2022.08.13 コラム
フルフィルメントとは?業務内容や導入のメリット・デメリットを解説
ECサイトなどを運営する通販業者にとって商品発注から配送までの工程が非常に重要となります。それらの工程で発生する一連の業務を「フルフィルメント」と呼びます。本記事ではフルフィルメントサービスの具体的なメリット・デメリットや導入すべき企業の特徴、業務を外部委託する際のポイントなどを解説します。(2022年5月初出/2022年8月改稿)
フルフィルメントとは
フルフィルメントとは、通販事業に関わる注文から発注、そして顧客に商品が届くまでの一連の業務を指す言葉です。フルフィルメントの本来の意味は「業務遂行」や「業務達成」です。
フルフィルメントの主な業務内容としては、入荷管理、検品、保管、問合せ対応、受注、梱包、発送、決済業務などがあげられます。またクレーム対応や返品対応などのコールセンター業務やデータ分析などのマーケティング業務もフルフィルメントに含まれるケースもあります。
フルフィルメントに含まれる業務をすべて自社内で行うためには多くの工数がかかるため、それらを代行してくれる業者を「フルフィルメントサービス」といいます。フルフィルメントを外注することで、通販事業者は商品開発や商品企画といった業務に集中することができ、売り上げ拡大に向けた業務を効率化できるメリットがあります。
例えば、有名なフルフィルメントサービスとして、Amazonが提供するFBA(Fulfillment By Amazon)というサービスがあります。月額費用4,900円∔手数料を支払うことで、Amazonが商品管理から注文処理、配送などといった業務を代行します。
▽参考サイト:Fulfillment By Amazon
★フルフィルメントと3PLの違い
フルフィルメントと似た意味を持つ言葉として「3PL」という言葉があります。3PLとは3rd Party Logisticsの略称で、物流に関わる業務のみを外部に委託することで業務効率化を図ることを指します。
外部に業務を委託する点は同じですが、委託する業務範囲が異なります。フルフィルメントでは受注や決済に関わる業務まで対応しますが、3PLでは物流に関わる業務のみに対応しています。
そのため、より幅広い業務を外部委託したい場合にはフルフィルメントを使用することになります。
フルフィルメントの業務内容
フルフィルメントの具体的な業務内容について把握しておきましょう。フルフィルメントの主な業務内容は以下となります。
【フルフィルメント業務例】
- ・入荷管理・検品作業
- ・商品保管
- ・受注処理
- ・ピッキング
- ・梱包
- ・発送
- ・決済業務
- ・返品処理/クレーム対応
それぞれの業務内容について解説していきます。
▽入荷管理・検品作業
「入荷管理」「検品作業」とは、卸会社やメーカーからの入荷が問題なく行われているかを確認する作業です。検品作業では正しい商品が正確な個数で入荷されているのかをチェックするためにハンディターミナルやバーコードで検品を行います。検品システムを導入している倉庫もあり、検品作業を機械化することで迅速かつ正確な作業を行うことができます。
▽商品保管
顧客に届けるまでの間の商品保管を行います。ECサイトなどでよく「在庫あり」といった商品ステータスを見ることがありますが、その場合は倉庫やセンターに商品が保管されている状態を示しています。企業や商品によっては、ラックやパレット単位で保管するなどの工夫が施されており、発送時にスムーズな作業ができるようになっています。
▽受注処理
顧客の注文を受け、管理している商品の在庫を管理して出荷指示を行います。企業によって在庫管理システムなどと連携し、出荷前後の注文確認や完了報告なども含めた業務が発生します。
▽ピッキング
受注処理の完了次第、在庫の中から必要な商品を探し出します。効率よくピッキング作業を行うためには、フォークリフトや台車を活用したり、ピッキングシステムを導入して作業をデジタル化したりするなどの工夫が必要です。商品を探し出す以外にも箱詰めや包装などを請け負うケースもあります。
▽梱包
商品を発送できる状態にするための梱包作業を行います。配送時に商品に傷がつかないよう緩衝材を入れたり、資料や他商品のカタログなどを挿入したりする作業が発生します。商品を綺麗な状態で顧客に届けるだけでなく、次回の購入につながるような企業の工夫を取り入れることも可能です。
▽発送
配送業者に梱包した商品の発送を依頼します。配送業者によって手順は異なりますが、受注処理時に登録されている住所などの情報を基に、発送処理や発送完了時の通知などの作業を行います。
▽決済業務
フルフィルメントの内容によっては決済業務が発生するケースもあります。購入費用の改修は業者が行うことが多いですが、代引き料などの別途料金が企業によって異なるため、決済業務が発生する場合は企業と業者の間で認識を合わせておくことが重要となります。
▽返品処理・クレーム対応
フルフィルメントにはアフターフォローとしての役割もありますが、クレームや欠陥商品などによる返品処理に対応することもあります。顧客からの信頼を保つためには、トラブルの際の迅速な対応が求められます。クレームや苦情などにも対応しつつ、物流倉庫などとの連携が重要となりますので、しっかりと体制を整えておく必要があります。
フルフィルメントを導入すべき企業の特徴
フルフィルメントサービスを導入すべき企業の特徴について解説します。以下のような状況の企業は、フルフィルメントサービスを導入することで課題解決につながる可能性があります。
- ・顧客満足度に課題がある
- ・コア業務に集中できていない
- ・ECサイトを立ち上げたばかり
□顧客満足度に課題がある
顧客満足度が改善できていなかったり、クレームや苦情が頻繁に発生したりする企業はフルフィルメントサービスを導入することで、改善できる可能性があります。フルフィルメントにはクレーム対応などの顧客対応も含まれることもあるため、迅速な対応をすることで顧客の評価を高めることが期待できます。
またフルフィルメントサービスを導入し、決済方法の幅が広がることで、顧客のニーズに応えることもできるため、さまざまな方面から顧客満足度の改善を図ることができるでしょう。
□コア業務に集中できていない
本来注力するべき業務の他に、物流や顧客対応などの業務にあたっている社員が多い企業はフルフィルメントサービスの導入を検討した方がよいでしょう。業務量に対して人手が足りていない、またスキルが高い人材が複数の業務を兼務している、といった状況であれば、業務効率が低下している可能性があります。
物流作業はフルフィルメントサービスに任せて、規格やマーケティング業務に集中することで効率良く業績を上げていくことが期待できます。
□ECサイトを立ち上げたばかり
ECサイトを立ち上げたばかりの企業では、運営経験や物流の知識が浅く、業務が効率良く進んでいないケースがあります。そのような場合にフルフィルメントサービスを活用することで業務効率を上げるだけでなく、社内にノウハウを蓄積できることもあります。
ECサイトを立ち上げた直後は顧客からの評価や印象が重要となりますので、物流のプロに業務を任せ、顧客満足度を高めることも大切です。
フルフィルメントサービスのメリット
フルフィルメントサービスを利用した場合に得られるメリットについて解説していきます。
- ・業務の効率化
- ・顧客満足度の向上
- ・利益率の改善
◎業務の効率化
フルフィルメントサービスを利用することで、従来自社内で行っていた業務の大部分を外部のプロに委託することになります。そのため商品開発やマーケティング業務などに時間をかけることができ、またフルフィルメントにあたる業務のクオリティを高めることで全体的な業務の質を上げることにつながります。
◎顧客満足度の向上
フルフィルメントサービスを導入することで顧客満足度の向上につながります。
自社内ですべての業務を完結しようとすると、どうしても一つの業務にかける時間が少なくなってしまい、サービス品質を改善していくことが難しいでしょう。フルフィルメント業務のプロに委託することで、サービスのクオリティを改善できます。そのため顧客へのサービス品質が高まり、顧客満足度の向上につなげやすくなります。
◎利益率の改善
フルフィルメントサービスを導入することで、自社で倉庫やコールセンターを管理するための人件費を削減することができ、結果的に利益率の改善につながりやすくなります。
また自社で人材を多く抱えることで固定費として計上されるため、利益が出づらくなるという背景もあります。フルフィルメントサービスを導入することで、委託費用は変動費として計上することができ、利益の出やすい企業体制を整えることができます。
フルフィルメントサービスのデメリット
次にフルフィルメントサービスを導入するデメリットについても把握しておきましょう。
- ・社内にノウハウが蓄積しない
- ・顧客との接点が減少する
▲社内にノウハウが蓄積しない
フルフィルメントサービスを導入し作業を外注することで、社内ノウハウが貯まりにくいといったデメリットが考えられます。
ノウハウについて委託先から吸収できると良いですが、作業についての詳細を共有できない企業も多くあり、いざ自社で対応しようと思ったときに社内対応が難しい状況になっているケースも考えられます。該当業務に対応するスタッフ育成を検討している企業は注意が必要です。
▲顧客との接点が減少する
コールセンター業務を外部に委託した場合、顧客と企業との接点が減少することになります。そのため顧客の声が企業に届かず、商品企画などに活かしづらいといったデメリットがあります。
別途顧客アンケートを実施したり、商品やサービスに関する口コミを定期的に拾い上げたりするなど、顧客の声を意識した工夫が必要となります。
フルフィルメントサービス導入のポイント
最後にフルフィルメントサービス導入のポイントについて解説します。以下のポイントを事前に押さえておくことで導入時のトラブルや失敗を防ぐことができます。
- ・導入の目的を明確にする
- ・サポートの範囲を確認する
- ・商品の保管環境の確認
- ・料金体系の確認
◇導入の目的を明確にする
フルフィルメントサービスを取り扱っている業者は多くあります。サービスによって得意としている業務や改善が期待できる課題点について違いがあるため、まずは自社にとって何のためにどのような支援が必要なのか、といった導入目的を明確にするようにしましょう。
例えば「バックヤード業務の効率化」「利益率の改善」といった目的があげられます。目的が不明確の場合、具体的な効果を感じることができず、サービスを上手く利用しきれないまま解約に繋がってしまうケースもあるため注意が必要です。
◇サポートの範囲を確認する
前述のようにフルフィルメントサービスを取り扱う業者は多岐にわたります。自社で必要としているサービスが、委託する業者のサービス範囲内であるかを確認するようにしましょう。
導入後に必要なサービスが受けられない、といったことになると企業にとって大きな損失となります。
◇商品の保管環境の確認
フルフィルメント業者の商品保管環境を確認しておくことも重要です。例えば、食品や温度によって品質に影響が出てしまう商品の場合に空調設備は必須ですが、物流業界において常温保管が当たり前とされているケースが多く、空調利用はオプションとなっている場合があります。
そのため保管環境についての事前確認が必須であり、その他衛生面やセキュリティ面なども調査しておくようにしましょう。
そのため、保管環境についての事前確認が必須であり、その他衛生面やセキュリティ面なども調査しておくようにしましょう。
そのため、保管環境についての事前確認が必須であり、その他衛生面やセキュリティ面なども調査しておくようにしましょう。
◇料金体系の確認
フルフィルメントサービスによって料金体系が大きく異なりますので、あらかじめ数ヶ月分の見積もりをもらうなど予算内で委託できるかどうかの確認を行いましょう。
特に初期費用の有無や、継続利用する中で必要となるオプション費用などの内容は明確にしておく必要があります。料金体系を基に委託先を選ぶ場合は、相見積もりを検討しましょう。
フルフィルメント導入で業務効率の改善を
フルフィルメント業務は通販事業にとって非常に重要な工程であり、サービスの質を高めていくためには欠かせない業務です。そのため自社で対応しきれない場合は、フルフィルメントサービスの導入を検討するとよいでしょう。フルフィルメント業務のプロが対応するためサービスの質が高まり、顧客満足度の向上にもつながります。
フルフィルメントサービスを導入する際は、対応可能な業務内容や料金、商品の保管環境などをベースに複数業者を比較するようにしましょう。自社にとって最適なサービスを導入し、利益率や業務効率の改善にご活用ください。
フルフィルメントに関連する資料
当サイト「通販通信ECMO」では、フルフィルメントに関する資料を多数掲載しています。ぜひご確認ください。
フルフィルメントに関連する記事
まずは情報収集から始めたいという方向けにフルフィルメントに関する記事をまとめています。以下のリンクからご確認ください
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