2022.07.29 通販会社

EC・通販業界の22年上半期を総括、withコロナで各社の業績に明暗

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新型コロナウイルスの感染拡大から3年目を迎えた2022年は、コロナ禍の影響が薄まったこともあり、通販業界では巣ごもり消費も減少し、消費行動が店舗に回帰する傾向が見られた。店舗を持つ通販系企業には、コロナ禍でECに寄せていた販売チャネルを店舗に戻す動きも見られ、店舗売上の回復で業績を大きく伸ばす会社もあった。また、ロシアのウクライナ侵攻による原油価格高騰、資材供給遅延などの影響も見え始めてきた。22年上半期のEC・通販業界を振り返る。

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ファッションECは明暗分かれる

　22年の決算発表では、ECモールが好調をキープし、総合通販やこれまで巣ごもり消費の恩恵を受けていた企業が苦戦する傾向が見られた。また、ファッション系通販では、店舗の売上が回復したことで、業績を大幅に改善する会社も見られた。（株）アダストリアの22年2月期最終決算は、売上高が前期比9.6％増の2015億8200万円、営業利益が同756.1％増の65億6400万円、純利益は49億1700万円（前期は6億9300万円の純損失）と、黒字に転換。ECの成長とリアル店舗の回復で大幅に業績を改善した。

　その他、ファッション業界の直近の決算では、ユニクロを運営する（株）ファーストリテイリング、（株）しまむら、（株）白鳩などが好調だった。

　一方、（株）ロコンドの22年2月期最終決算は、売上高が同3.9％減の98億7500万円、営業利益が同38.6％減の8億8300万円、純利益は同53.3％減の6億400万円だった。コロナ禍の影響で靴の需要が減少したほか、中国や欧州生産の靴やアパレルの供給が滞るなどの影響も出た。また、SHOPLISTを運営するクルーズ（株）も大幅な減収減益となるなど、苦戦した。

ロシアのウクライナ侵攻による影響も

　総合通販の直近の決算では、フェリシモが上海の都市封鎖で商品調達が遅延した影響もあり営業利益75％減、（株）千趣会がシステムトラブルの影響もあり赤字に。（株）スクロールもコロナ特需の反動減で減収増益となった。一方、（株）ニッセンホールディングスは収益体制が改善し増収増益となった。

　また、ネットスーパーや家電系のEC関連企業に、コロナ特需の反動減で前年割れが目立つ結果となった。

　ロシアによるウクライナ侵攻などの影響で原油価格が高騰し、地域によっては資材調達が困難な状況になっているが、この影響も見え始めている。

（株）ニトリホールディングスの1Q（23年3月期）は円安や原油高で輸入コストが上昇した影響で、営業利益が前年割れとなった。

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ECモールは好調維持

　楽天グループ（株）やＺホールディング（株）、（株）ZOZO、アスクル（株）など、ECモールの決算は好調だった。楽天グループの１Q（22年12月期）では、楽天市場を含めた国内ECの売上収益は同11.3％増の1824億8700万円、営業利益は同77.3％増の214億8900万円だった。

　楽天モバイルの影響で全体では1126億400万円の営業損失を計上したが、楽天モバイルの無料利用を終了。三木谷社長は決算発表で「このクウォーターは赤字のボトムで、これから改善してくことがみえてきた」と語るなど、第2四半期以降からの大幅な収益改善に自信を見せている。

　その他、各社の直近の決算では、ZHDのコマース事業の売上収益は前期比8.7％増の8109億円、ZOZOは増収増益で売上高が同12.8％増の1661億9900万円、営業利益が同12.5％増の496億5600万円となった。アスクルは増収増益で純利益は前年同期比18.7％増。売上高、利益面とも過去最高を更新した。

「オープンコマース」や「メタバース」に注目

　その他、22年上半期注目のキーワードとして、ECモール間の「オープンコマース」、仮想空間上でECサービスを展開する「メタバース」を挙げたい。

　オープンコマースについては、5月からAmazon.co.jpでQRコード決済のPayPayが利用できるようになった。Amazon・楽天・ヤフーの3大ECモールでは、それぞれに自社グループ内の決済サービスを持っていたが、別のECモール系の決済サービスは導入されていなかった。AmazonでPayPayが利用できるようになったことを皮切りに、今後は楽天市場でPayPayやAmazonPay、Yahoo!ショッピングで楽天ペイやAmazonPayなどが利用できるようになるかもしれない。

　今後の注目市場でもあるメタバースについては、小売業界各社が仮想空間上に店舗を出店する取り組みが拡大し、仮想空間上の各種ECモールも誕生した。メタバースをめぐる新たな取り組みに注目が集まっている。

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