2022.06.05 コラム
クロスセルとは?企業の成功事例や成功へのポイントをご紹介
クロスセルとは商品やサービスに関連商品などを提案し、顧客単価や売上アップを目指す営業手法の一つです。今回はメリット・デメリットや、抑えておきたいポイント、企業の成功事例などをご紹介します。
クロスセルとは?
クロスセルとは営業手法の一つで、商品やサービスに関連した「プラスα」の提案をして、上乗せでの販売を実現させることをいいます。
例えば、銀行などはさまざまな種類の商取引を提供しています。クロスセルはリピートで購入してもらうために効果的な戦略で、顧客に幅広い商品やサービスを提案し、ニーズを満たすことで大きな信頼を得ることができます。
次はクロスセルを活用する上でのメリット、デメリットをそれぞれご紹介します。
クロスセルのメリット
◎顧客との関係を強化
クロスセルは顧客が抱えている問題を解決するのに役立ち、その過程で顧客との信頼関係が築かれます。
保険の例でいうと、健康保険を競争力のある価格設定で販売し生命保険をクロスセルします。顧客が抱える問題の解決策が一つの企業やサービス内にある場合、顧客は競合サービスに頼らずとも問題を解決できることに気づき長く利用します。
必要のない製品を無理に売り込もうとしない方法でクロスセル施策を打ち出すことで、既存の顧客との関係が強化されリピートされる可能性も高まります。単に収益を上げようという手法ではなく、顧客のニーズを把握し提案することを一番に考えた営業手法だということですね。
◎顧客単価・収益性を改善
クロスセルを使った戦略は顧客満足度に比例して顧客単価をあげることも期待できます。
顧客単価のアップは収益につながるほか、販促にかけるコストを削減できるのもメリットです。
クロスセルはある一定数の顧客から新規顧客ができず伸び悩んでいる企業や、拡販コストを抑えたい企業などにより大きな効果をもたらします。"
◎単体で販売しにくい商品を売れる
クロスセル戦略は単体で販売しにくい商品の売り上げを伸ばすうえでも役立ちます。
高い価値、満足してもらえる付属品をセットでおすすめして売ることで、単体では売上が伸びなかった商品やサービスが突如大きな収益をあげることもあります。このようにセットで売れるもの、セットでより満足してもらえるものを提案するのにクロスセル戦略は最適です。
◎顧客体験をパーソナライズ
今の時代、パーソナライズが主流となってきました。顧客は自身が使う商品やサービスに関連した新たな物を提供してくれる企業、ブランドを好み継続的に利用したいと考えます。
そこでライブチャットのようなツールを導入することで24時間体制で顧客へ自社の商品をおすすめしたり、サービスをより身近に感じられるようにサポートすることはとても有効です。
国際的なマーケティングインテリジェンス企業である「Aberdeen Strategy and Research」社が、ライブチャットのある企業とない企業を比較し調査した結果、導入した企業ではクロスセルとアップセルの収益が年間2.4倍に増加したことが明らかになりました。
顧客が買い物をするときにリアルタイムでつながり、企業がクロスセルの「機会」を特定できるようにすることで、過去の購入と顧客の好みに基づいて商品やサービスを提案することができます。そしてそれは効果的にクロスセルできるきっかけになります。その際、ポイントとして抑えておきたいのは、定型メッセージなどを活用して、代理店や顧客の間で豊富な情報をシームレスに共有できるようにすることです。
◎販売価値を最適化する
『Marketing Metrics』(ポール・W・ファリス著) では、既存の顧客を対象にコンバージョンする可能性は新規顧客をターゲットにするよりも60〜70%高いと述べられています。したがって、最初に既存の顧客を大切にすることは、ビジネスの定石にも沿っているということです。
また、クロスセルすることで顧客に短期的な価値と長期的な顧客生涯価値(LTV)の提供の双方が実現できることも重要な点です。有効なクロスセル戦略としては海外送金サービスの「ワイズ」のように追加の割引やオファーを提供したり、無料のギフトやインセンティブを提供する施策を例として挙げられます。"
クロスセルのデメリット
▲押し売りと思われるリスク
クロスセルは戦略を上手に立てて実行しなければ、顧客が離れていく原因になる場合もあります。 何度も執拗にアプローチしてしまうと押し売りされていると思われるからです。
好感をもってくれるユーザーがいる一方で不快に思う層も存在するため、強引に押し売りするのでなく自然な形で顧客の気持ちを汲み取りながら販売するのが最適です。
▲途中で購入をやめてしまう
クロスセル施策を進める際、どのタイミングで関連商品を提供するのかはとても重要なポイントになってきます。
顧客単価をあげることが目的になってしまうと関連商品を過度におすすめしてしまったり、顧客の買い物予算やニーズに合ったものを提供できない場合があります。そうすることで購入するか迷っている顧客が離脱することもあるので注意しましょう。
▲顧客と良い関係性を築けない
顧客との良い信頼関係を築くうえで大切なのは、ニーズが何かを把握してクロスセル施策を実施することです。
ある営業チームが顧客のニーズや要件が何かを見逃し自社が売りたい商品やサービスだけを考えてしまった場合、顧客との関係性が途切れてしまいます。何に興味があるのかを顧客目線で考え、当てはまらないものはおすすめし続けないように心がけましょう。
データを解析することで、クロスセル施策がコンバージョンしやすい顧客層や製品の組み合わせの仮説を立てることも重要です。
クロスセル成功のためのポイント
より有効的にクロスセルを活用できるよう、抑えておきたいポイントを3つご紹介します。
①顧客のニーズを理解する
クロスセルの機会やポイントを明らかにするためにも、まずは顧客のニーズをしっかり理解することから始めましょう。
ビジネス上のニーズはビジネスが解決しようとしている問題から生じます。したがって、現時点での顧客の課題とその解決方法を理解することが大切です。そうすれば顧客が求める商品やサービスの種類を判断できます。
②何を購入しているか注意する
顧客のニーズが何かを知る上で今までの購入履歴などのデータは必要不可欠です。
最終的に顧客がいま購入するかどうかを決める補完要素を探し、適切な商品やサービスをクロスセルすると顧客単価のアップ、売上アップにつながります。
③ギャップを特定する
顧客が必要としているものがある一方で、必要とされていない商品やサービスも浮き彫りになってきます。すなわちギャップがどこにあるのかを特定できるということです。競合他社から購入したかどうかではなく、顧客が自社の商品をなぜ購入していないかを分析し、それをチャンスと捉えてクロスセルに活かすことができます。
そのためにも顧客の購買行動を完全に可視化できるツールを用意したり、過去のセールス会話の記録やメモを保管しておくと顧客のニーズを判断し潜在的なクロスセルの機会を特定することに役立ちます。
クロスセルを使った企業の成功事例
実際にクロスセルを活かして企業の成長に成功した事例がいくつかあります。ここでは4つの企業を例にご紹介します。
① AT&T
「AT&T」は米国・テキサス州に本社を置く世界最大級の電気通信事業者です。「AT&T」では製品ページでクロスセルを使用しています。
例えば新しいiPhoneを購入しようとしている顧客の購入ページでは、携帯ケースやワイヤレスヘッドホンなどをクロスセルする項目が表示されます。その他にもオンラインショップではお得な料金プラン、新規購入の顧客に最も有効なセットプランなどを提案しています。"
②Amazon
「Amazon」はオンラインショッピングの際に、顧客が閲覧する商品に関連したスポンサー商品や、同ジャンルの書籍がおすすめとして表示されます。
購入する商品に「一緒に購入」、「星4つ以上」などの項目がページ下に表示され、膨大な商品たちの中から顧客が求めているであろう商品を推測し提案するクロスセル戦略が使われています。
③Casper
創業5年で売上390億円に達した「Casper」は、マットレスだけでなく枕やシーツといった関連の寝具商品を2年という短さで発売しました。オンラインで手軽にオーダーでき、100日間のトライアル期間や10年保証など、常識破りな戦略で成長してきた企業です。
「Casper」が利用したクロスセル戦略で、まず1人の顧客にマットレスだけではなく他の商品を抱き合わせで提案した際に、購入してもらえるのかを検証しました。その後羽毛布団やベッドサイドのランプなど計20種類以上の関連商品を販売し、クロスセル戦略を活用。初回購入した顧客の16%が他の商品を購入リピートし、購入頻度が比較的低い寝具と顧客の間に長期の関係性を築くことで利益の増加を実現しました。
【まとめ】
クロスセルとは、単なる「セット売り」ではなく、顧客ニーズを把握したうえでより満足度が高まる組み合わせの商品をオファーすることです。
そのためにはデータ解析が重要です。まずは自社でよくあるコンバージョンのパターンを分析することから、ヒントが見えてくるはずです。
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