Free Standard(株)はこのほど、消費財の一次生産者であるメーカー・ブランドが自社ECサイト上に「お試し」「リユース」の機能を実装して、独自の二次流通市場を構築できる流通ソリューション『Retailor(リテーラー)』の提供を正式に開始した。
累計5億4000万円の資金を調達
併せて、ANRI(株)、千葉道場(株)、グローバル・ブレイン(株)とヤマトホールディングス(株)が共同で設立したCVCファンド「KURONEKO Innovation Fund」、D4V、その他投資家を引受先とする累計5億4000万円の資金調達を実施したことを公開した。
これにより、「リテーラー」の開発とともに、大量生産・価格崩壊・大量出品(転売)など多くの課題を抱える小売業界で、ブランドの収益性を改善しながら継続的にサーキュラー・エコノミーを推進していくことに貢献していきたい考えだ。Free Standardの張本貴雄・代表取締役CEOは、元クルーズで「SHOPKIST.com by CROOZ」を立ち上げた経歴を持つ。
EC市場の拡大の一方、価格競争や業界構造の変化に伴ってメーカーやブランドに新たな課題も生まれている。特に新品(一次流通品)の流通では、外部のECプラットフォームへの販売比率が高まったことで、割引価格での販売が常態化し、粗利率の悪化を招いている。
さらに、メーカー・ブランドにとって重要な顧客情報が蓄積されず、長期的な成長戦略を描きにくくなっている実態がある。また、割引価格で商品を購入した消費者が二次流通市場に出品(転売)をすることで、新品の販売数が伸び悩む悪循環も生じている。
販売時点で完結していたブランドと消費者の関係を永続化
こうした状況の中、Free Standardは、ブランドが運営する自社ECサイトへ「お試し」「リユース」機能を簡単に実装できる「リテーラー」を開発した。これまで販売時点で完結していたブランドと消費者の関係を永続的なものに変え、商品が自社流通内で繰り返し売買されることで、サーキュラー型のマーケット展開を可能にする。
「お試し機能」は、ブランドの自社ECサイト上で、「購入する」だけでなく「試してから購入する」という新しい購入体験ができる。運営に不可欠な配送・在庫管理・クリーニング・保管・カスタマーサポートといった機能までリテーラーが提供するサービスだ。「リユース機能」は、ブランド独自のリユースサイトを構築し、リユース品の取り扱いに不可欠な商品収集・真贋確認・商品メンテナンス・保管・撮影・登録といった機能までリテーラーが提供するサービスだ。
外部のプラットフォームに出すわけではないため、お試し注文の売上やリユース品の販売分がブランド側に還元され、二次流通市場から一次生産者のブランドが新たな収益を生めるようになる。「購入する・しない」ではなく、「購入する・お試しする」という選択肢を、また、「新品購入」に加えて「リユース購入」という選択肢を提示することで、今まで購入に至らず離脱していた消費者にリーチすることや、データの自社蓄積となり、貴重な資産に変わる。
商品のLTVを最大化することも特徴だ。従来の消費活動では、商品を一度販売した時点で完結していたブランドと消費者の関係が、「お試し商品の返却」「販売商品の回収」によって、何度も繰り返し販売することが可能になる。LTVという概念は「顧客」に使われる概念だったが、「商品」にもLTVという考え方を適用し、商品という資産の価値を最大化しする。
■『リテーラー サービスサイト』
https://freestandard.co.jp/retailor
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