(株)NTTデータ経営研究所がこのほど発表した『パーソナルデータの活用に関する一般消費者の意識調査』の結果によると、サービスの利用経験や認知はまだ低く、普及に向けてはデータ管理の安全性や運営業態の信頼性がポイントとして挙がっていた。
パーソナルデータ利活用についての一般消費者の意識とは?
2018年に総務省・経済産業省による情報銀行に関する認定指針を受けて登場した情報銀行や、22年に施行予定の改正個人情報保護法における個人の権利の在り方の強化(個人は、民間企業に対して保有するパーソナルデータの開示方法を指示できる)などの、パーソナルデータの活用に向けた環境整備が進んでいる。
また、21年6月に閣議決定された「包括的データ戦略」では、官民の垣根を超えたデータの連携・利活用を通じて新たな価値を創出するための検討が進められており、今後ますます官 民におけるパーソナルデータの活用が促進されることが見込まれている。
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション(株)が提供する「NTTコム リサーチ」登録モニターを対象に実施した調査では、さまざまな企業による情報銀行やPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)サービスなどのパーソナルデータを活用したサービスへの参入や、サービスが普及している現状の中、一般消費者の利活用に関する意識の把握を目的とした。
サービスの利用経験者は10.9%、31%が今後に利用意向
それによると、サービスの利用経験者は10.9%で、31.1%が「今後利用したいと思う」と回答。利用経験者と利用意向がクロスする8.0%は、パーソナルデータを活用したサービスの利便性をすでに感じていると推察されるが、普及に向けては、「利用経験はないが、今後の利用意向はある」とした23.1%に対するアプローチが企業には求められそうだ。
パーソナルデータを活用したサービスを選択する条件については、「安全管理措置の確保」(22.1%)が最も支持され、データの安全な管理・取扱いがサービス提供のポイントに。また、サービスの運営業態として信頼性が高いのは、「銀行」(23.2%)、「クレジットカード会社」(18.4%)などの金融機関、次いで「電気・ガス・水道業」(17.2%)、「郵便」(13.0%)などのインフラ企業が上位で支持を得ていた。
公共的な要素を組み込むことが利用者獲得のカギに
金銭的対価の観点では、「金融資産情報(ストック・フロー面)」「位置情報」「Webアクセス履歴」について抵抗感を持つ回答者が60%以上に上っていた。対価ではなく、データの利用目的に着目したところ、「健康・医療・福祉」(42.7%)、「防災などの災害・安全対策」(36.0%)、「公的サービス改善」(27.3%)、「安全保障」(23.2%)などが支持され、民間企業でも公共的な要素をサービスに組み込むことが利用者獲得の鍵になりそうな可能性がある。
「自身の個人情報の追跡・安全性確認サービス」(47.3%)、「医療機関間などでの検査結果データ共有サービス」(46.1%)などの利用ニーズが高いことも分かった。
調査結果を受けて同社は、パーソナルデータ活用サービスが提供され始めている状況ではあるが、一般消費者の利用経験や認知はまだ低いことが分かった。また、サービスの選択の際に、データの安全な管理やサービス運営者の信頼性を重視する層が多いことから、さらなる普及には、消費者の意向やニーズを踏まえて検討していく必要があるとしている。
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