Zホールディングス(株)が2日発表した2022年3月期第3四半期(21年4月~12月)連結決算は、売上収益が前年同期比32.8%増の1兆1601億3600万円、営業利益が同24.1%増の1765億1500万円、純利益は同0.1%減の668億2100万円となった。
広告関連売上収益が64%増、コマース事業の売上は8.4%増の6022億円
売上収益は第3四半期累計期間として過去最高を更新。21年3月にLINE(株)との経営統合で連結子会社化した効果に加え、広告の需要回復に伴って広告関連売上収益が前年同期比64.2%増の1534億円と大幅に伸長。「コマース事業」も増収となった。
「コマース事業」の売上収益は前年同期比8.4%増の6022億円、全売上収益に占める割合は51.9%となった。LINE統合に加え、ZOZOグループ、アスクルグループの増収などにより、前年同期比で増加した。ショッピング事業、リユース事業などの「物販EC」と、「サービスEC」「その他」の合算値となるeコマース取扱高は同9.5%増の2兆6389億円となり、うち物販系取扱高は同11.7%増の2兆1797億円となった。
ショッピング事業の取扱高は「超PayPay祭」などで21%増
ショッピング事業の取扱高は、「超PayPay祭」などにより、前年同期比21.1%増の4778億円。主要サービスプラットフォームは、各サービスの特徴や優位性、総合力を生かし、グループ全体の取扱高を最大化し、EC物販取扱高で国内No.1をめざす。リユース事業の取扱高は「ヤフオク!」の客単価向上や「PayPayフリマ」の拡大で2桁成長を達成した。
LINEの営業活動によるコンサルティングも実施。公式アカウントの開封率は約5倍、CRTは約3倍となり、成功事例の創出に貢献した。LINEギフトの取扱高は前年同期比で3.9倍、累計利用者数は2000万人を超えた。また、グループ会社の出店加速で品揃えが拡充。「Yahoo!ショッピング」「PayPayモール」と出店ストアの商品・在庫連携も10月25日に開始し、連携ストア数は278、商品数は9581に上っている。
メディア事業の四半期売上が初めて1000億円を突破
「メディア事業」は、売上収益が前年同期比88.6%増の4704億円となり、全売上収益に占める割合は40.6%。LINE統合に加え、広告の需要回復、プロダクト改善施策などにより、前年同期比で大きく増加した。ヤフー(株)は、検索広告を中心とした市場全体の需要回復の取込みやプロダクト改善などで増加。四半期売上収益は初めて1000億円を突破した。
またLINEは、ディスプレイ広告における広告主の需要拡大(前年同期比31.0%増)や、アカウント広告における開設アカウント数の順調な拡大で好調に推移。11月に「タイムライン」を刷新し、動画プラットフォーム「LINE VOOM」の提供を開始。1日あたりの動画視聴ユーザーはリニューアル前と比べて37%増加した。
PayPay取扱高は72%増の3兆9131億円
「戦略事業」の売上収益は、前年同期比35.5%増の869億円で、全売上収益に占める割合は7.5%。LINE統合に加え、Fintech領域が成長したことで増加した。PayPay取扱高は、ユーザー数の拡大や利用頻度の増加に伴い決済回数が増加し、同72.7%増の3兆9131億円と好調に推移。PayPayカード(株)のクレジットカード取扱高は同18.8%増の2兆1349億円、PayPay銀行の口座数は同17.4%増の581万口座と着実に増加している。
同社は、グループ全体で30年度までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル宣言」を公表。ヤフーでは、温室効果ガス排出量より吸収量が上回るカーボンネガティブの取り組みを先行開始するなど、達成に向けた取り組みを進めている。また、4月からは東京証券取引所の市場再編に伴い、プライム市場へ移行する予定。
広告事業の好調などで、22年3月期の通期業績見通しを、より具体性を伴う修正を加えた。売上収益は1兆5200億円~1兆5700億円としていたが、上限額の1兆5700億円(前期比30.2%増)に。また調整後EBITDAは、広告の上振れによる増益などで、これまでの3030億円~3130億円から上方修正し、3300億円以上(同11.9%以上の増)を見込んだ。
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