2022.07.01 コラム
「グロス」「ネット」の違いとは?広告代理店との取引で知っておきたい情報まとめ
ビジネスの取引で「グロス」「ネット」という用語を耳にしたことはあるでしょうか?これらの用語は広告代理店への依頼のような手数料が発生する形の取引で用いられ、予算設定やCPAに大きくかかわります。本記事ではそれぞれの意味や計算方法について解説します。(2022年2月初出/2022年7月改稿)
グロス/ネットの正しい意味とは
▼最初に確認
「グロス」とは広告代理店の手数料を含む広告費用の総計。「ネット」とは広告代理店の手数料や人件費を含まない広告費用のこと
「グロス」「ネット」とはビジネス上ではマーケティング業界で料金に手数料を含むか含まないかといった場面で使用されます。これらの単語は重量を表す場面やゴルフのスコアなどにおいても使用されるため耳にする場面はさまざまですが、マーケティング業界で使用する場合は意味が異なりますので注意が必要です。
まずはマーケティング業界でのビジネス用語である「グロス」「ネット」の正しい意味について確認しておきましょう。
「グロス」の意味
「グロス」の本来の意味には「総量」「総計」といったものがあります。マーケティング業界においては「広告費用の総計」といった意味で使用され、手数料が発生する広告代理店とクライアントの間に発生する広告費用はグロスで計算しているケースが多くなります。
実際に配信する広告媒体へ支払う費用と、広告代理店などに支払う広告運用の手数料や製作費を含めているため、クライアントが支払うすべての金額といった意味となります。
「ネット」の意味
「ネット」の本来の意味には「総量」「正味」といったものがあります。マーケティング業界においては広告媒体で発生する費用を表すことが多く、広告代理店の手数料や製作費は含まれません。
通常広告代理店に広告配信を依頼した場合、クライアントは広告費+手数料の合計を支出することになります。「ネット」で表す広告費は、媒体への広告費用のみを含むため注意が必要となります。
なぜグロス/ネットを使用するのか
「グロス」や「ネット」を用いて広告費用を表しますが、なぜ2つの計算方法で広告費計算を行うのでしょうか。大きな理由としては、広告代理店とクライアントのそれぞれの「広告費」の認識を合わせるためです。
クライアントが発注する際に、事前に認識している広告予算が「ネット」で計算した広告費であった場合、契約後に双方の広告費の認識に齟齬が生まれてしまうリスクがあります。
お金の部分で信頼関係が崩れてしまうリスクは大きいため、広告代理店は予め手数料率などを明確にした上で、見積金額がどちらの計算方法で記載されているのかを説明する義務があると言えます。
お金の部分で信頼関係が崩れてしまうリスクは大きいため、広告代理店は予め手数料率などを明確にした上で、見積金額がどちらの計算方法で記載されているのかを説明する義務があると言えます。
グロス/ネットはどちらがよく使用されるか
従来のマーケティング業界の取引においては、グロスでの計算が主流でした。前述のように、クライアントと代理店の認識に齟齬が生まれることを防ぐため、といった理由のためです。
ただし近年では、不透明なグロス費用での取引ではなく、費用の内訳を明確ににできるネット費用での取引が増えてきており、特に外資系クライアントの場合に多くなっています。
どちらを使ってもよい、というのが現状ですが、クライアントの要望や取引内容などに合わせて柔軟な対応が大切となります。
マージン(手数料)発生の取引で使用
「グロス」「ネット」は基本的にマージンが発生する取引で使用されます。マージン(margin)とは、「売上総利益」といった意味を持ち、販売価格から原価をマイナスした「粗利」の意味で使用されます。マーケティング業界では「手数料」といった意味で使用されます。
計算方法については後述しますが、「ネット広告費」+「マージン(手数料)」=「グロス費用」となります。マージンは、「グロス」「ネット」よりも広く使用されている言葉なので、耳にしたことのある人も多いでしょう。
広告代理店への発注費用における注意点
広告代理店などの手数料が発生するサービスやコンサルティングを受ける場合には、注意が必要です。あらかじめ予算を伝える際に、「グロス」「ネット」どちらの費用計算になるのかを明確にしておきましょう。
例えば、広告費用として100万円の予算があるとします。もし「グロス費用」で100万円の場合は100万円の中で広告費と手数料・製作費に配分することができますが、「ネット費用」が100万円の場合、追加で手数料などの費用が発生してしまいます。
よくあるトラブルとして、「グロス費用かと思って契約したらネット費用で予算不足が発生した」ということがあります。この場合は広告代理店が過剰に請求したように見えるかもしれませんが、広告費の捉え方は企業によって異なるケースがあり、双方の認識が異なっていることが原因となります。
広告代理店への発注を考えている方は、広告費用についての認識を最初に合わせておきましょう。
「グロス」「ネット」の計算例
「グロス」「ネット」を用いた広告費用の計算例を説明します。
(例)手数料率(マージン)20%で、ネット費用が80万円の場合
・グロス計算(グロス建て)の計算例
- ★ネット費用80万円+マージン20万円=グロス費用100万円
・ネット費用(ネット建て)の計算例
- ★ネット費用80万円+マージン16万円=グロス費用96万円
このように手数料率が変動するため、計算方法によって大きな金額の差が発生します。広告代理店に仕事を依頼する場合はどちらの手数料計算になるのかを明確にしてもらったうえで見積書をお願いするようにしましょう。
CPA(成果指標)はどちらで評価するべき?
広告成果を考える際に、「グロス」「ネット」のどちらの費用を基にCPA(コンバージョン単価)を検索するのか、といった問題が発生します。多くの場合は総支出に値するグロス費用で計算することが多いです。費用対効果を考える際に手数料を含めて広告費用と捉える方が計算しやすいため、グロス費用で計算することに関しては大きな問題はありません。
しかし、広告代理店に依頼した際の手数料には、「人件費」も含まれるということも忘れてはいけません。グロス費用で計算した場合のCPAが一見赤字となっていても、得られたリソースや広告代理店のノウハウも手数料に含まれると考えると、一概に効果が無かったとは言い切れない場面もあります。
例えば以下の例では、費用対効果が一見悪く見えることがあります。
◆広告費100万円、手数料率20%、客単価1万円の場合
広告費 | 80万円(ネット) |
---|---|
手数料 | 20万円 |
コンバージョン数 | 60件 |
コンバージョン単価(CPA) | 13,333円 |
客単価10,000円に対して獲得単価が13,333円なので、1件あたり3,333円の赤字が出ていると考えられます。しかし広告代理店から得られるメリットがそれ以上のものである場合、手数料以上の効果があったと考えることもできます。
そのためグロス費用でCPAを評価することが一般的ですが、その場合は費用対効果を判断する基準を社内でしっかりすり合わせておきましょう。
グロス/ネットを理解してトラブル防止
「グロス」「ネット」という言葉は広い意味で使用されますが、マーケティング業界においては手数料計算を表す言葉として使用されます。主に広告代理店との取引などで使用されますので、双方の費用の認識に齟齬が生まれないよう、それぞれの正しい意味について理解しておきましょう。
また合わせて「マージン(手数料)」の計算方法についても理解しておきましょう。手数料が発生する取引はさまざまな場面でみられると思いますので、正しい費用対効果を計算するといった意味でも、これらの用語について理解しておくことは大切です。
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