楽天グループ(株)が14日発表した2021年12月期(1~12月)連結決算は、売上収益が前期比15.5%増の1兆6817億円5700万円、営業損失が1947億2600万円(前期は938億4900万円の損失)、純損失は1338億2800万円(前期は1141億9900万円の損失)となった。
モバイルセグメントでの大規模な投資で損失が拡大したが、ローミングエリアの楽天回線切り替えによる経費削減、無料キャンペーンが終了したユーザーの売上拡大、楽天シンフォニーによる通信プラットフォーム事業の売上拡大などで、赤字は22年第1四半期をのピークに第2四半期から業績回復に向かう見通しを示した。楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は、同日の会見で「歴史的に類を見ない短期的な成長となる」と話し、第2四半期からの急回復に自信をみせた。
ECサービスのクロスユースが拡大
売上収益はすべてのセグメントで増収を達成。モバイルに関する自社基地局設置などの先行投資が継続中のため、Non-GAAP営業損失は2249億9900万円(前期は1026億6700万円の損失)となった。セグメント損失も前期比で約2倍に膨らんだ。
国内EC流通総額は前期比10.4%増の5兆円を達成。ショッピングEC流通総額は、コロナ禍における巣ごもり需要の一巡後も成長を継続し、同27.4%増と順調。ユーザーの定着が進み、購入頻度や購入額の上昇につながっている。
売上収益は前期比18.1%増の7119億円、営業利益は同37.7%増の742億円と、楽天市場を中心としたEC事業の継続的な成長で拡大。その他のECサービスのクロスユースも順調に推移。楽天市場×楽天西友ネットスーパーは同29.8%増、楽天市場×楽天BEAUTYは同35,2%増、楽天市場×Rakuten Fashionは同17.1%増など、流通総額の拡大に寄与した。
「ポイントキャンペーン」「顧客層囲い込み」「事業間送客」「地域特化施策」という4つの観点から、EC事業内のクロスユースを促進。フィンテックやモバイルなど、他の事業とのシナジー創出で、さらなる楽天エコシステムの拡大をめざしている。
さらに11月には、ECにおける商品受取の利便性向上と配送の効率化に受けた取り組みの第1弾として、日本郵便(株)で配送する荷物を対象に、楽天市場の複数店舗の商品のまとめ配送を指定できる「おまとめアプリ」の提供を開始した。
フィンテック事業は7.4%増の6190億円
インターネットサービス事業の売上収益は前期比14.7%増の1兆33億8200万円、セグメント利益は同166.2%増の1075億4800万円となった。楽天市場における共通の送料無料(込み)ライン導入に代表される顧客利便性向上の施策などが奏功。コロナ禍の「巣ごもり消費」などを背景に増加した顧客の定着が、国内EC取扱高の伸長に貢献した。
フィンテック事業は、売上収益が前期比7.4%増の6190億4800万円、セグメント利益は同9.6%増の891億2000万円となった。各サービスで顧客基盤の拡大が続き、クレジットカード関連サービス、銀行サービス、証券サービスなどで増収増益を達成した。
楽天カードは発行枚数・ショッピング取扱高・取扱高シェアでトリプル3へ
楽天カードの業績は、カードショッピング取扱高や加盟店手数料収益などで前期比25.3%増の14兆5000億円と伸長。カード発行枚数は2500万枚に達した。後払いの浸透で、分割払いの月次取扱高は5年で3倍の規模に拡大した。発行枚数3000万枚、ショッピング取扱高30兆円、取扱高シェアは21年11月の22.1%から30%へと、「トリプル3」をめざす。
楽天カードの売上収益は前年同期比7.1%増、22年1月に1200万口座を突破した楽天銀行は同7.4%増、楽天証券(700万口座)は前期比21.4%増となった。クロスユースとしても、楽天カード×楽天銀行×楽天証券のユーザーが前年同期比89.4%増と拡大している。
モバイル売上収益は31%
モバイル事業の売上収益は前期比31.9%増の2275億1100万円、セグメント損失は4211億7200万円(前期は2272億5800万円の損失)を計上した。計画の前倒しによる自社基地局の整備に注力することでネットワーク品質の向上に努めたほか、通信料金を1年間無料とするキャンペーン期間終了後も顧客獲得が順調に進捗している。
自社でサービスエリアを展開するMNO事業(21年12月現在450万件)と、他社のネットワークを借り受けるMVNO事業(同87万件)の合計契約数は、この2月に550万件を超えた。22年第1四半期(1~3月)の赤字をピークに、以降はローミングコストの減少で業績の回復を見込んでいる。20年4月に本格サービスを開始した4Gネットワークは、開設計画(総務省へ提出)の「人口カバー率96%」を約4年前倒しで達成した。
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