2022.11.05 コラム
企業のステルスマーケティング(ステマ)で炎上しないために!5つの事例から学ぶ
ステルスマーケティングとは、消費者に知られないように商品やサービスの宣伝を行うことをいい、金銭の授受を伴います。企業が著名人などに依頼し、多くのユーザーに広めてイメージアップにつなげることを狙って行われますが、発覚すると炎上につながることも多く、ブランドを損ねるリスクが高まります。(2022年6月初出/2022年11月改稿)
ステルスマーケティングとは?
ステルスマーケティングとは第三者がある企業から対価を受け取り、中立的な立場を装いながら、口コミや良い評価を発信する行為を指します。
ステマとダイマの違い
ステルスマーケティングの反対語に「ダイレクトマーケティング」という言葉があります。(記事内では省略してステマ、ダイマと表記します)。
ダイマとは言葉通り直接的な宣伝をするという意味で、営利目的ではなく宣伝であることを明記しながら商品の口コミ、レビュー、体験談などを投稿します。主な種類として、ダイレクトメール、インターネット広告、ソーシャルメディアなどがあります。成果報酬型のアフィリエイトという手法もあり、こちらも宣伝・広告であることを明記した上でブログ・メルマガ等で商品をPRするものですが、ユーザーからするとステマのように映ることもあるかもしれません。しかしあくまでも宣伝・広告であることをオープンにしていれば、ステマではなく何ら問題はありませんが、発信の仕方には注意も必要です。
2種類のステマ
- ▲インフルエンサー型
- ▲なりすまし型
▲インフルエンサー型
著名人や芸能人など影響力のある人物に報酬を支払って拡散してもらう手法です。
近年はインスタグラムやYouTubeなどを通して商品を宣伝する方法が一般的です。
▲なりすまし型
なりすまし型とは、一般の消費者を装って宣伝したい商品やサービスを高く評価したり口コミを投稿することをいいます。
商品やサービスと直接利害関係がある企業や個人事業主がイメージアップのために行う、または競合他社を悪く評価することでイメージダウンを図るステマ手法です。
なぜ企業がステマに走ってしまうのか
- ①高い宣伝効果
- ②コストを抑えるため
①高い宣伝効果
ステマを行う企業が狙うのは高い宣伝効果です。自社のチャネルで商品やサービスの宣伝をするよりも、第三者である消費者や有名人が紹介しおすすめする方がより影響力をもたらす場合があります。
SNSでインフルエンサーを使ったマーケティングが主流になったのも、そのような背景により高い効果を実感する企業が増えたからです。
口コミを発生させて、企業認知を高めるバズマーケティングを生み出す目的で行われることもあります。
②コストを抑えるため
一般消費者になりすましてステマをする場合、コストがほとんどかかりません。商品やサービスのマーケティングにおいて、広告宣伝費は大きな割合を占めます。また競合との差別化のため、口コミの数や評価を操作することで、ブランディングを図ろうとする企業がいるのも事実です。
ステマによって起きること
- ①イメージダウン
- ②違法性の懸念
①イメージダウン
消費者にステマ行為であることが発覚した場合、企業やブランドのイメージダウンにつながるのは明らかです。信頼して購入している消費者への欺きであると捉えられ、不買運動やマーケット市場そのものにも悪い影響をあたえることもあります。
顧客との間で一度信頼を失ってしまうと、再度良いイメージをもって利用してもらうには時間がかかり、企業の存続を左右する損害にもなりかねません。
②違法性の懸念
ステマはグレーゾーンな部分も多く、違法になる懸念材料もあることをしっかり認識しておかなければなりません。
アメリカやヨーロッパの諸国では違法とされることが多いですが、日本は明確な規制等を設けていません。実際に使用せずに嘘の口コミを投稿した場合、詐欺罪などに該当する可能性もあるためインフルエンサーのなかにはオファーを断る人もいます。
ステマの“炎上”事例
ここまで、短期的な利益を追求してステマをしてしまう理由について解説してきました。ここからはステマであることが発覚し、ブランドイメージを損ねることになった事例を5つご紹介します。
◇一般的なプロダクトプレイスメント
プロダクトプレイスメントとは、映画やテレビドラマにおいて役者の小道具や背景に企業名や商品名を表示させることで印象付ける手法のことを指し、これはステマの一般的な形式です。
広告・CMは敬遠されがちな面がありますが、プロダクトプレイスメントを活用すれば、作品のなかでストーリーに溶け込んだ状態で商品やサービスを登場させることができるため、ごく自然にPRすることができます。
コンピューターメーカーは自社のPCを使用してもらうために、大手チェーン店は映画やドラマでロゴが目立つように、衣料品ブランドは俳優やテレビ司会者に着用してもらうためにお金を払い宣伝しています。
▲Instagram
▲ぺ二オク
ステマが国内で有名になったきっかけともなったのが通称「ぺ二オク事件」と呼ばれるペニーオークションです。2010~2012年に、入札しても落札できない仕組みのオークションサイトで、運営者が入札者から手数料をだまし取っていたうえに、芸能人にブログでのステマ投稿を依頼していました。これによって運営者の数名が逮捕され、関与していた芸能人も謝罪を行い、一部の業界では当該の芸能人が強く非難される辞退になりました。
ここ数年で増加しているのがインスタグラムを利用したステマです。
広告・宣伝目的であるのに、本文での説明が無かったり、#広告 #PR 等のハッシュタグを入れていない場合や、実際の商品を過分に誇張した表現を用いること、インフルエンサーがある商品を紹介したが実際には当該商品の関係者だったり、エステやサプリメントによって急激にシェイプアップしたように加工した虚偽の写真をアップロードするなど、さまざまなケースが見られます。
▲食べログ
2012年、カカクコムが運営する飲食店のランキングサイト「食べログ」で、飲食店に好意的な評価を投稿しランキングを上げる見返りに金銭を受け取る業者が39社いたことが明るみになりました。
これは「食べログ」だけでなく、ヤフーが運営する「ヤフー知恵袋」でも同様のことが行われており、利用者が書き込んだ「おすすめの店はどこですか」などの質問に対してやらせ投稿をする請負業者が依頼主の飲食店に有利な回答をするといったケースがありました。
▲ソニーゲートキーパー事件
2004年、「PSP」と「ニンテンドーDS」が熾烈なシェア争いを行っていた際に「PSP」の不具合が発見され大きな話題となりました。
「2ちゃんねる」などのネット上に「PSP」を擁護し「ニンテンドーDS」をバッシングする書き込みが多く寄せられ、後にIPアドレスを分析するとソニー内部・関係者の投稿であることが発覚しました。
▲Dr. Pepper/7up
「Dr. Pepper/7up」は有名ブロガーたちに宣伝を依頼し、ステマとして発覚された事件がありました。
10代のブロガー6人に商品やプロモーショングッズを渡し、記事を投稿するよう依頼。紹介内容が不自然だったため、あるユーザーから摘発があり批判のコメントが殺到しました。
その際にマーケティング担当者が批判的なコメントをすべて削除し、コメントやトラックバックができないように措置を取りました。それが炎上のきっかけとなり不買運動が起き、結果「Dr. Pepper/7up」はブログキャンペーンで失敗したブランドとして知られるようになりました。
2009年にオンラインの消費者間コミュニケーションのマーケティングなどを中心に、マーケティング業界の健全な育成と啓発を目的として発足した団体「WOMマーケティング協議会」が定め、発行している「WOMJガイドライン」です。
ステマ防止のガイドライン
こうしたステマを防ぐためには、個人のリテラシーに任せるほかありませんが、活用できるツールも存在します。
2009年にオンラインの消費者間コミュニケーションのマーケティングなどを中心に、マーケティング業界の健全な育成と啓発を目的として発足した団体「WOMマーケティング協議会」が定め、発行している「WOMJガイドライン」です。
SNSでの投稿でどのように関係性を明示すべきかなども記載されているため、こういったガイドラインに則って運用することによってステマや炎上防止にも役立つでしょう。
行政によるステマ対策
ステマは行政からの規制の目も強くなっています。2022年9月、消費者担当大臣の河野太郎氏は消費者庁が所管する景品表示法の観点からステルスマーケティング(ステマ)対策を整備するため、消費者庁で専門の検討会を立ち上げると発表。
同月には早速「ステルスマーケティングに関する検討会」の議論がスタート。
5回の検討会による議論を経て、消費者庁は景品表示法でステマ規制を導入する方針を固めました。
11月に開かれた第6回の会合では規制方針と運用基準案も出され、SNSの投稿やレビュー・アフィリエイト広告も「事業者の表示」に該当しうると言う見解を示しました。
この議論は2022年中にも結論を取りまとめる計画のようです。このように規制強化の面からも企業はステマについて真摯に向き合う必要があると言えそうです。
【まとめ】
芸能人やインフルエンサーを起用し、広告だと明記したうえで企業の商品やサービスを宣伝することは問題ではありません。大切なのは自社への信頼を失うような広告宣伝を行わないようにステマの意味や、行政の規制動向などしっかりとした認識をもって広告活動をすることです。
ブランドイメージが傷つくことがないように消費者、顧客に寄り添う方法を考えてマーケティングを行いましょう。
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