(株)ユナイテッドアローズがこのほど発表した2022年3月期第3四半期(21年4~12月)連結決算は、売上高が前年同期比5.3%減の869億400万円、営業利益は18億3700万円(前年同期は34億7000万円の営業損失)、純利益は12億9600万円(前年同期は30億1400万円の純損失)となった。
自社ECの売上は微増
連結の売上高は、収益認識基準と連結体制の変更影響を除くと、前年同期比6.8%増、前々年同期比17.3%減となる。重点課題として50.7%を掲げていた売上総利益率は51.1%となり、前年同期比で4.2ポイントの改善、前々年同期比から1.5ポイントの低下となった。
単体の売上高は前年同期比5.1%増の796億3100万円で、前々年同期比では19.2%減。ネット通販は前年のセール施策の反動などにより、売上高は同9.3%減の217億500万円となったが、売上構成比は27.3%と、2年前から6.3ポイント増加した。うち、自社ECサイトの売上は前年同期比0.2%増、前々年同期比では80.9%増となった。
ECメインのブランド「CITEN」と「MARW UNITED ARROWS」が好調
ネット通販を主販路とする2つの新ブランドが好評だった。「CITEN」は ネット通販独自の商品施策とSNSの活用が奏功。「MARW UNITED ARROWS」は、動画投稿者の発信力で新規顧客を開拓するとともに、SNSを駆使して商品の魅力を伝えることで商品の買上につなげている。
自社ECサイトを、22年3月期中にリニューアルオープンする計画だ。最新システムの採用で基本スペックを上げ、将来的なOMO施策を担保した設計となり、自社物流センターにフルフィルメント拠点を置いて、各種サービスレベルの改善を通じた顧客体験価値の向上をめざす。
スマホアプリをコミュニケーション性が高い仕様に
また、スマホアプリも一新。買い物機能特化型からコミュニケーション性の高いものに切り替え、顧客との接触頻度を上げる。中断していた店頭試着予約サービスも再開。購入品の受け取りも置き配サービスを注文時に選択できるようにする。返品手続きも簡便化し、自宅やコンビニ、宅配ロッカーなどから、QRコードを使って送り状を書く手間なく返送できるようになる。
コロナ禍を乗り越える取り組みとしても、これらのネット通販の強化は不可欠とし、実店舗のノウハウをとり込んだ差別化と、顧客の変化に適応する対応力を活かすことでキャッチアップできるとした。将来のOMO体制に向けた準備も整えており、アフターコロナにあるべき販売方法に向けた「稼ぐ力」は進んでいるとした。
出退店については、トレンド・マーケットで1店舗の出店、7店舗の退店、ミッド・トレンドマーケットで2店舗の出店、2店舗の退店を実施した結果、第3四半期末の小売店舗数は203店舗、アウトレットを含む総店舗数は230店舗となった。
連結子会社については、(株)コーエン(決算月1月)の売上高が前年同期比8.4%減の70億円。感染が拡大した8~10月が特に苦戦し、減収減益となった。海外子会社の台湾聯合艾諾股份有限公司(決算月1月)は増収となった。
通期業績予想を下方修正
グループ全体での新規出店数は5店舗、退店数は11店舗で、第3四半期末の店舗数は324店舗となった。22年3月期末の連結店舗数は310店舗を見込み、コロナ禍前の20年3月期末から約14%の削減となる計画。退店店舗の従業員を、既存店の強化やネット通販部門などの重点分野に充てることで経営効率を高める。
これらの業績動向を踏まえ、22年3月期の通期業績予想を下方修正した。売上高は1248億円から1174億円(前期比3,5%減)、営業利益は30億円から12億円(前期は66億1300万円の損失)、純利益は17億5000万円から2億円(前期は71億9700万円の損失)をそれぞれ見込んだ。厳しい状況を見据え、取締役員の賞与全額不支給も明らかにした。
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