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2022.05.13 コラム

アップセルの意味・メリットは?成功事例やクロスセルとの違い

 企業全体の売り上げを増加させるために「顧客単価の向上」を狙うことがあります。その際に活用される営業手法にアップセルやクロスセルといったものがあります。本記事ではアップセルの意味やメリット、クロスセルとの違いや成功事例などを解説します。

アップセルとは

 まずはアップセルの意味や、類似語句である「クロスセル」「ダウンセル」との違いについて理解する必要があります。それぞれについて解説していきます。

アップセルの意味

 アップセルとは、顧客単価を向上させるための営業手法です。具体的には、顧客単価を上げるためにより価格の高い同じカテゴリの商品を提案したり、同じ商品を複数購入してもらうよう営業を行ったりすることを目的としています。

 例えば3万円の家電を購入しようと検討している顧客により高機能な5万円の家電を紹介したり、年会費無料のクレジットカードを契約しようとしている顧客によりメリットのある年会費有料のクレジットカードを提案したりするケースがあります。

 ただ高い商品を勧めるだけでなく、「高機能商品の利便性を実感してもらう」「有料プランのメリットをイメージさせる」などの工夫が必要であるため、現場の営業力が求められます。

クロスセルとの違い

 アップセルと混同されやすい営業手法に「クロスセル」というものがあります。クロスセルとは商品購入を検討している顧客に関連商品を勧めることを指します。いわゆる「セット販売」に近い商法です。

 身近な例では、ファストフード店のランチセットなどがあげられます。「それぞれ単品で購入するよりもセット販売のほうがお得」ということを顧客が理解することで、自然と顧客単価の向上を図ることができます。

 アップセルとの明確な違いは、アップセルが検討商品の上位モデルを提案するのに対して、クロスセルは別カテゴリの関連商品を提案するということです。「顧客単価の向上」という目的が同じのため混同されやすいですが、提案する商品が異なるため営業手法としては別の方法ということを覚えておきましょう。

★類似用語:ダウンセル

 「アップセル」「クロスセル」の他に、「ダウンセル」といった営業手法もあるので、ぜひ覚えておきましょう。

 ダウンセルとは、商品の購入を迷っている顧客に対して、低価格の下位モデルを提案する方法です。迷った末に結局購入してもらえない場合、当然売り上げはゼロとなります。商品を購入してもらう可能性を上げるために有効な営業手法と言えます。

 ダウンセルは、商品購入に至らない理由が「価格」である場合に特に有効です。機能面ではなく「とにかく出費を減らしたい」と考えている顧客は、価格が低いというだけで購入に至るケースもあります。

 アップセルやクロスセルの場合と異なり、一見売り上げが下がるようにも思えますが、将来的なアップセルやクロスセルにつながる可能性を高めることができます。

アップセルを行うメリット

 アップセルを行うメリットとしては以下の内容が考えられます。

・顧客単価の向上
・営業効率の改善

▽顧客単価の向上

 アップセルの一番のメリットは顧客単価を引き上げることができる点です。売り上げを向上するための施策としてまず考えられるのが「新規顧客の獲得」ですが、新規顧客を獲得するためには広告費や宣伝費、人件費など多くのコストが発生します。

 そのため新規顧客を獲得するよりも、コストを抑えられるアップセルで売り上げを図った方が一人の顧客から得られる利益が向上するといった考え方となります。

▽営業効率の改善

 アップセルを行うメリットとして、営業活動の効率化もあげられます。基本的にはアップセルを提案する顧客は、過去に何らかの商品を購入している顧客となります。すでに関係値ができている顧客に対して営業することで、新規顧客を開拓するよりも効率よく売り上げにつなげることができます。

 またアップセル提案時に複数の商品を紹介することもできるため、顧客が再度商品購入を検討する際の選択肢を広げることができます。顧客の選択肢が広がることにより、必要な時に自社の商品を思い出してもらえる可能性が高まり、営業効率をより良くしていくことにもつながるでしょう。

アップセルを行うデメリット

 アップセルを行うことで考えられるデメリットについても理解しておきましょう。アップセルを行うデメリットとしては以下が考えられます。

・顧客離れのリスク
・顧客ニーズを分析する必要がある

▲顧客離れのリスクがある

 アップセルを行うデメリットとして、顧客離れのリスクが伴うことがあげられます。顧客によっては度々アップセルを提案されることに嫌悪感を覚えてしまうこともあります。強引な営業や執拗な営業を行うことで、顧客が離れてしまうこともあるため注意しましょう。

 顧客離れを最小限に抑えるためには、顧客のニーズをしっかり理解しておくことが重要です。後述しますが、営業目線ではなく顧客目線に立って商品を提案することでアップセルの効率が上がり、顧客離れを防ぐことにもつながります。

▲顧客のニーズを分析する必要がある

 アップセルを行う際は、事前に顧客や市場のニーズを調査する必要があります。そのため営業活動の前に調査・分析を行う工数が発生することが考えられます。

 とはいえ、事前調査は非常に重要です。顧客の購入意欲が高まりやすい訴求やどのような訴求が顧客に刺さりやすいか、といった点を過去の販売傾向などから分析するようにしましょう。

アップセルを成功させるためのポイント


 アップセルを成功させるためのポイントについて解説します。ポイントとしては主に以下の4つを覚えておくとよいでしょう。

1.事前準備・調査を徹底する

 アップセルを行うための事前準備としては「顧客分析」「商品クオリティの向上」「アップセルを行うタイミングの決定」などが必要です。

 検討している商品よりも高価格な購入するにあたって、価格に見合ったメリットが感じられなければ、顧客も商品を購入しようとは思わないでしょう。そのため顧客ニーズを分析することや、アップセル商品のクオリティの改善などは必要不可欠といえます。

 また、アップセルを行うタイミングも重要です。過去の販売実績から最適と思われるアップセルのタイミングを分析して実行するようにしましょう。

2.ターゲットを明確にする

 アップセルを行うターゲット層を明確にしておくことも大切です。アップセルに関わらず商品を効率よく売るためには、どのようなターゲット層を狙うかどうかは重要なポイントとなります。

 たとえば、頻繁に自社商品を購入する顧客や1回あたりの購入単価が高い顧客、いわゆるロイヤルティの高い既存顧客をターゲットにするなどの考え方があります。すでに信頼関係のある既存顧客はアップセルが成功する可能性が高いです。

 またアップセルの可能性を高めるためには、見込み顧客を育成していくためのリードナーチャリング施策も効果的です。定期的なDMなど自社商品をPRし、購入意欲を引き上げるための工夫を行ってみましょう。

3.営業チームに方針を共有する

 アップセルを成功させるためのポイントとして、現場の営業チームに施策の方針を共有しておきましょう。「なぜアップセルが必要なのか」「アップセルを行うための商品がどれになるのか」など全体の認識を統一しておくことが重要です。

 ただ売り上げを上げるという目的だけを共有すると、特に戦略なく強引な営業によって購入を薦めてしまうといった失敗例につながりかねません。

 営業チーム内でアップセルを行うメリットを理解することができていれば、より効率のよい営業を行うことができるでしょう。

4.顧客の意見をチームで共有する


 最後に顧客の意見をしっかりと聞くように心がけることがポイントです。自社目線だけでアップセル施策を行うのではなく、実際の顧客が何を求めているのかを正しく理解しておくことが重要です。

 営業が現場で拾い上げた顧客の声を社内チームに共有し、どのようなアップセル施策を行っていくのかを考えていきましょう。

アップセルで成功した企業事例

 実際にアップセル施策で売り上げ向上に成功した企業例を紹介します。

◎Amazon

 Amazonで買い物をしたことのある方は多いと思います。商品ページを開いたときに「この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています」といった項目を見たことはあるでしょうか。

 実はこの項目に表示される商品は、閲覧しているページの商品よりも高い商品や上位モデルが表示されるようになっています。購入を検討している商品よりもスペックの高い商品を紹介することで、売り上げアップを図っており、実際に成果につながっている実績があります。

◎Dropbox

 主にBtoB向けサービスとして活用されているDropboxもアップセル施策に成功しています。

 Dropboxには無料プランがあり最大2GBまでは無料で利用することができます。使用を続けていると2GBを超えることがありますが、そのタイミングで有料プランへの移行を提案するお知らせがユーザーに届くようになっています。

 また他のユーザーを紹介することで使用可能な容量が増えるキャンペーンも実施しており、紹介キャンペーンを活用して社内ユーザーを増やす企業などが増え、大幅な売り上げの増加に成功しています。

◎ヤクルト球団

 プロ野球セ・リーグのヤクルトスワローズを運営する株式会社ヤクルト球団もアップセル施策に成功した企業の一つです。

 ヤクルトスワローズのファンクラブには年会費や入会特典などが異なる複数のプランが用意されています。最も年会費の高い「プラチナ会員」を増やすための施策として、顧客がファンクラブや入会特典に求めていることをリサーチしました。

 リサーチ・分析の結果、入会特典の限定ユニフォームが特に喜ばれるということが分かり、プラチナ会員プランのユニフォームをはじめとした特典の充実を行い、プラチナ会員を増やすことで全体の売り上げ向上に成功しました。

アップセルは顧客目線で考えることが重要

 効果的にアップセル施策を行うためには、事前準備や顧客の意見をふまえた営業を行うことが重要となります。ただ営業をすればよい、というわけではなく顧客側にメリットを感じてもらうことで購入につなげられるよう工夫をしていかなければなりません。

 アップセルを成功させることができれば、顧客一人当たりの単価を上げることができ、企業全体の業績向上を図ることができます。新規営業などの成果が伸び悩んでいる企業は、ぜひアップセル施策を検討してみましょう。

アップセルに関連する資料

 当サイト「通販通信ECMO」では、アップセルに関する資料を多数掲載しています。ぜひご確認ください。


アップセルに関連する記事

 まずは情報収集から始めたいという方向けにアップセルに関する記事をまとめています。以下のリンクからご確認ください。

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