東日本大震災で大きな被害を受けた地元農家を救済するため、福島県出身の大松哲鎬氏が創業した(株)東北ECグローバル。食品の通販事業を立ち上げるものの、ECモールでの販売や紙媒体での広告展開で苦戦していた。しかし、紙媒体の成果報酬型サービス「インターペーパー」を利用したことを契機に、リピート率を大幅に改善させ、3年間で約1万1000人の新規顧客を獲得。創業の目的、地元農家への貢献を果たしつつある。同社の広告担当で創業者の長女でもある大松莉奈氏にこれまでの経緯と成果、今後の展望を聞いた。
東日本大震災を契機に東北のおいしい食品を日本全国に販売する通販事業を開始
――創業の経緯について教えてください。
大松莉奈氏(以下、大松氏) 当社、(株)東北ECグローバルは2016年創業で、2022年で7期目を迎えます代表の大松哲鎬は福島県出身で、東日本大震災を福島県で経験しました。震災後、福島県では、原発事故の影響で米や野菜や果物が売れなくなってしまいました。「うちのお米が売れなくなった、どうしたらいいか」と米農家の知り合いから大松が相談をうけたのが創業のきっかけです。未曽有の大震災に対し今、自分たちになにかできることはないかと、この事業を立ち上げました。
――企業理念「東北の素晴らしいものを世界へ」について教えてください。
大松氏 おいしいものを食べると人を幸せになります。笑顔になります。大松は福島で育ち、山形などへもよく行きます。東北の農家の方がこだわりと愛情を込めて作った食べ物は本当においしい。そのおいしい東北の食べ物を、まずは日本全国にお届けしたい。さらには日本から世界に発信していきたい。その思いで「東北の素晴らしいものを世界へ」を、企業理念として掲げています。
「メイド・イン・ジャパン」の工業製品は、世界中に品質の高さで認められています。そして「メイド・イン・ジャパン」の食べ物も、世界に誇れるものだと思います。おいしい「メイド・イン・ジャパン」の食べ物を、世界に発信していきたいと思います。
――貴社では、農家の方をとても大切にされていらっしゃいますね。
大松氏 当社は何をするにしても、まず農家の方の所へ直接いって、お話することを大事にしています。ですので、農家の方には、すごく頻繁に顔を出すねとよく言われます。
当社では、どのお客様にどの農家の方の果物を出荷したのかの記録を管理しています。お客様からの感謝の声が届いた際には、出荷した農家の方にお客様の声をフィードバックしています。これが非常に喜ばれています。
前回のりんごシーズンが終わった時に、農家の方から、「いつもありがとう、本当に助かっているよ」と、お手紙をいただいたときは、感動しました。昨年度は霜害がひどく、農家の方も大変だったと思いますが、その中でも、わざわざお手紙を書いていただいたことが、すごくうれしかったです。
広告の費用対効果や顧客のリピート率などに課題も
――創業期の課題や苦労した点を教えてください。
大松氏 農家の方の力になりたいという思いでこの事業を立ち上げましたが、実は、それまで私たちは農業をやったことがなく、農作物についての知識が全くない状態でした。ですので、農作物ができるまでの流れなども理解しておらず、農家の方に商品の仕入れの交渉にいくと、来るのが遅いよと言われることも。販売時期や仕入れ数の確保については、最初はすごく難しかったです。ただ、農家の方には怒られながらもいろいろ教えてもらい、今までやってくることができました。
通販事業も初めてでしたので、出荷システムの構築が大変でした。最初の頃は、伝票を一枚一枚手書きしたりしていましたので、そこからシステム構築するのは、すごく大変でした。
――当初の販路はどのようなものでしたか?
大松氏 創業当時は、楽天市場への出品と新聞広告への直接出広が主な販路でした。創業時に初めて売ったのはさくらんぼだったのですが、新聞広告に出広しても適切な価格設定がわからず、また出広媒体の適切な選定もわからず、せっかく媒体に広告をうっても全然注文が来ず、広告費ばかりが高額になってしまうことがありました。
楽天市場も注文がなくても広告費がかかるうえ、出店料が販売手数料とはまた別途かかるため、利益を残すことにすごく苦労しました。
課題の顧客リピート率が10%→25%に!商品への信頼の獲得も
――新サービスを導入した経緯・理由と導入後の成果について教えていただけますか?
大松氏 創業時からお世話になっているコンサルタントから「インターペーパー」という名前の新サービスを紹介いただきました。。これを導入すれば、紙媒体からの通販の売り上げを限界値まで伸ばせるというアドバイスをいただき、やってみる価値があると思い始めました。
成果報酬型という広告をやったことがなかったので、最初は、成果につながらないのでは、注文の電話は本当に鳴るのだろうかという点が一番不安でした。
正直最初は、あまり成果はあがらないだろうと思っていました。でも成果報酬型の広告なので、成果がなければ広告費もかからないからいいだろう、という気持ちでした。
しかし広告が掲載された日には、特に大手地方新聞に掲載された日には、朝から晩までずっと注文の電話が鳴りっぱなしで、もう大丈夫ですというくらい成果が出て、非常に助かりました。
――ECモールなどと比較して、インターペーパーからの顧客層に違いはありますか?
大松氏 楽天市場やオンラインからのお客様は他店に流れてしまいがちで、リピートが難しいということがあると思います。
楽天市場と新聞広告への直接出広が主な販路だった時はリピート率が10%にも満たず、毎回新規客を集客する繰り返しで苦しかったのですが、インターペーパーを導入後、例えば直近ですとリピート率はおよそ25%で、多くのお客様にリピートしていただいています。
――それ以外のメリットは感じられましたか?
大松氏 地方新聞や大手週刊誌に初めて広告を出せました。そういう媒体に掲載されているからこその商品への信頼の獲得という部分も、インターペーパーを利用するメリットだと感じました。
3年間で累計約1万1000人の新規顧客を獲得、固定ファンがリピート購入を継続
――インターペーパーを通じて、新規顧客はどのくらい獲得できていますか?
大松氏 導入して3年経ちますが、累計で1万1000人近くの新規顧客を獲得できました。また、導入3年目である2021年のりんごシーズンだけでも、5000人ちかく新規顧客を獲得できました。
――注文が多い地域や人気商品についてお聞かせください。
大松氏 ただ当社は東北の食べ物が主な商材ですので、東北のお客様は逆に少ないです。その他の地域は北海道から九州まで、たまに沖縄からのお問合せもあります。全国から注文があるのはうれしいですね。
当社で一番の人気商品は「訳あり蜜入りサンフジりんご」です。当社の年間売り上げで70%を占めるくらい売れています。その中でもインターペーパーからの売り上げは、売り上げの主軸になっています。
りんごのシーズン中に、追加注文としてりんごをリピート購入いただく方や、当社の主力商材であるさくらんぼや桃を、りんご購入のリピートとして買っていただく方もいます。
――お客様からの感謝の声が届くことがあるのですか。
大松氏 当社には、とてもたくさんいただきます。同業の他社に比べても多いと思います。りんごのシーズンなどでは、毎日10通から20通いただいていますので非常に反響があり、うれしいかぎりです。
お声をいただいたお客様から、リピート購入の際にまたイラスト付きでお葉書をいただいたりすると大変嬉しく、社員のやりがいにも繋がっています。
東北の素晴らしいものを世界へ
――これからの時期(6月~7月)やギフトシーズンに売れる商品は何でしょうか?
大松氏 当社の商品では、さくらんぼと桃です。インターペーパーにもこれから掲載していただき、さくらんぼと桃でしっかり売上を作りたいとおもっています。
ギフトシーズンは、お中元の時期には特秀品の桃が最も売れて、お歳暮の時期は主にりんごが売れます。りんごとラフランスの詰め合わせなども売れますね。いずれも贈答用の高級品がよく売れます。
――おすすめの商品や今後トレンドとなりそうな商品はありますか?
大松氏 私も山形や福島に住んでいたことがあるので実感があるのですが、東北、特に山形のほうでは、嫌いな人はほとんどいないのではないかというくらい、ラフランスは人気があります。
ただ、今は主に地産地消で食べられていて、全国的にはまだなじみがない果物だと思います。関西のお客様などに話をきくと、食べごろのタイミングがわからないなど、食べ慣れていないという理由だけで購入にいたらないことがあり、一度食べてもらえれば必ずおいしいと言ってもらえるのにもったいない、と思っています。
――最後に貴社の今後の展望を教えてください
大松氏 これまで購入いただいたお客様に対しては、通年でやっている頒布会に入っていただけるよう、アウトバウンドやDMなどを今後もやっていきたいと思っています。また、今年からはテレビの広告にもチャレンジしていきたいと思っています。
※成果報酬型の紙媒体広告システム「インターペーパー」とは
お問い合わせ電話件数によって広告費を支払う成果報酬型の広告出稿を、新聞や雑誌などの紙媒体広告で行うことができるサービス。
株式会社インターカラーが2017年に開発し、運用を開始した。
現在、通信販売事業者など約600社の広告主と350社を超える紙広告媒体が利用している。
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