
◆国内のモールから出店
国内モールに出店するメリットは為替の変動や現地のトレンドや規則に影響を受けづらいという点です。国内ECのライバルが多く、価格競争に巻き込まれやすい点は理解しなければなりませんので、商品のクオリティや独自性を高めていくことが重要です。
越境ECおすすめサイト5選
(1)eBay
サービス名:eBay
1995年に前身サイトが立ち上がり190カ国に展開する世界最大規模の越境ECプラットフォームです。最大で190カ国へ向けて一括出品が可能です。日本セラー(出品者)の成功事例は多く、元公務員が個人事業としてわずか1年で3000万円の売上を立てたり、1枚のCDから月間50カ国と取り引きするまでに成長したりと枚挙にいとまがない。毎年行われる優秀セラーを表彰する「eBayセラーアワード」では、「英語できるスタッフ0人で成功」「スタッフ1人で大成功」といったサクセスストーリーも多い。
(2)DouyinEC
サービス名:抖音電商(Douyin EC)
DouyinECは、DAU6億人を超える中国最大のショートムービーアプリ「抖音(Douyin)」(TikTokの中国版)上で越境ECができるものです。3カ月で初月の5倍のGMV(流通取引総額)を達成する企業が出たり、中国のセールイベント「618商戦」ではGMVが前年度比約1065%と飛躍的な売上を記録する企業が出るなど日本企業の成功事例も続出し、注目が高まっている。日本でもお馴染みの「GUCCI」「STARBUCKS」「Unilierver」といったグローバルで名を馳せるブランドの旗艦店が立ち並ぶ。日本企業でも「カネボウ」「ライオン」「第一三共」といった多くの著名ブランドが名を連ねている。
(3)Amazon
サービス名:Amazon
日本国内でも多くのユーザーが利用しているAmazonも、越境EC市場で大きなシェアを持つサイトの一つです。特に本拠地のアメリカ市場では約5割のシェアを誇ります。
利用者数も年々増加しており、通販以外のサブスクリプションサービスなども充実していることから今後も利用者が増えていくことが予想されます。日本企業が参戦しやすい越境ECサイトとして、代表的なサイトといえるでしょう。
(4)天猫国際・天猫商城
サービス名:天猫国際・天猫商城
「T-mall(天猫)」は中国最大規模のネットショッピングモールです。
天猫国際(T-MALL GLOBAL)が海外法人向け・天猫商城(Tmall.com)が中国国内法人向けのECサイトとなっています。T-MALLは会員数が6,500万人以上、約7万店舗が登録しているため幅広いカテゴリの店舗が多く、日本国内企業も多く出店しています。
中国では日本製品への需要が高いため、参入しやすい越境ECサイトといえるでしょう。
(5)G-market
サービス名:G-market
G-marketは韓国最大のショッピングモールサイトです。オンラインオークション形式のサービスが有名ですが、モール型のECサイトとしても売り上げを伸ばしています。
韓国以外でも知名度が上がっているため、越境ECサイトへの掲載を検討している方にはおすすめですが、掲載審査が厳しめであることや、日本語に対応していないことなど、ややハードルが高くなる可能性があります。
越境ECを始める際の注意点
越境ECを始める際の注意点についても理解することも大切です。越境ECは上手く取り組むことで利益を増やすことができますが、注意点やリスクについても学んでいきましょう。
〇商品/サービスが越境ECに向いているか
商品やサービスによっては越境ECに向いていないケースもあります。例えば、国内からの輸出に規制がかかってしまう商品です。関税法と言い、国によって輸出入が許可されていない商品があるため、各国の税関ホームページを確認し、取り扱う商品の輸出入が禁止されていないかを確認しましょう。
また関税が高い商品にも注意が必要です。革製品などをはじめとするアパレル商品なども関税が課せられます。関税についても各国の税関ホームページで確認しましょう。
〇配送料が高くなる可能性がある
海外への配送は国内への配送よりも配送料が高額となります。海外への発送を取り扱っている業者に確認し、できるだけ配送料を抑えられる業者を選ぶとよいでしょう。
〇地域によって法律やルールが異なる
取引先の地域によって法律や輸出入のルールが異なります。事前の確認を怠ると思わぬトラブルが発生したり、最悪の場合は罪に問われたりするケースもありますので、手続きや発送方法は明確にしておきましょう。
【まとめ】越境ECは事前調査/対応力が肝
越境ECは国内EC以上の顧客獲得につながったり、自社の商品価値を高めたりといった利点が多くあります。しかし海外との取引は、国内では考えられなかったトラブルや問題が発生するリスクも高くなります。
そのため、事前調査や各国の規則への対応力が重要となります。メリットや利益だけで方針を固めるのではなく、長期的に越境ECに取り組めるようポイントや注意点を細かく確認していくことが大切です。
越境ECに関連する資料
当サイト「通販通信ECMO」では、「越境EC」に関する資料を多数掲載しています。ぜひご確認ください。
越境ECに関連する記事
まずは情報収集から始めたいという方向けにECに関する記事をまとめています。以下のリンクからご確認ください。
「越境EC」関連記事一覧
※「資料掲載企業アカウント」の会員情報では「通販通信ECMO会員」としてログイン出来ません。
資料DLランキング
-
1
【EC事業者様向け】ECを最短で軌道に乗せる最新のソリューションとは?
-
2
2024年プライムデー速報
-
3
越境ECウェブインバウンド白書2024
-
4
EC売り上げを最大化するマルチチャネル商品戦略
-
5
ECでの商品購入に直結するデジタル広告の実態調査
ニュースランキング
-
1
レシピと食材をセットに…Oisix「手作りおせち」の予約受付開始
-
2
メタバース事業化、9割以上が失敗…人材不足などが要因に
-
3
モルカー×ゴディバのZOZO箱、ランダム梱包で配送開始…限定100万個
-
4
楽天グループと日本ロレアル、パートナーシップ契約締結へ合意
-
5
コスメ際「@cosme BEAUTY DAY」、限定アイテムなど最新情報を公開