Zホールディングス(株)=ZHDとソフトバンク(株)は27日、スマートフォン決済を手がけるPayPay(株)を、10月に連結子会社化すると発表した。株式のやり取りを経て、最終的には34.9%ずつ保有することになり、そのための取引契約を同日、締結した。現状は、ソフトバンクの親会社にあたるソフトバンクグループ(株)が50%を持ち、連結子会社としている。
PayPay連結化でPayPayの企業価値を最大化
ZHDグループは、2021年3月に実施したZHDと LINE(株)との経営統合以来、「情報と人をつなぐ(Yahoo! JAPAN)」「人と人をつなぐ(LINE)」「人と金融サービスをつなぐ(PayPay)」という起点を中心に、さまざまな社会課題の解決に取り組んできた。
PayPayが提供するキャッシュレス決済サービスの「PayPay」は、サービス開始から 3年9 か月で累計登録者数4865万人、加盟店数374万か所の利用があり、社会インフラとして急速な成長を遂げている。今回の取引を通じ、ZHDとソフトバンクにより中間持株会社を共同経営し、PayPayを連結化することで、PayPayの企業価値の最大化に資すると考えた。
PayPayは事業基盤の拡大のために積極的な投資を行ってきたが、21年10月からは加盟店手数料の有料化など、収益化に向けた施策に取り組んでいる。さらなる収益機会拡大のためには、ユーザー基盤の拡大と収益源の多様化が必要なフェーズとなってきている。
LINEユーザーとの連携、toB・toC双方の新市場開拓へ
具体的には、LINEユーザーとの連携、現在準備を進めているID連携によるユーザー基盤拡大、決済事業にとどまらない金融サービスの多様化が、PayPayの持続的な成長にとって重要となり、ZHDグループとのより一層密な連携が必要とした。
また、金融・O2Oのみならず、相互連携性の高いメディア・ECサービスを提供し、開発のための人材などを持つZHDグループがPayPayを連結することで成長に寄与できるとしている。
PayPayを連結化し、業績・財務観点でも関係性を強固にすることで、共同のビジョンに基づき、より円滑な事業の推進、シナジーの創出が可能になるとした上、ソフトバンクの連携でも、19年6月に非連結関係から連結関係へ移行したことを背景に、プレミアム会員連携による会員増、EC取扱高増、Yahoo! JAPAN IDとPayPayID連携による利便性改善、広告営業連携などシナジーを推進できた実績もあるとした。
その上で、創出されるシナジーとして、PayPayのユーザー・加盟店基盤にZHDグループのサービス・アセットをかけ合わせ、toB・toC双方の新たな市場開拓を想定し、結果としてグループの収益機会の最大化を期待。また、ソフトバンクでも、ユーザー・加盟店基盤とソフトバンクの通信、法人顧客基盤の連携で、さらなるグループシナジーを期待しているとした。
PayPayカードはPayPay傘下に移管
また、同時にヤフー(株)が運営するアクワイアリング事業をPayPayカード(株)=PPCDに承継させ、PPCDをPayPay 傘下に移管する予定も示した。「クレジットカード」(PayPayカード)に係る事業を営むPPCD と、「スマホ決済」に係る事業を営むPayPayとを一体で運営することで、決済事業のシナジーが加速できるとしている。
移管により、QRコード決済にとどまらずクレジットカードも含めた決済手段でユーザーの選択肢を広げ、キャッシュレス市場における一層のシェア拡大をめざす。具体的には「PayPayあと払い」と PayPayカードそれぞれの推進に加えて、これらの併用促進によってメインカード化を加速させるほか、獲得費を効率化しながら、プロダクトドリブンでユーザーを獲得することなどのシナジーを想定しているという。
ZHDとソフトバンクは株式の移動後、それぞれが34.9%を所有。日程によると、9月30日までに中間持株会社を設立して効力を発生させ、10月1日に完了させる予定だ。
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