楽天グループ(株)がこのほど発表した2022年12月期第1四半期(1月~3月)連結決算は、売上収益が前年同期比11.7%増の4371億2700万円、営業損失は1126億400万円(前年同期は373億4000万円の損失)、四半期損失は914億1200万円(前年同期は367億8600万円の損失)となった。
ネットサービス・フィンテック・モバイルの全セグメントで増収
売上収益は、インターネットサービス・フィンテック・モバイルの全セグメントで増収となり、過去最高の四半期売上高を更新。一方で、前年同期は367億円だった四半期損益は拡大。先行投資を継続中のモバイル事業で、前倒しで進めている自社基地局整備で、四半期としては最大となる1350億円の損失となったが、この日発表された楽天モバイルの新プランで無料を撤廃したことで6月末から課金が発生し、自社ネットワークの拡大によりローミング費用が減少していることなどから、予定通り第2四半期以降の改善を見込んでいる。
インターネットサービス事業の売上収益は前年同期比9.3%増の2458億円、セグメント損益は同56.7%減の180億円となった。前年同期にフィンテック関連企業への株式投資の評価益を306億円計上しており、大幅な減益となった。
三木谷氏「このクウォーターが赤字のボトム」
同日開催された決算発表では、楽天モバイルの新プランに関する質問が殺到。三木谷社長は新プランで無料を廃止したことに対して、「サービスレベルが上がってきている。自社ネットワークも97%に近付いている。未来永劫0円が継続することはない」と話し、適切なタイミングであることを強調。
「0円で使われ続けても困る」と話し、今後はデータ使用料が安く利用できるメリットに価値を置くユーザーに向け、関連サービスを含めてさまざまなポイントプログラムを提供していく方針にサービス内容をシフトした。また、「このクウォーターは赤字のボトムで、これから改善してくことがみえてきた」と語り、第2四半期以降からの大幅な収益改善に自信を見せた。
国内EC流通総額は10%増の1兆2585億円、モバイル流通比率は81%に
国内ECの売上収益は前年同期比11.3%増の1824億8700万円、営業利益は同77.3%増の214億8900万円。「楽天市場」はモバイル流通比率が同2.8ポイント増となる81.1%、楽天カード決済比率は同2.6ポイント増の69.4%となるなど、コロナ禍で3期目を迎えた現在も高成長を続け、収益増加に大きく貢献している。
国内EC流通総額は、前年同期比10.0%増の1兆2585億円となった。それぞれのECサービスの成長に加え、「楽天市場」+「楽天西友ネットスーパー」(同48.6%増)、「楽天市場」+「楽天ビューティ」(同23.5%増)、「楽天市場」+「楽天トラベル」(同43.2%増)など、複数のECサービスをクロスユースするユーザー数の伸びが、国内EC流通総額を押し上げている。コロナ下ではあるが、「楽天トラベル」の取扱高は業界を上回る水準で回復している。
フィンテック事業は「楽天カード」の成長に向けたシステム投資で減益に
フィンテック事業は、売上収益が前年同期比4.3%増の1581億2300万円、セグメント利益は同7.3%減の227億6000万円となった。減益は、「楽天カード」の成長に向けたシステム投資や、「楽天証券」の手数料収入の減少などによる。
クレジットカード関連サービスでは、2枚目「楽天カード」のマーケティングが奏功し、4月には、発行枚数が2600万枚を突破。オフライン消費の回復により、ショッピング取扱高は前年同期比26.1%増、取扱高シェアは2月末時点で22.4%となった。
銀行サービスでは、「楽天銀行」の新規口座数の増加が続いており、3月には国内のネット銀行として最多となる1230万口座を突破。預金残高は7兆5000億円を超えた。「証券サービスでは、「楽天証券」が3月に証券総合口座数768万口座を突破。国内株式取扱高は過去最高を更新し、顧客の定着が進んだ一方、委託手数料の減少などで減収減益となった。
モバイル事業は2Q以降から損益改善へ
モバイル事業の売上収益は前年同期比44.0%増の803億5300万円、セグメント損失は1350億4600万円(前年同期は 975億9600万円の損失)。通信料金の支払いを開始したユーザーが増えたほか、端末販売の増加が増収に寄与した一方、自社基地局設置などの先行投資が継続中のため、損失が拡大。回線エリア拡大に伴うローミング費用の削減と課金対象者の増加により、予定通り第2四半期以降の損益の改善を見込む。
「楽天モバイル」の楽天回線エリアによる4G人口カバー率は、3月末時点で97%に到達。屋外・屋内双方でネットワークカバレッジの拡大を推進し、4G屋外基地局開設数は4万4000局を突破した。小型室内アンテナ(フェムトセル)「Rakuten Casa」を全国で4万台設置し、屋内カバレッジも拡大。総データ利用量における楽天回線エリア使用比率は90%超となった。また、MNOサービスとMVNOサービスの合計契約回線数は568万を超えている。
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