SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」を提供する(株)フューチャーショップはこのほど、『自社EC、ECモール、そして実店舗。日本のEコマース調査 2022(前編)』を公開した。対象の運営ECサイトでは、20年と比べた21年のEC売上は半数が「良くなった」。22年も6割が前向きな予測を立てていた。自社EC以外は3月の「後編」で公表するという。
自社ECでの注力施策
EC売上、「良くなった」は49%・「変わらない」が23%
調査は21年12月。「アパレル・ファッション」(34.4%)、「日用品・雑貨・インテリア」(16.4%)、「食品・スイーツ」(12.0%)などの業種から250の回答を得た。年末商戦がまだ終わっていない時期ではあったが、21年の売上と22年の予測などについて聞いた。
コロナ禍にあって、EC利用の増加など市場は拡大傾向にある一方、EC新規参入者が多くなり、事業者内の競争が激化した21年でもあった。そんな中での21年のEC売上は、20年比で「良くなった」が49.6%。「変わらない」が23.2%という結果だった。
21年が20年より「好調」と半数以上が答えた業種は「食品・スイーツ」。20年と21年の売上が「同等」「それ以上」と答えた割合がほぼ同じだった業種は「ブランド品・スポーツ・DIY」「コスメ・健康食品・ダイエット」。同じ業種内でも商材によって異なったと思われるのが「日用品・雑貨。インテリア」「アパレル・ファッション」だった。
22年のEC売上予測、「21年を上回る」が60%・「変わらない」が24%
これを受け、22年のEC売上予測は――。21年を上回ると予測したのが60.0%に達し、「変わらない」が24.0%。「悪くなる」は6.8%で、全体的には前向きな予測を立てていた。21年の売上が良かった事業者は、引き続き「22年も良くなる」。売上が同程度の事業者は、「22年も同程度が続く」と予測する傾向。21年の売上に物足りなさを感じている事業者は、22年の売上に「分からない」「21年のほうが良い」との不透明感を持つ傾向がみられた。
22年売上予測の回答をもとにした、今後のEC事業への注力意向は、見通しが前向きな事業者ほど、EC事業へ注力する意向が高く、83.6%。21年の方が売上が良いと予測しつつも、EC事業をさらに強化するEC事業者も4社に3社に上った。EC事業について手堅く見ながらも、自社でやれることを実施し、前向きに対応する姿勢がみられた。
今後のポイントは「競争激化と差別化」「利用者の変化」「技術の進歩」など
今後の見通しなどについて、「実店舗」「競争激化と差別化」「技術の進化」「利用者の変化」のポイントについて、自由回答を得た。「実店舗」=「いかにECを共存させるかというのが課題」「ECとの連携によるオムニチャネル化も活性化していきたい」「置き換わるようなことはないが、ECは発展を続ける」「EC市場は拡大し続け、実店舗は縮小し続ける」
「競争激化と差別化」=「仕組みだけ真似てブランドを作ろうとしても残れない時代。ユーザー中心の設計ができていくところは発展し続けられる」「独自色が出せない企業やサイトは淘汰される」「オンラインが有利だったコロナ禍でも企業によっては売上の増減がある」
「技術の進化」=「ドローンでの配達、AI自動車での配達で顧客はますます便利に買い物ができる環境になっていく」「動画配信を組み入れた対面的な販売チャンス行っていけば、より一層ECへの売上アップに繋がる」「SNS(動画対応系)からのショッピングが増える」
「利用者の変化」=「いまの50代、60代はパソコンが使える世代、ITリテラシーがそこそこ高いため、この人たち70代、80代になった時に、遠出できなく ECを利用する可能性が高い」「買い物難民対策としてのサイト作り・仕組みができれば、60代以上にも広がる」
注力施策は「instagramなど口コミSNSを活用したファン化」が61%
自社ECはECモールと比較して自由度が高く、各社戦略や施策の立て方に創意工夫を働かせている。その中での注力施策や悩みについても聞いた。注力施策の上位5つは、「instagramなど口コミSNSを活用したファン化」(61.2%)、「企業・商品価値を高める広告」(29.2%)、「YouTube動画やインフルエンサー活用などのネットPR戦略」(25.6%)、「オムニチャネル化」(17.6%)、「モール出店などチャネル拡大」(17.2%)だった。
ECを運営する上での課題や悩みについては、人や組織の観点から、「リソース不足」「組織の理解不足」「卸・実店舗・ECでの売上の取り合い」。物流や日々の運営面では「送料無料ではやっていけない」「個別の販売戦略を実行しにくい」。ECモールに関しては「依存からの脱却が難しい」「モールの売上が伸び利益率を圧迫している」などの声が挙がっていた。
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