(株)エービーシー・マートが13日発表した2022年2月期(21年3月~22年2月)連結決算は、売上高が前期比10.8%増の2439億4600万円、営業利益が同40.7%増の274億4600万円、純利益は同9.6%減の173億8200万円となった。
実店舗の拡大に伴いオンライン販売は売上鈍化
シューズ業界は、コロナ禍における新しいライフスタイルが定着しつつある。商品動向は昨年秋から潮目が変わり、スニーカー以外の商品群、皮革製品やレジャー・アウトドアでも使える商品需要が拡大している。オンライン販売については、ネット需要は拡大しているものの、実店舗の売上拡大につれ、伸び率が鈍化した。
国内の売上高は前期比11.8%増の1697億7390万円、セグメント利益は同47.8%増の252億8700万円となった。昨秋以降、スポーツ以外の商品需要が高まったため、スポーツシューズの構成比が1.3pt低下したが、ビジネスシューズ、レザーカジュアルシューズ、レディースシューズの売上は好調に推移。キッズシューズは大きく伸長し、同23.2%増となった。サンダルは在宅ワークの定着で冬季でも好調だったことから、同27.3%増となった。
オンライン販売は、実店舗でのEC在庫の販売分を含め、デジタル売上高構成比は前期比0.3pt減の13.2%、金額ベースでは同9.0%増となった。通販を含む売上高増収率は、通常営業店舗の増加で、全店で同11.7%増、既存店で同4.5%増。下期以降、商品単価が高めのレザーシューズの販売が好調だったことから、客単価の上昇が売上増につながった。
店舗展開は出店が閉店を上回る、海外にも積極的に出店
店舗展開では、地方郊外のショッピングセンターを中心に47店舗を新規出店。施設の閉館に伴う閉店とスクラップアンドビルドの促進により、期末の国内店舗数は1053店舗(閉店26店舗)となった。既存店は、都市型旗艦店「GRAND STAGE」や「ABC-MART SPORTS」への業態転換と、それらを組み合わせた複合業態への変更を実施。「GRAND STAGE」は46店舗、「ABC-MART SPORTS」業態は73店舗、複合業態は55店舗となった。
海外は売上高が前期比8.4%増の750億円、セグメント利益は同9.8%減の21億1200万円となった。為替はいずれの通貨に対しても円安水準にあったが、現地通貨ベースでは 韓国は増収増益、台湾と米国は減収減益となった。
韓国は、ウィズコロナによる経済政策が奏功し、売上高は前期比13.0%増の463億1100万円。台湾は、前期は防疫措置の効果があって好調に推移したが、今期はデルタ株の感染拡大による外出制限により、売上高は同0.8%減の75億3900万円となった。米国も下期に供給遅延が生じたことから、売上高は同2.6%増の211億2900万円となった。
店舗展開については、韓国21店舗、台湾4店舗、米国1店舗、計26店舗の新規出店を行った。21年末現在で、韓国285店舗、台湾62店舗、米国7店舗の計354店舗(閉店は韓国19店舗)となった。
デジタルコマースを強化、アパレルや雑貨も販売強化を行う
23年3月期の通期連結業績は、売上高が前期比11.4%増の2717億円、営業利益が同16.6%増の320億円、純利益は同20.2%増の209億円を見込んでいる。オンライン販売とリアル店舗の相乗効果を高めるためのデジタルコマースの強化を図る。
ECホームページやスマホアプリなど、顧客との接点となる仕組みを軽量化し、常に最新の技術やデザイントレンドを取り込めるようにし、「店舗」「PC」「スマートフォン」のどの入り口からでも同じ情報にアクセスできるように開発を進める。商品展開については、好調なスポーツシューズに加え、スポーツ、アウトドアなどのアパレルや雑貨の販売強化を軸に、ライフスタイルカジュアルの提案に注力する。
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